思ったことを「メモ」にとっておく

主に読んだ本の備忘録として「本の抜き書き」と「思ったこと」を書きつづり、さらに本以外のことでも「メモしたこと」、「考えたこと」についてつづっているブログ

人はなぜ老いるのか?@『LIFESPAN 老いなき世界』第1章


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人はなぜ老いるのか?

 

この問いに一つの答えを出しているのがデビッド・シンクレア先生の『LIFESPAN』です。

 

 

 

以前のブログでも少々書きましたが、

 

strengths.hateblo.jp

 

今年どはまりした驚愕の本です。ざっくりえいば、老化は「病気」、病気だから治療法も予防法もある!という内容です。

 

しっかり理解して深堀していきたい内容であるので、全体像というよりも、細部にわたってまとめていこうと思います。けっこう難しい内容もあるので、詳細といいつつも端折りながら各章(第1~9章)ごとにまとめようと思います。

 

今回は、

 

第1章:老化の唯一の原因--原初のサバイバル回路

 

からです。

 

老化の「典型的特徴」には以下のような症状があるといいます。

 

・DNAの損傷によってゲノムが不安定になる

・染色体の末端を保護するテロメアが短くなる

・遺伝子スイッチのオンオフを調節するエピゲノムが変化する

・タンパク質の正常な働きが失われる

・代謝の変化によって、栄養状態の感知メカニズムがうまく調節できなくなる

・ミトコンドリアの機能が衰える

・ゾンビのような老化細胞が蓄積して健康な細胞に炎症を起こす

・幹細胞が使い尽くされる

・細胞間情報伝達が異常をきたして炎症性分子がつくられる

 

これらの「典型的特徴」の上流に老化の原因があるので、症状一つひとつに対処しても、別の症状が次から次へとでてくるので、この上流の抑える必要があります。

 

では、老化とは何なのか??

 

老化とはエピゲノム情報の喪失である。

 

エピゲノム???

ボクはこのエピゲノムをどこかで聞いたことあるけど、何かは良く知らない状態です。

 

とりあえず、デビッド・シンクレア先生の説明を見てみます。

 

生体内には2種類の情報(DNAとエピゲノム)があり、それぞれまったく異なる方式で符号化されている。

 

DNA(デジタル方式):情報の保存やコピーを確実に行うことができる

エピゲノム(アナログ方式):環境に柔軟に対応できるが、変化しやすい

 

私たちの体内の細胞1個1個にはすべて同じ遺伝子情報がしまわれているのに、それぞれの細胞は何百種類もの異なる役割へと分化する。そのプロセス全体を調整しているのがエピゲノムだ。

 

ゲノムがコンピューターだとするなら、エピゲノムはソフトウェアだといえる。分裂したばかりの細胞に対して、どんな種類の細胞になればいいのかを教えるのだ。

 

エピゲノムの情報がなかったら、細胞はすぐに自らのアイデンティティを失い、新しく生まれる細胞もアイデンティティを喪失する。そうなれば、組織や臓器はしだいにうまく機能しなくなって、ついには働きを停止する。

 

なるほど。永久保存に適したDNAと、環境の変化に対応できるエピゲノムってことですね。そしてエピゲノムがDNAのいろんな役割の指示を出したりするわけだ。上手い仕組みを生命は何億年もかけてつくりあげていったのかぁ。。

 

遺伝データを長期保存するには、化学物質を用いたデジタ情報システムが最も都合がよかった。だが同時に、環境条件を記録してそれに対応するために情報を蓄える必要もあり、それに一番適しているのはアナログ形式だった。

 

ただ、アナログシステムにも大きな欠点があり、それは、デジタルと違って、アナログ情報は時間とともに劣化することですよね。小中学生の頃はカセットテープやビデオテープで録音・録画していました。ダビングを何度も繰り返していくと、音も映像が劣化してくのがよくわかります。

 

そこで、この劣化を防ぐのが

 

長寿遺伝子:「サーチュイン(sirtuin)」

 

と言われるものです。

 

また、聞きなれぬ用語が出てきましたが、ここはかなり大事な用語なので、押さえておきましょう。このサーチュインが、色々な動物の平均寿命と最大寿命をともに延ばす力をもつことが示されいるそうです。

 

 

哺乳類では全部で7種類のサーチュイン遺伝子がみつかっている。

 

サーチュインは、必要に応じて遺伝子のスイッチをオフにしたり、オンにしたりすることができる。

 

細胞を制御するシステムの最上流に位置して、私たちの生殖とDNA修復を調節しているのだ。

 

サーチュインは私たちの健康や体力、そして生存そのものを司るように進化してきた。また、進化の過程で「NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)」という分子を用いて仕事をするようになった。加齢とともにNADが失われ、そのせいでサーチュインの働きが衰える。

 

サーチュイン酵素は、ストレスにさらされたときに生殖ではなく修復を選ぶことで、私たちの体に「じっとしている」よう命じる。また、老化に伴う主だった疾患から私たちを守っている。

 

マウスを使った研究によると、サーチュイン酵素を活性化することでDNAの修復が進み、記憶力が向上し、運動持久力が高まった。

 

このサーチュインが老化を予防する上では重要ってことになりますよね。本書では、サーチュイン以外にの長寿関連遺伝子についても挙げられています。たとえば、TOR(ラパマイシン標的タンパク質)をつくる遺伝子群や、AMPK(AMP活性化プロテインキナーゼ)をつくる遺伝子群などです。これらの遺伝子群も、DNAの修復や、老化細胞によって引き起こされた炎症の軽減、古いタンパク質の分解などを行っているそうです。

 

この長寿遺伝子群を起動するためには、どうすればいいのか?

 

これらの防御システムはすべて、生体にストレスがかかると始動するという共通点をもつ。

 

細胞を損傷させるような大きなストレスはそもそもNG。細胞を損傷させることなく、長寿遺伝子を働かせるストレス因子はいくつもある。ある種の運動をする、ときおり絶食する、低タンパク質の食事をする、高温や低温に体をさらす、などだ。

 

少しのストレスが加わることでこれらの遺伝子がプラスの方向に働けば、体は活動を控え、エネルギーを蓄えて、少し長く生きれることができるのだから。これが長寿への第一歩だ。

 

ここで第1章のまとめは終わりですが、ボク自身も正しく理解できていないところがあるかもしれないので、随時記事は修正していきます。ご容赦ください。