思ったことを「メモ」にとっておく

主に読んだ本の備忘録として「本の抜き書き」と「思ったこと」を書きつづり、さらに本以外のことでも「メモしたこと」、「考えたこと」についてつづっているブログ

【書評】『2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ』@ 加速についていけるだろうか?

投稿日:2021年6月28日

 

この本のタイトルはかなりインパクトがある。だから、タイトルと表紙のイメージで買ってしまった。

 

450ページ近くあるなかなかボリューミーな本で、けっこう内容が濃い。読むのに時間がかかってしまった。

 

「2030年」の世界はどんな風になっているのだろうか?そんなことを思いながら読んだ。あと9年もすれば2030年だ。東日本大震災から10年。それから今に至るまで、あっという間であったから、2030年も同じようにあっという間にやってくるのだろう。

 

そんな2030年に向けて、すべてのことが「加速」するという。そんな加速する世界に備えてね、と。

 

ただ、  原題は「The Future is Faster than You Think」とあり、2030年にフォーカスしたタイトルではない。「未来は思っているよりもより速くすすむよ」とあるようにぼんやりしている。原題から、この本は「2030年がどうなっているか?」ということが趣旨ではない。

 

ということで、すっかり「2030年」というタイトルに釣られてしまった。

 

 

  

この本の著者であるピーター・ディアマンティスは長寿・医療分野の起業家であり、スティーブン・コトラーも、ジャーナリストでありつつも起業したり、フロー状態の専門家でもある。

 

両者とも、各分野での最新テクノロジーを身近に感じつつ、その最先端具合が加速度的に変化していくのを肌で感じ、各テクノロジーが融合しつつあることで指数関数的な速さで世の中が変わっていくということを、この本で紹介している。

 

 

 

 

こんな人におススメ

 

・10年後、20年後の未来がどう予測されているのかを知りたい人

 ・今の急成長しているテクノロジーにはどのようなものがあるのかを知りたい人

 ・「空飛ぶ車」が実現するのかどうかを知りたい人

 

 

 

ざっくり要約

  

進化するテクノロジー(たとえば人工知能、AI)が、同じく進化する別のテクノロジー(たとえば拡張現実、AR)と合わさったとき、何が起こるのか。もちろんAIもARもそれぞれが強力なテクノロジーだ。だが今、小売り、広告、娯楽、教育をはじめ多くの産業に破壊的変化が起きていて、しかもこれからさらに大きな変化が起ころうとしているのは、両者の「コンバージェンス(融合)」の結果である。

 

様々な分野の最新のテクノロジーが、エクスポネンシャル(指数関数的)に加速し、さらにそれぞれのテクノロジーが絡み合い融合すると、破壊的な変化を引き起こすという。しかも、この変化は10年ほどで起こってしまうかもしれない変化というのだ。

  

この本では3部構成でつづられていて、どの分野のテクノロジーが急成長しているのか(1部)、それがどの産業に変化を起こすのか(2部)、さらに未来のグローバル化はどすすんでいくのか(3部)についての未来像が描かれている。

 

 

1部:現在エクスポネンシャルな成長曲線をたどっている9つのテクノロジーについて、現在どのような状態にあり、どこへ向かうのかを見ていく。

 

9つのテクノロジーと書いてあるのだが、どのようなくくりで9つなのだろうか。10はあるような気が・・・。

 

・量子コンピューター

・人工知能(AI)

・ネットワーク

・センサー

・ロボティクス

・仮想現実(VR)と拡張現実(VR)

・3Dプリンティング

・ブロックチェーン

・「材料科学」とナノテクノロジー

・バイオテクノロジー

 

 

2部:8つの産業に注目し、テクノロジーのコンバージェンスがどのように世界のあり方を変えているかを見ていく。未来の青写真を提示する。社会に起ころうとしている主要な変化を明らかにし、この波に乗るためのノウハウを提供する。

 

1.買い物の未来

2.広告の未来

3.エンターテイメントの未来

4.教育の未来

5.医療の未来

6.寿命延長の未来

7.保険・金融・不動産の未来

8.食料の未来

 

 

3部:人類の進歩をおびやかす気候変動、経済、生存にかかわるリスクを見ていく。続いて10年先ではなく100年先を視野に入れ、5つの大移動に注目する。

 

1.経済的理由による移住

2.気候変動による混乱

3.バーチャル世界の探求

4.宇宙の植民地化

5.ハイブマインド(集合意識)

 

 

終わりに

 

エクスポネンシャル同士が融合すると、製品、サービス、市場だけでなく、それらを支える構造そのものが消滅する。

 

 これまで普通にあったものが、いつの間にかまわりからなくなっていたり、ぜんぜん使わなくなっているものがある。レコードやCDやMD、レンタルビデオなどがそれだ。ジワリじわりと変化していたが、気づいたらiPhoneで音楽を聴き、映画やドラマをみたりしている。

 

