思ったことを「メモ」にとっておく

主に読んだ本の備忘録として「本の抜き書き」と「思ったこと」を書きつづり、さらに本以外のことでも「メモしたこと」、「考えたこと」についてつづっているブログ

使命と原点 @ 「不毛地帯」最終回を観て


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 約半年間放映してきたフジテレビ開局50周年記念ドラマ「不毛地帯」が昨夜最終回をむかえました。このドラマは録画して欠かさず観ていました。主人公である壱岐正の生き様をみながら自分の使命と原点を省みることができました。感動して観終えた後は他のことが手につかなかった・・・。
 

 
 ここから先はドラマを観ていない人にはネタバレとなりますのでご注意を。
 
■あらすじ(Wikipediaより)

主人公の壱岐正(いきただし)は陸軍中佐で大本営参謀。終戦の詔に対し、参謀総長の命令書が出されていない以上武装解除に応じる必要がないと解する関東軍部隊の説得に努めた。日ソ中立条約を犯して侵攻してきたソ連軍に拘置され、重労働の刑(25年)を宣告されシベリアに送られる。そこで11年の抑留生活をおくることになる。帰国後参謀としての経歴を買われ商社の近畿商事に入社し航空自衛隊の次期戦闘機選定争いの仕事で辣腕を振るうことになる。後半部では日米の自動車会社の提携、中東(イラン)での石油発掘プロジェクトにも携わっていく。イラン・サルベスタン鉱区での石油発掘に成功した壱岐正は、近畿商事社長の大門に勇退を進言し、みずからも近畿商事をやめてしまう。そして、壱岐は第三の人生として、長期シベリア抑留者の親睦団体である朔風会(さくふうかい)の会長となり、シベリアへ現地で死んだ日本人の墓参りと遺骨の収集に行く。

 
 このドラマをみようと思ったのは、山崎豊子原作の他のドラマ(「華麗なる一族」、「白い巨塔」)や映画(沈まぬ太陽)がけっこうボクの中でヒットしたからです。また、この「不毛地帯」の最初の舞台がシベリアなのですが、実は祖父が戦時中、樺太で仕事をしていて、それ以降帰国することはありませんでした。行方不明のままでしたが、後にシベリアに抑留された可能性があると伝えききました。そういったこともあり興味を持ちながらみはじめたのです。

 壱岐は戦争がはじまった原因のひとつに石油資源の確保があったといい、その戦争で自身と共戦の友が悲惨な思いをしてきたことから、壱岐にとって油田開発プロジェクトは使命ともいえるものであったといえます。
 
 妨害や非難中傷を味わい苦難の末、やっと石油を掘り当て、いつもは冷静沈着な壱岐も涙を浮かべながら喜びと感謝を周囲の者に伝えていました。そして、壱岐自身をどこまでも重用してくれた大門社長に後継の人たちのために一緒に会社を辞めることを進言します。
 
 単純に欲や出世願望だけでは、こういった幕引きはできないと思います。でも、使命ある仕事を成し遂げ自分の原点を常に見失うことなく生きてきたからこそ、成長した商社の社長というポジションの魅力にも振り回されず自分自身に生きることができたのではないかと思いながらみておりました。唐沢寿明の見事な壱岐の演じ方には感動しました。
 
 終わったあと、一緒に見ていた奥さんも同じことを考えていました。それはやはり「使命」と「原点」です。社会に出て10数年が経ち、いろんな雑音に振り回され自分自身の進むべき道を違えていないか? そもそも何のためにやっていることなのか? 原点を忘れていないか? 使命に生きているのか? 改めてそれを思い出させてもらいました。
 
 シベリア・戦争という原点を持ち、抑留者への弔いと二度と戦争を起こさせないという決意から発した使命を、壱岐の生き様から感じとれました。自分にとっての原点と使命はいかばかりであるか? それを問い直す機会となる最終回でした。観終えた後は奥さんと寝るまで語り合っていました。
 
 
不毛地帯(1〜5巻)山崎豊子

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