投稿日:2021年2月19日
仕事上のストレスで悩み、「ストレス解消」の本を手に取って、むさぼるように読み、読み終わったあと「これでストレス解消できる」と根拠なき自信をもってしまう。
そして、いざストレスにさらされたとき、何等かの方法を試そうと思っても、どうも上手くいかない。あれ?こんなはずじゃなかった……となる。
こんな感じになってしまった人はボクだけではないと思います。
■言葉は何かを分ける
本や雑誌の活字には、確かに人を鼓舞するチカラがあります。アタマの中なかにあるモヤモヤした疑問や迷いが明確になります。
それは、複雑で重層的に絡み合った物事を、言葉が単純化して明確にしてくれるからなんですよね。
■言語化することで失われてしまっていることがある
でも、言語化して複雑な事象をシンプルに分けることで、何かが失われてしまっていることも確かです。
ボクの個人的な感覚ですが、それは氷山の一角レベルじゃないかと思います。
複雑で重層的な世界を言葉によって見えやすい部分だけを切り出しているような感じです。
■本(言語)だけで全てを学べるわけではない
言語化することで切り捨ててしまった部分(氷山の海面下部分)の方が情報量としては多いので、何かができるようになるためには、本当はそこもみていかないとできるようにはなりません。
特に本などの活字は、物理的な分量の限界もあるので、無限増にすべての事を書きあらわすことなどできません。編集され、複雑で重層的な情報は切り捨てられます。だからこそ明確になってわかりやすくなるのでしょう。
実際に、その捨てられた情報の中には、ひとそれぞれの経験や体験といった非言語的な内容もあったりします。しかし、本の中には無いわけです。だから、本を読むだけで全てを学ぶことはできないのでしょう。
では、どうすれば、それができるようになるのか?
『Think Smart』の最後の章から、このことについて学んでいきます。
■『Think Smart』から学ぶ
最終章の第52章は
学問だけで得た知識では不十分なわけ【知識のもうひとつの側面】
がテーマとなっています。
著者のロルフ・ドベリ氏は
知識には、ふたつの種類がある。「言葉にできるもの」と「できないもの」だ。私たちには、「言葉にできるほうの知識」を極端に過大評価する傾向がある。
と言います。
ボク自身もこの傾向が強いので注意していきたいところです。
だが本を読んだり思索をめぐらせたりしても、アイデアを思いついたり、新しい製品を完成させたり、なんらかの能力を身につけたりできることはまずない。それができるのは、主に実際に試したり実地で見て覚えたりしたときだ。
ここに、最初の答えがありますね!!
実際に試したり実地で見て覚えたり
これに尽きるのでしょうね。
たしかに、「自転車の乗り方の本」を読みながら、自転車を乗れるようになったのではなく、何度か乗ることにチャレンジしていくうちに乗れるようになりました。
逆に、「自転車の乗り方の本」を読んでいたとしたら、アタマの中では、乗れていたかもしれないけど、実際には乗れないままだったことでしょう。
■知識の問題点
ロルフ・ドベリ氏は言葉にできる知識の問題点を次のようにあげています。
1.「言葉にできる知識には、曖昧なところがない」
本に書かれているような明快さや、現実の世界には存在しない。そのため、書かれた知識をもとに決断を下すと過度なリスクを背負い込むことになる。書かていることが常に正しいとは限らないからだ。
2.「本を書く人の頭の配線は、本を書かない人とは違っている」
だから、本に書かれていることが、この世界を正確に写しとっているとは思わない方がいい。
3.「言葉は能力をカバーできる」
表現に長けた人は能力以上の地位を獲得できる。自分をうまく表現できない人は、昇進のチャンスも少ない。言葉で表現するのが苦手なだけで、その人は、実は大きな才能に恵まれているかもしれないのに。
本や雑誌、WEBも含めてですが、言葉には限界があり、間違って使われることもあるわけです。だから、知識の集大成である本が「全て」であると思ってはならないですね。あくまでも目に見える氷山の一角であることを忘れてななりません。
■まとめ
最後にロルフ・ドベリ氏は、こう結論付けています。
重要な知識は実践を通して得られるもの。書かれた文字に畏敬の念を抱くのはやめたほうがいい。
本から得られる情報が全てではありません。そこはまだスタート地点に立ったにすぎません。そこから実際に足を踏み出して進んでみなければ本当の実りある知識にはならない。
少しても、試して、経験する。
本の価値を最大化するのはここにありますね。
読みっぱなしではなく、実際に試す。
得た知識はどんどん使ってみて、やってみて、自分のものにしていきたいです。
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