思ったことを「メモ」にとっておく

主に読んだ本の備忘録として「本の抜き書き」と「思ったこと」を書きつづり、さらに本以外のことでも「メモしたこと」、「考えたこと」についてつづっているブログ

【書評】『人生に必要な教養は中学校教科書ですべて身につく』@イマドキの中学校教科書がスゴイ!


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更新日:2021年4月3日  (投稿日:2020年12月21日)

 

 

仕事で、中学生・高校生に数学などを教えることがあるが、その際、彼らが学校で使っている教科書や傍用問題集をよくみる。

 

 

みていて、いつも思うのは、

 

 

今の教科書は前よりもかなり良くなっている!

 

 

ということだ。

 

 

約30年前、ボクが中学・高校生の頃の教科書は味気ないもので、一人自力で読める代物ではなかった。

 

 

ところが、今の教科書は内容のわかりやすさに多くの工夫がほどこされ、写真や色使いなども含めてかなり読みやすくなっている。

 

 

今の教科書は、ボクらが中学・高校生の頃に使っていた参考書レベルの見やすさになっているのだ。

 

 

「中学校教科書」にそんな感想をいだいていたところに、ジャーナリストの池上彰氏と知の巨人である佐藤優氏が「中学校教科書」をめぐって対談している本をみつけた。

 

 

人生に必要な教養は中学校教科書ですべて身につく-12社54冊、読み比べ (単行本)

 

 

 

 

それでは、内容をみてみよう。

 

 

要約

 

中学生が楽しく学べるように、工夫に満ちた中学校教科書。それは中学生だけではなく、勉強から離れてしまった大人が基本的な教養を再確認したり、あらたに身につけるためにも役立つ。

 

池上彰氏と佐藤優氏が英語、数学、国語、理科、社会(地理、歴史、公民)、道徳の中学校教科書(12社54冊)を読み解いてる。その内容がいかにこれからの社会に必要な基礎力となるかを解説している(各科目ごとのポイント解説もあり)。

 

 

読書メモから

 

池上彰氏のニュース解説の多くは中学校教科書に出ている

 

池上:
フリーランスのジャーナリストとしてテレビでニュースをわかりやすく解説する仕事をしていますが、しばしば「いろんなことを知っていますね」と言われます。実はそのほとんどは中学校の教科書に出ていることなのです。私の知識の多くは中学校までの教科書によって得たものなのです。

 

教科書の価格は安いもの。じっくり読んで頭の中を掃除したり再整理したりするのに絶好の教材です。 

 

 

まったく同感。高校の教科書ほど内容が難しくないのと、解説・図解等がとにかくわかりやすい。興味を持って読めば、面白い読み物としても読むことができる。

 

 

 

 

社会人の基本教養の学び直しに最適

 

佐藤:
社会の中堅と目される30代、40代、あるいはそれ以上の世代であっても、遅くはない。もし、必要とされる教養が不足しているという自覚があるならば、今からそれを身につけましょう。その術はあるのです――というのが、今伝えたいことなのです。

 

池上:
今おっしゃった「必要とされる教養」には、当然「このグローバル時代を生き抜くために」とか、あるいは「来るべき、“AI時代”を見据えて」といった「枕詞」が付けられるわけですね。

 

社会人になってからこそ、基本的な教養が必要な場面は出てくることがある。そのときこそ、専門書よりも、入門書ともいえる「中学校教科書」で学び直した方がよさそうだ。

 

 

なぜ「高校教科書」ではなく「中学校教科書」なのか?

 

池上:
あらためて、「テキスト」に中学の教科書を選んだ理由を聞かせてください。

 

佐藤:
ひとことで言えば、日本の義務教育の最高段階が中学校だからです。高校に行くと教わることがグンと高度になるので、テキストとしては難しすぎる、というのも理由です。

 

池上:
裏を返すと、現代を生きる日本人にとって必要な教養は、中学の教科書をマスターすれば十分である、と。

 

中学3年までの内容を概ねマスターしたら、大変な「もの知り」になれるということです。

 

高校生を教えているのでことのことはよくわかる。高校の教科書は中学校よりも内容がかなり高度になり、自力で読んで理解することが困難になってくる(読みやすい易しめの教科書もある)。

 

中学では授業だけを聞いて、定期テスト前にちょこっと勉強すれば90点以上取っていた中学生が、高校に入って、同じようなことをしようとして、1年次の終わりにはまったくそれが通用しなくなっていることに気づくはずだ。

 

英語も数学は特にそうである。中学校と高校の内容の難易度の上がり方がえげつないものがあるのが現実だ。

 

そういうことも踏まえると、教養レベルの知識は高校教科書よりも、まずは中学内容で十分ではないかとボクも思う。

 

 

 

「中学教科書」から社会人に必要な教養は満たされる

 

佐藤:
実は、「教養」という言葉の定義は曖昧です。マニュアルもありません。ただし、どの国に行っても一定水準の「知のスタンダード」があって、それがすなわち義務教育で学ぶ中身なのです。それをマスターしておけば、社会で生きていける組み立てになっている

 

池上:
「中学の勉強は、高校受験のためにあった」という印象をもっている人は、もう一度その原点に立ち返ってみるのがいいですね。

 

佐藤:
社会人としての必要条件は、それで十分に備わるのです。ところが、なかなかマスターすることができていない、という現実があります。そういう自分の姿を再認識するためにも、中学の教科書をあらためて丁寧に読んでみてほしい。「知のチェック」を行いながら、スタンダードを身に付けていくのに、これ以上の教材はありません。

 

池上:
加えて、今の大人世代が学んだ中身と今の教科書では、書かれていることが劇的に違います。現代に必要なスタンダードを学び直すことで、「知的再武装」になるでしょう。

 

ということで、改めて、ビジネス書を読む感覚で、中学校の教科書を手にとって読んでみるのもよさそうだ。

 

 

 

まとめ

 

タイトルは『人生に必要な教養は中学校教科書ですべて身につく』である。実際に中学校教科書を読んでみると、中学校教科書を理解しマスターできれば基本的な教養は確かに身につくと思う。

 

個人的には、社会や理科を中学校教科書で学び直すと、自分の知識に抜けがあったり、新たな発見や気づきもある。そういう意味で大人も読んだ方がよいのではないかと思った。

 

この『人生に必要な教養は中学校教科書ですべて身につく』はその必要性とどんな教科書があるのか、また読み方のガイドブックのような本ともいえる。

 

 

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『人生に必要な教養は中学校教科書ですべて身につく』の目次

 

■目次
はじめに
序章に代わるブレインストーミング 今なぜ「中学の教科書」か
第1章 地理 地理が読み解ければ“世界”が見える
第2章 歴史 人類の出現から現代まで、一気に「大河」を下る。
第3章 公民 社会の仕組みをインプットして足元を固める。
第4章 理科 日常が科学で成り立っていると知る
第5章 数学 コトの真偽を見極めるための土台
第6章 国語 中学の教科書は現代文教材の「完成系」
第7章 英語 ひたすら音読して、「中3レベル」をキープする
第8章 道徳 自分と他人の「スタンダード」を知る
あとがき

 

 

追記:

教科書の入手は以下サイトを参考にどうそ。

www.text-kyoukyuu.or.jp