思ったことを「メモ」にとっておく

主に読んだ本の備忘録として「本の抜き書き」と「思ったこと」を書きつづり、さらに本以外のことでも「メモしたこと」、「考えたこと」についてつづっているブログ

私たちが築くべき未来@『LIFESPAN 老いなき世界』第9章


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Photo by Benjamin Davies on Unsplash

 

前回 「第8章 未来の世界はこうなる」からの続きとなります。


 

今回は、

 

第9章 私たちが築くべき未来

 

からです。

 

最終章であるこの章では、超長寿社会に向けて「どのような未来をこれから築いていくべきか」が述べられています。

 

健康寿命の大幅に延びる未来がかならず訪れるのだとすれば、その未来の世界をどういうものにしたいだろうか。

 

若々しくいられる時間を伸ばすことによって、すべての人の繁栄と、世界の持続可能性と、人間の尊厳を大きく高めることへとつながる未来だ。

 

この惑星に長く生きてきた人々が、その知識と技能によって敬われる未来、そして世界中が「善きサマリア人」となる未来だ。

 

ただし、その未来は保証されているわけではなく、闘ってつかみ取らなくてはならない。私たちにはいくつかなすべきことがある。

 

それでは、なすべきことを6つにざっくりまとめてみました。一つひとつみていきましょう!

 

1.「老化は病気」、老化研究に公的資金を今よりも多く投入する 

老化の研究者にとって、状況はことのほか厳しい。「老化の生物学的仕組み」を解明するための研究には、アメリカの医学的研究予算全体の1%も振り向けられていないからだ。

 

老化は病気だ。しかも、ただの病気ではない。あらゆる病気の母であり、私たちの誰もがその魔手から逃れられない。

 

老化が病気だということを、慣行のうえでも書類のうえでも最初に規定する国が、未来の方向性を変える。

 

寿命を延ばす新しいテクノロジーが個人のプライバシーにどう影響するか、また倫理上の問題は何かについて、議論するなら今である。

 

老化研究は他の疾患研究と比べると、これからなんでしょうね。でもすべての病気の最上流にあるのがこの老化という病気であれば、ぜひぜひ研究を進めて頂きたいです。

 

 

2.超長寿社会での医療制度:万人が医療を受けられるように 

老化を遅らせる効果の高い安全な薬が誕生すれば、それは健康寿命も延ばしてくれる。あとはいかに健康な状態を維持するかであり、それに要する医療費は著しく安価で済む。救急救命医療は高額ではあるがめったに発生しない。伝染病は科学技術を利用して、追跡・治療・予防が今よりはるかに効果的かつ効率的にできるようになる。

 

年齢や支払い能力にかかわらず万人が医療を受けられる道を選ばないとしたら、世界はどうなっていくか。富裕層が今以上に長く健康な人生を享受する一方で、貧困層は病気だらけの短い人生に耐えねばならない。これはもたざる者にとってはもちろんのこと、もてる者たちにとっても恐ろしい未来だ。

 

そうした方向に進んでいけば、結局は革命の種がまかれることになる。そして、革命が支配者階級に有利に運ぶことはまずないといっていい。

 

日本は国民皆保険制度なので、恵まれている方なんですかね。それでも保険料はけっこうしますよね。これが老化が疾患として予防医学として進んでいけば、ひいては保険料も下がってくることを期待したい。

 

 

3.人生の終え方を考える:自ら尊厳のある死を迎えられるようにする 

現時点では、人の死に方はたいていむごたらしいものだ。ただでさえ長い時間をかけて衰えていったあげくに、その痛みや苦しみや、当惑や恐怖に満ちた期間をわざわざ引き延ばす方法が編み出されている。

 

最後の息を引き取る日を自分の意志で決めたいと、正気の大人が思っているのなら、その人に罪の意識や恥辱を負わせる権利は私たちにはない。

 

健康に生きられる時間をできるだけ長くして、今よりずっといい条件で死を迎えられるようにしたいと考えているだけである。それも、できれば自ら決める条件で。準備のできたときに、苦痛なく速やかに、だ。

 

私たちは文化・倫理・法律の面で原則を定めるプロセスを始める必要がある。

  

ここは、賛否ありそうでボク自身も決定できないテーマです。ただ、ボク自身が死ぬときは、ずるずると苦しみながら延命治療はしたくないですね。誰にも負担や迷惑をかけることなくあっさり死んでいきたいです。 

 

 

4.大量消費の問題を技術革新で解決する:人類は創意工夫で困難を乗り越えられる 

問題は人の数ではない。消費の量なのだ。

私たちがどれだけ長く健康でいられるようになっても、地球の資源を消費し尽くして身を滅ぼしてしまったら元も子もない。

 

もっと体にいい食物を栽培して、それをもっと効率的に輸送できるようにする研究にだ。はっきりいっておくが、それには遺伝子組み換え作物を受け入れることも含まれる。

 

消費量を減らし、革新をさらに推進し、自然の恵みとバランスのとれた関係を築くのだ。それ以外に私たちが生き延びる道はない。

 

長寿と繁栄の時代の幕を切って落とすには、科学技術におけるこの種のパラダイムシフトがなくてはならない。そのパラダイムシフトを実現するには、洞察と先見性に満ちた科学者、技術者、投資家がもっと大勢必要だ。

 

SDGsにあるように持続可能な社会を築いていくことは、全世界的な目標ですし、それに則ったビジネスが隆盛していくのでしょうね。

 


5.健康長寿社会に向けて働き方を考え直す  

世界中のどのビジネススクールでも、迫りくる激変に備えて学生を教育したほうがいい。退職を個人の実年齢と結びつけるやり方は、ごく近い将来に時代錯誤になるからである。また、社会保障の場合と同じく、労働者年金を支える構造についても見直しが求められるだろう。

 

今後は、スキル習得のための長期休暇をとることが労働文化のなかで認められ、いずれは法律でも義務づけられていくはずである。

 

議論は今から始めておいたほうがいい。右肩上がりの保険料とピラミッド構造の年金を廃止し、結果として浮いた財源をどこに振り向け直すかが決まったとき、早くからこの問題を検討していた者が有利になるからだ。

 

超長寿社会になると、健康寿命も延びて年金を払う期間をどこまで伸ばすとか、いつから受給するのかとか、必然的に仕事に就いている期間はもっともっと長くなるから超長寿社会の働き方がどうなっていくのか気になります。

 

ボクは働きはじめてから、25年ぐらいになりますが、実は、まだ仕事人生の序の口だったりするのかもしれませんね。

 

 

6.孫の孫にも会える社会における責任とモラル 

今現在だけでなく、100年後の人類のためになる研究に投資し、200年後の地球の生態系と気候を心配するのだ。

 

新しい指導者が、公正かつ合法的に古い指導者と入れ替われる仕組みもつくる必要がある。

 

健康寿命が延びれば、社会や経済は大きな利益を受け取ることになる。それがかならず賢く使われるような、仕組みづくりも求められるだろう。

 

今以上に共感と思いやりの心をもち、人を許し、より公正になる。
友よ、私たちはもっと人間らしくならねばならないのだ。

 

 超長寿社会では、資源を大切に、隣人と平和で健康的に暮らすことができるように、人が人としてより人間的であること必要なんですね。もしかすると、ハラリ先生がいう、人間がアップグレードする過渡期がこれからやってくるのかもしれません。

 

 これで、『LIFESPAN』読書メモのまとめを終わりにします。ここまでしつこく読んだ本は久々でした。シンクレア先生の続編や老化研究は今後も追っていきたいと思います。