「強み」についていろいろと書いてきましたが、「弱み」についても書いていこうと思います。おそらくいままで日本の学校教育を普通に受けてきた人の大半が「弱みを克服することは正しい」と思っているんじゃないでしょうか。
「弱み」を克服することに絶大なるエネルギーを注ぎこみ、「強み」は放置・無視というのが実情に近いのではないでしょうか。全体均一化を目指している日本の教育では、弱い部分を上げることが最重視されています。なぜ、ひたすら弱点の克服に多くのエネルギーを注ぐのか。それは誤った思い込みがあると、ドナルド・O・クリフトンは次の本で書いています。
『強みを活かせ!』ドナルド・O.クリフトン等
- 作者: ドナルド・O.クリフトン,ポーラネルソン,Donald O. Clifton,Paula Nelson,宮本喜一
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2001/05
- メディア: 単行本
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思い込み・迷信について何点か書いているんですね。少しピックアップすると、
■弱点を克服すればすべてがうまくいく
もし自分の弱点を克服できれば、その人は強くなる。もし組織の弱点を解消すれば、その組織はさらに進歩し発展する。要するに、もしすべての弱点が排除されれば、あるいは克服されれば、すべてが完璧になると思い込んでいる。
この思い込みが大半を支配しているんじゃないかと思いますねー。といっても、強みが1つあったとしたら、弱みが100ぐらいあるといわれるので、100を全て平均並にする時間だけで人生が終わってしまいそう(汗)。
■誰でも心に決めたことは必ず実現できる
「人はだれだってどんなことでもできる」という論法は、人はすべてクローンであり、皆一同の才能を持っていることを前提としています。われわれは一人ひとりは他人と違う存在で、その人ならではの独自の強みを持っています。適切な動機づけをすれば何でも訓練できてしまうロボットではありません。
この「人はだれだってどんなことでもできる」というコトバは聞こえがいいし、「そうあってほしい」という願望もあるので、信奉されやすいお題目だと思います。自己啓発系にはこの類が多い気がします・・・。
現実は、一人ひとりは、かなーーーり異なっているので、「誰だってどんなこともできる」とはなりません。まだ「君だったらこんなことができるんじゃないか」というのならわかりますけど。誰にでも同じことを教えたり、学ぶこということは、強み・弱みを判断する上ではいいですが、弱みとわかってそれを補強しようなんてことをやっていたら時間がいくらあっても足りないですね。
限られた人生の時間の中で、自分の強みを見い出しそれを更に強くする。そういうスタイルでありたいと思っています。
「豚に歌を教えようとするな。時間の無駄で、豚にとっても迷惑だ」というアドバイスがあります。しかし、われわれは相も変わらず、ビジネスや教育のあらゆる場面で「豚に歌を教え込もう」としています。
「相も変わらず」とあるように、弱みを強くしようとするのは盲目的になされがちですよねー。弱みよりも強みを伸ばす社会にしていきたいデス。