投稿日:2021年2月21日
誰もが知っている手塚治虫先生。驚異的な仕事量をこなしつつも、驚愕の作品を生み出してきた「マンガの神様」です。700タイトルにも及ぶ作品を生み出してきました。
普段、ブログではマンガのことはほとんど書かないけど、手塚治虫先生の漫画の中から、めちゃくちゃ影響を受けたものを「おススメ3部作」として紹介します。
おススメといっても、もう誰もが知っている作品です。
それは、
1.ブラックジャック
2.火の鳥
3.ブッダ
です。
この3部作はどれもが最高におススメです。小学生にも、中学生にも、高校生、大学生、社会人にもおススメです。万人におススメかな。
■手塚マンガとの出会い
ボクが手塚先生の漫画と出会ったのは大学2年生のときでした。
それまで、「手塚治虫」というと、「鉄腕アトム」や「ジャングル大帝」、「リボンの騎士」のイメージがボクの中では強すぎて小さな子ども向けアニメの原作者ぐらいにしか思っていませんでした。
だから、「ブラック・ジャック」や「火の鳥」もそういった子供向けの漫画と思っていました。
一方で、中学・高校のときは「ドラゴンボール」や「こち亀」、「北斗の拳」、「きまぐれオレンジロード」、「めぞん一刻」、「沈黙の艦隊」などを読んでいて、手塚マンガは一切読んでいませんでした。
大学2年のとき、構内にある大学生協で教科書等を購入しているときに、本のコーナーに漫画も置いていあることに気づき、そこに手塚治虫のブラックジャックの文庫本漫画が平積みされていたのです。
その表紙を見て「衝撃」が走りました。『ブラック・ジャックがぜんぜん子供向けのイメージじゃないんですよね。なんか、カッコイー感じのブラックジャックがそこにはいたのです。それで直感的にジャケ買いのような感じで、教科書と一緒に『ブラック・ジャック』も購入しました。
■1.『ブラック・ジャック』
文庫本シリーズは、作品の発表順ではないようですが、どこから読んでも1話完結なので問題なく読めます。ただ1巻には重要なキャラクターであるピノコの誕生が描かれているので1巻から読むのがおススメです。
無免許医でありながら、天才外科医でもあるブラック・ジャック。治療のためには時に莫大な費用を請求することも。人間の傲慢さ、弱さ、強さ、本当のやさしさ、不条理などを描いているのです。
ボクも手にとって、初めて読んだときは衝撃的でした。それまで全くブラック・ジャックをしらなかったので、すぐにはドはまりです。1巻を読んだその日のうちに2巻を買い求めに行きました。
何冊か読み進めていくうちに、本間丈太郎という医者が出てきます。この本間先生こそ、ブラックジャックの命の恩人であり、師匠なのです。
その本間先生が謎の奇病にかかり、その師匠を助けようとするのですが、ブラックジャックにはどうすることもできず、救うことができなかったのです。
ブラックジャックは「医者の存在意義とは何か?」「使命とは何か?」「生命とは何か?」といった究極の問いを突き付けられるのです。
もう、ぜんぜん、子どもだけが読むような漫画ではありませんね。考えされられ、そしてめっちゃ感動して読みました。
■2.『火の鳥』
『ブラック・ジャック』を一通り読んで、すっかり手塚治虫先生の漫画に魅入ってしまい、次は同じように文庫化されていた『火の鳥』を読むことにしました。
『火の鳥』は不死鳥=「永遠の生命」をテーマにしたシリーズです。「黎明編」「未来編」「鳳凰編」「ヤマト編」といったように時代や内容も多岐にわたります。全ての物語に共通して出てくるのが『火の鳥』です。
ボクがおススメなのは「未来編」です。全てのシリーズで登場する「火の鳥」が一体どういう存在なのか。それがはっきりと描かれている箇所があるのがこの「未来編」です。
宇宙生命そのものであり、個々の生命でもある「火の鳥」に触れることで永遠の命を手にしてしまった主人公は死ぬことができなくなってしまいます。
永遠に生き続け、そのうち肉体もいつの間にか滅び、存在だけとなり、いつもの間にか「神」のような存在になっているという、ぶっ飛んだ内容です。
生命はどこからきて、どこへ行くのか。妙に説得力のある内容なんですよね。手塚治虫って本当に神なんじゃないかと思ってしまいます。
■3.『ブッダ』
「火の鳥」を読んだ後に「生命とは何か?」という「問い」にヒントをくれそうな内容だったので読んでみました。
『ブッダ』とはBuddha=「仏陀」のこと。つまりお釈迦様のことです。日本では、お釈迦様はホトケ(仏)さまで、まるで全知全能の神のような存在になっていますが、この『ブッダ』そいう存在では全くありません。
この『ブッダ』では苦悩しながらも生き抜く人間シッダールタの物語なのです。
王家の王子だったシッダールタが出家して、苦行する中で、苦行が無意味とわかり悟りを開きます。それからは「目覚めた人」という意味の「ブッダ」と名乗るようになります。
正しい見方を持ち、正しい行いをすれば、誰もがブッダになれるとゴータマ・ブッダは出会う人たちに語り続けます。
ブッダになったあとも、ブッダは苦しむこともあれば、悩むこともあります。それが人間ブッダの真骨頂です。
そしてカースト制度を通して、「生まれながら差別があるのか?」「差別とは何か?」を考えさせられる内容でもあります。
ボクはこの『ブッダ』を学生の時に読んで、原始仏教に興味を持ち、『ブッダのことば: スッタニパータ』などの原始仏典を読んだり、友人と「ブッダ勉強会」と称して、テキストを『ブッダ』を使いながら、実際の原始仏教も勉強したりしました。
それでわかったのは、この『ブッダ』は手塚治虫先生の世界観で描いたブッダであって、このブッダ伝がそのまま、原始仏教でいわれているブッダとは異なるということです。
しかし、基本的な「人間・ブッダ」というエッセンスは全く同じです。そのエッセンスを外すことなく、ブッダを見事に描き切っているのが手塚治虫先生の『ブッダ』なんです。しかも、引き込まれるような面白さもあるわけです。
■おわりに
以上がおススメの三部作です。
この三部作のどれにも共通しているのが、「どう生きるか」「生命とは何か」がテーマとなっているということです。
三部作はどれもが、想像を超える内容です。子どもだけではなく、大人こそ読むべき本だと思います。まだ読まれていな人がいればぜひぜひ読んでみてください。
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■大人買い