先日、話題の「JOKER」を観てきた。
予告編をみたときから、久々に「強く観たい!!」と思っていた。
映画「ジョーカー」US版予告【HD】2019年10月4日(金)公開
観終わったあと、なんとも言えない感動?とまどい?見たあとの後味の悪さが何なのかを整理してアウトプットしておきたいと思う映画であった。
バットマンの最強の敵として現れるサイコパス・ジョーカーがなぜ誕生したのか?
心優しき、母親思いのアーサー・フレックがやむにやまれず、ジョーカーへと変貌していく。
ここからはネタバレ含みます!
母子家庭で育った、アーサー・フレックは感情が高まると、脳の信号が異常反応を起こし「笑い方」をしてしまう脳神経の持病がある。そんな病を持ちながら大道芸人で生計をたてていた。
閉店セールをやっているお店の前で、看板をもちながらピエロのパフォーマンスをしていた、アーサーは、若いチンピラたちに、その看板を奪われてしまう。お店から渡された大事な看板なので、必死においかけるが、路地に入ったところで、待ち伏せしていた、そのチンピラたちに看板で殴られ、看板は壊され、暴行を受ける。
うずくまったアーサーの呻き声は、ただただ一生懸命やっているのに、なぜ自分がこんなめにあうのかを煩悶しているようで、印象深かった。
その後も立て続けに、アーサーには試練ともいうべき状況がなんどもなんども襲い掛かってくる。
暴行を受けたこと知った同僚から、「自衛のために」となかば強引に銃を渡される。その銃があとあと、アーサーがジョーカーへと変わっていく、まさに引きがねとなる。
小児科の慰問で訪れていたピエロに扮するアーサーは、誤って、その銃を落としてしまい、それがきっかけで、仕事をクビになってしまう。仕事が無くなり、母親の面倒もみなければならないアーサーは、自分の置かれた状況を恨むというよりも、自暴自棄に近い感情にあったのかもしれない。
ピエロの恰好をしたまま、アーサーは地下鉄に乗り、女性に絡んでいる酔っ払い3人組をみて、緊張して持病からくる「笑い」がはじまってしまう。そしてその3人から暴行をうけ、そのときに、持っていた銃でその3人を殺してしまう。
走って逃げ、トイレにこもり、アーサーは高揚感を全身に感じながら踊りはじめる。これをみて、アーサーの中にジョーカーへの引きがねがセットされた瞬間だと思った。
殺された3人はトーマス・ウェインの会社で働くエリートであった。貧困に苦しむ者から、3人を銃殺したピエロは英雄扱いされるようになっていく。アーサーの高揚感はますます強まっていくようだった。
家にかえれば、心を病んでいる寝てばかりいる母親がいて、お風呂に入れてあげたり世話をしている。その母親は以前、大富豪のトーマス・ウェインの屋敷で働いていたといい、そのトーマス・ウェインが助けてくれることを信じている。
アーサーは、ひょんなことから、母のトーマス・ウェインへの手紙を読み、自分がトーマス・ウェインの隠し子だということがわかり、母を問い詰め、かつて、母はトーマス・ウェインの恋人であったこと知る。
そのことを確かめに、トーマス家へ出向いたところで、トーマス・ウェインの子息である、ブルース・ウェインと出会う。アーサーの中では、異母兄弟であるブルースはのちにバットマンとなる。
大富豪の子息として育てられたブルース。方や、社会の底辺で病気や日々の生活に苦悶しながら生きているアーサー。埋め合わせることのできない極端な格差を眼前にした、アーサーはどんな思いでブルースと向き合ったのか。。。
その後、アーサーはトーマス・ウェインに強引に会いにいって、自分が息子であることを伝え、トーマス・ウェインからは「母親がトーマス家で働いていたときに、養子を持ち、後に精神を病んだ」ときかされる。母を否定された上、実の父親と思っていたトーマス・ウェインに殴られてしまう。
いろんな意味で絶望と闇に落ちていったアーサーの姿をみていると、ジョーカーをただ単純にバットマンの強敵とみることはできなくなってしまう。
その後、アーサーは母親が入院していた病院へ行き、母親の記録を手に入れる。そこには、母親は精神疾患で入院していて、アーサーは養子であったということ、母親の相手の男性から虐待を受け、それがもとで脳に傷を負ったということがわかった。
知りたくない事実を知ってしまった、アーサーの思いはいかばかりか。絶望したアーサーは、入院している母親のところへ行き、母親を枕で窒息死させる。 守るべき人を失くしてしまったアーサーはジョーカーへと変貌していきます。
そして、アーサーは、憧れていた「マレーフランクリンショー」にゲストとして参加することになっていたので、銃を持って、ピエロの恰好でTVショーに出演するのです。このとき、アーサーはマレーに「ジョーカーと紹介してくれ」と頼むのです。ジョーカーとしてのデビューです。
ジョーカーのデビューは凄まじいものとなりました。生放送中に、地下鉄で3人を銃殺したのは自分だと告白します。そして、自分をバカにし、利用しようとしたマレーの頭部を銃で打ち抜くのです。
この生放送を観ていた、観衆は暴徒化し、ゴッサムシティは混乱に陥ります。ピエロの仮面をかぶった暴徒の一人に、家族で歩いていた、トーマス・ウェインと妻が撃たれてしんでしまいます。幼きブルース・ウェインが一人残されていました。
警察に連行されたジョーカーは、パトカーで連行中に、暴徒が奪った救急車が突っ込んできて、その暴徒によって警察から解放されたジョーカーは、まるで救世主のように祭り上げられていくのです。
心優しきアーサーが、現状を変えることがどんなにあがいても困難であることを悟り、信頼や愛に幻滅し、失うものは何もなくなりジョーカーへと変わっていく。これを観てしまうと、ジョーカーはもはや悪しき敵というような単純な存在ではなくなってしまった。
これだけ、アーサーのように虐げられた人が、こうなっていくのは、みていて痛々しいし、どうにかならないのかと煩悶してしまう。
トーマス・ウェインというという大富豪と恵まれた環境で育ったブルース・ウェイン。そして仕事を失い、病気を患い、収入のめどがない、アーサー。この格差はかなり大きい。
格差が広がりすぎると、その揺り戻しで、革命や暴動が起こりやすくなる。極端な格差は結果的に、社会が機能不全に陥ってしまう。そうなる前に何らかの手立てが必要だと思うのだが、、、、どうすればいいのやら。