投稿日:2021年5月26日
「老化は病気」と言っているハーバード大学のシンクレア先生の『LIFESPAN』を読んでいくなかで、いたるところで「生物」の基礎知識の無さから難しく思えたものだ。
おそらく、高校の「生物基礎」の教科書で書かれていることが理解できていれば、スムーズに読めたのであろう。
そんなことを思っていたときに、『LIFESPAN』の翻訳者の方がオススメされていた本がこの『LIFE SCIENCE』なのだ。タイトルがちょっと似通っていてるのがアレなのだが……
この本の著者である吉森保先生は生命科学の専門家であり、ノーベル賞を受賞した大隅良則先生と共に「オートファジー」を研究された方でもある。
シンクレア先生の『LIFESPAN』では、オートファジーのことはあまり言及されていなかったと思うが、この『LIFE SCIENCE』ではメインディッシュが「オートファジー」なので、長寿のことを知りたければやはりこの本も読んでおくべきであろう。
こんな人におススメ
・生命(細胞)の基本を理解したい人
・オートファジーについて知りたい人
・健康寿命を延ばしたい人
ざっくり要約
この本は生命科学の基礎である「細胞」に光をあて、細胞がどのような存在で、どのように活動をしているかをわかりやすく解説されている。
生命の基本は、細胞です。つまり、細胞を知っておくと、人間の体や遺伝子、病気、その未来のことまで理解できます。この本では、まずは細胞の成り立ちについて、みっちり学びます。すなわちそれが、生命科学の基礎だからです。細胞を知れば生命のしくみがおのずとわかってきます。
生命のしくみ、つまり、生まれて、成長して、病気になり、老いる。この一連の生命活動を細胞から紐解いていく。とくに気になるのが「病気」や「老い」だ。
この本では「オートファジー」という機能で細胞を元気にし、病気や老いに立ち向かうことができるとしている。
オートファジーは、ざっくりいうと、細胞を「自分の力で新品にする機能」です。
私たちの体は細胞が集まってできており、どんな病気もどこかの細胞が悪くなることから始まります。
最後の章では、「寿命を延ばすために何をすればいいか」について、5つの観点から説明されている。
1.カロリー制限
2.インスリンシグナルの抑制
3.TORシグナルの抑制
4.生殖細胞の除去5.ミトコンドリアの抑制
理由ははっきりしていないが、どれもが生存には必要な機能だけれども、機能は抑えた方が寿命を延ばす面では良いということがわかっている。
1~5に共通していることは、いずれもオートファジーが活性化することだ。
終わりに
この本は生命の基本である「細胞」について比較的わかりやすく書かれていると思う。それでも、やはり普段あまり耳にしない言葉を目にするので人よっては(少なくとも私には)には難しい箇所も何点かあった。
だから、この本は何度も繰り返し読んで、生命活動の基本の場となる「細胞」についてよくよく理解できるようになりたいと思った。
『LIFE SCINECE』の目次
第1章 科学的思考を身につける
第2章 細胞がわかれば、生命の基本がわかる
第3章 病気について知る
第4章 細胞の未来であるオートファジーを知ろう
第5章 寿命を延ばすために何をすればいいか