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主に読んだ本の備忘録として「本の抜き書き」と「思ったこと」を書きつづり、さらに本以外のことでも「メモしたこと」、「考えたこと」についてつづっているブログ

老化を治療する薬(前半)@『LIFESPAN 老いなき世界』第5章


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LIFESPAN(ライフスパン): 老いなき世界

 

前回 「第4章 長寿のために今すぐできること6選(6.NotToDo:タバコや化学物質、放射線などを避ける)」からの続きとなります。


 

今回は、

 

第5章 老化を治療する薬

 

からです。 

 

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前回までが老化に対して今すぐできることでしたが、今回は老化の治療薬についてです。「老化も病気」ということから「病気ならば治療薬がある」ということで、この章です。

 

どのように老化が起きているのか?

 

今度は、カラダの中でおきていることを、ナノスケールの世界でまずはとらえてみます。

 

生命をナノスケールで見ると、たんに一連の化学反応が起きているにすぎない。普通ならけっして組み合わさらないような原子が1か所に集められて結合し、通常ではけっして分解されない分子がばらばらにされる。この作業を担当するのが酵素だ。

 

生命活動を成り立たせるために、酵素は偶発的な分子の運動を利用している。

 

ナノスケールの世界では、偶発的な分子運動が生命活動を維持するのに欠かせないようですね。

 

秩序が現われ出るにはこの混沌がどうしても必要だ。混沌がなければ、生命維持のために結合しなければならない分子同士が出合わず、1つになれないことになる。

 

この混沌が停止し、酵素がにわかに仕事をしなくなれば、私たちはみなものの数秒で息絶えるだろう。細胞の防御機能やエネルギーがなければ、生命は存在し得ない。

 

根本的なレベルでみれば生命はじつに単純だといえる。私たちは、混沌から生じた秩序のおかげで存在している。

 

なんだか、難しい話になってきましたが、より詳しいことは本をご参照ください。ともあれ、このように生命の仕組みがわかってくるに従って、いわゆる「薬」を使って、その分子運動に介入することもできるようになり、病気を治療してきたのですね。

 

 

今や私たちは生命の仕組みを知り、それをゲノムやエピゲノムレベルで変えるツールを手にした。だから、この古くからの知恵をさらに発展させることができる。健康寿命を延ばすという面でいうと、老化への影響がすでに実証されている2つの薬を利用するのが一番の近道だろう。

 

ここで、いくつかの有望と考えられる薬が紹介されています。ちょっと長くなるので、前半と後半にわけることにします。

 

1.ラパマイシン

・強力な免疫抑制機能

・臓器移植とは無縁な人の生命力も延ばしてくれる潜在能力をもっている。

・寿命を延ばす働きをもつことが、様々な動物を使った世界中の実験によって一貫して確認されているのだ。

・ラパマイシンがNADの生産を促すおかげで、母細胞から生まれる娘細胞の数も増える。

長期にわたって大量に摂取すると、腎臓を損なうことがわかっている。

 

このラパマイシンは、大量に摂取することで腎臓を損なうということろから、使うのはかなりためらわれますね。

 

2.メトホルミン

・糖尿病治療薬

・最近の研究からは、血糖値が高いと「エピゲノムの老化時計」が速く進むおそれのあることが示唆されている。

・メトホルミンを服用している患者は、そうでない人より際立って健康状態がいい。

・ラパマイシン同様、メトホルミンを摂取した場合もカロリー制限に似た効果が現われる。

・がんの罹患率をさげる。

AMPKを活性化させる力により、NADの濃度を上昇させ、サーチュインのような老化への防御機能全体を始動させる。病気の上流でのサバイバル回路を働かせ、エピゲノムの情報が失われるのを顕著に遅らせ、代謝を抑えることで、あらゆる器官が若く健康でいられるようにするのだ。

・健康な被験者にメトホルミンを服用させたところ、血液細胞のDNAメチル化年齢が1週間で若返ることが確認された。

・メトホルミンを「抗老化薬」として処方する国は現時点でほぼない。

 

これは有望な気がしますが、糖尿病の治療薬ってことで入手できなそうです。このようにもともとは何等かの治療薬であったものが、別の症状にも効果があるということで使われるようになった薬もありますから(IBSの特効薬でもあるイリボーがそうですね)、今後どうなっていくか推移を見守ることにしましょう。

 

 後半へ続く。