ボクは本、WEB、雑誌や新聞の文字を普通に読むことができるし(たまに読み間違えるけど)、文字に書かれている意味を理解することはできる。ところが、世の中にはいろんな人がいて、「文字が読めない」とか「文字の意味がわからない」といった学習障害を持つ人がいる。失読症と言うようです。
読むことに普通の人の何倍も苦労し、努力して学習してきた。「学習で恐怖し、悲しみ、不安を抱かずにすむ方法を探り出したいと思い、認知科学の道を選んだ」という。そして認知科学の博士号を取るまでに至り、Google社のCIO(最高情報責任者)になったという。
そんな人が編み出した「情報の整理術」について書かれた本である。ただの整理術の本ではない、小さいときからの様々な体験から苦労して得てきた整理術である。もちろんITツールをつかった情報整理に関することも書いてあるが、人生のあり方にまで言及されている。
『グーグル時代の情報整理術』ダグラス・C.メリル、ジェイムズ・A.マーティン
- 作者: ダグラス・C.メリル,ジェイムズ・A.マーティン,Douglas C. Merrill,James A. Martin,千葉敏生
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/12
- メディア: 単行本
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自らの体験から著者特有の「整理術の原則」なるものが20ある。ちょっと、多いけどすべて紹介します。
- 脳の負担がなるべく少なくなるように、生活を組み立てよう。
- なるべく早く、頭の中から情報を追い出そう。
- いったん頭を空っぽにしなければ、短期記憶は情報であふれ返り、本当に覚えたいことを忘れてしまう。
- “ながら作業”は一般的に効率を低下させる。
- 物語を使って覚えよう。
- いつもそうしているからといって、そうしなければならないわけではない。
- 知識は力ならず。知識の共有こそ力なり。
- 思い込みの制約ではなく、現実的な制約をくぐり抜ける術を身に付けよう。
- 存在しない制約を克服するために無駄な時間やエネルギーを注ぎ込まないためにも、両者の違いを知ることが重要だ。
- 自分を決め付けるのではなく、自分自身に心から正直になろう。
- 制約を無視すべきケースを知ろう。
- 恐怖こそ、最も無視するにふさわしい心理的制約だ。
- エンジンをかける前に、どこへ向かっているのか、どうやって向かうのかを明確にしよう。
- 目標の達成方法に幅を持たせよう。
- 情報を整理するのではなく、検索しよう。
- 新時代の整理術は、いわば”整理しない”自由さえ与えてくれるのだ。
- 検索は、新時代の整理術の基本だ。
- 本当に記憶の必要な物事だけを記憶しよう。
- 大きなかたまりを、小さなかたまりに分けよう。
- 人間の脳は、小さな情報をたくさん記憶する方がはるかに得意だ。
- 週1回、重要な情報を見直す時間を設けよう。
- 完璧な整理術などない。
- 重要なのは、その方法の限界を把握し、それをうまくくぐり抜ける方法を見つけ出すことだ。
- あとで検索しやすいように、デジタル情報には関連キーワードを追加しよう。
- 文脈の変化を見越して、メモを取っておこう。
- 文脈の似た仕事をまとめて行う。
- 仕事とプライベートのバランスを取るのではなく、融合させよう。
とくに、「情報を整理するのではなく、検索しよう。」というのはグーグルぽくておもしろい。しかし、著者が失読症と付き合っていくなかでつくりあげてきた整理術でもある。この言葉が意味するところは大きいと思う。
この本の最後の方に「想定外の出来事に対処する」という章がある。大きな問題に直面したとき、人生の全てが試される。最重要のパートナーに起きた出来事を通して語られている。ここは絶対に読んでいただきたいところ。何が大事なのかがよくわかります。