それを可能にしたのは、コンピューターの性能の向上とダウンサイジング、ネットワーク性能の全体的な向上があったからだ。テクノロジーが融合すると、既存の分野にとってはまさに破壊的ともいえる。

 

これの破壊的なテクノロジーの融合と加速が、他の分野でも起きてくるとなると、人間そのものがテクノロジーについていけなくなりそうだ。

 

人間の脳は、ローカル(地域的)でリニア(直線的)な環境で進化してきた。ローカルとは、あらゆることは1日あれば歩いていける範囲で起きていたということ、そしてリニアとは変化の速度がきわめて遅かったという意味だ。

 

それにもかかわらずわれわれの脳はハードウエアとして20万年ほどアップデートされておらず、これほどのスケールやスピードには適応できない。 

 

テクノロジーが体感的・直感的に理解できないことが増えてくると、ヒトはどう変化するのだろう。ハラリ先生が言う、「ホモ・サピエンス」から「ホモ・デウス」へと進化せざるを得なくなるのだろうか。

 

このテクノロジーのエクスポネンシャル的な加速と、コンバージェンス(融合)は、ある種のグローバル化を進め、カタチや見た目をかえた帝国主義となっていくのかもしれない、と思った。

 

 

『2030年』の目次

 

はじめに

 

第1部「コンバージェンス(融合)」の破壊力

第1章 「コンバージェンス」の時代がやってくる
第2章 エクスポネンシャル・テクノロジー Part 1
第3章 エクスポネンシャル・テクノロジー Part 2
第4章 加速が“加速"する

 

第2部 すべてが生まれ変わる

第5章 買い物の未来
第6章 広告の未来
第7章 エンターテインメントの未来
第8章 教育の未来
第9章 医療の未来
第10章 寿命延長の未来
第11章 保険・金融・不動産の未来
第12章 食料の未来

 

第3部 加速する未来

第13章 脅威と解決策
第14章 5つの大移動がはじまる

 

おわりに

謝辞

解説

 

【書評】『LIFE SCINECE』@ 生命の基本である「細胞」と自己刷新能力「オートファジー」について

投稿日:2021年5月26日

 

 

「老化は病気」と言っているハーバード大学のシンクレア先生の『LIFESPAN』を読んでいくなかで、いたるところで「生物」の基礎知識の無さから難しく思えたものだ。

 

おそらく、高校の「生物基礎」の教科書で書かれていることが理解できていれば、スムーズに読めたのであろう。

 

そんなことを思っていたときに、『LIFESPAN』の翻訳者の方がオススメされていた本がこの『LIFE SCIENCE』なのだ。タイトルがちょっと似通っていてるのがアレなのだが……

 

 

この本の著者である吉森保先生は生命科学の専門家であり、ノーベル賞を受賞した大隅良則先生と共に「オートファジー」を研究された方でもある。

 

シンクレア先生の『LIFESPAN』では、オートファジーのことはあまり言及されていなかったと思うが、この『LIFE SCIENCE』ではメインディッシュが「オートファジー」なので、長寿のことを知りたければやはりこの本も読んでおくべきであろう。 

 

 

 

 

こんな人におススメ

 

・生命(細胞)の基本を理解したい人

・オートファジーについて知りたい人

・健康寿命を延ばしたい人

 

 

ざっくり要約

 

この本は生命科学の基礎である「細胞」に光をあて、細胞がどのような存在で、どのように活動をしているかをわかりやすく解説されている。

 

生命の基本は、細胞です。つまり、細胞を知っておくと、人間の体や遺伝子、病気、その未来のことまで理解できます。この本では、まずは細胞の成り立ちについて、みっちり学びます。すなわちそれが、生命科学の基礎だからです。細胞を知れば生命のしくみがおのずとわかってきます。

 

生命のしくみ、つまり、生まれて、成長して、病気になり、老いる。この一連の生命活動を細胞から紐解いていく。とくに気になるのが「病気」や「老い」だ。

 

この本では「オートファジー」という機能で細胞を元気にし、病気や老いに立ち向かうことができるとしている。

 

オートファジーは、ざっくりいうと、細胞を「自分の力で新品にする機能」です。
私たちの体は細胞が集まってできており、どんな病気もどこかの細胞が悪くなることから始まります。

 

最後の章では、「寿命を延ばすために何をすればいいか」について、5つの観点から説明されている。

 

1.カロリー制限

2.インスリンシグナルの抑制

3.TORシグナルの抑制
4.生殖細胞の除去

5.ミトコンドリアの抑制 

 

理由ははっきりしていないが、どれもが生存には必要な機能だけれども、機能は抑えた方が寿命を延ばす面では良いということがわかっている。

 

1~5に共通していることは、いずれもオートファジーが活性化することだ。

 

 

終わりに

 

この本は生命の基本である「細胞」について比較的わかりやすく書かれていると思う。それでも、やはり普段あまり耳にしない言葉を目にするので人よっては(少なくとも私には)には難しい箇所も何点かあった。

 

だから、この本は何度も繰り返し読んで、生命活動の基本の場となる「細胞」についてよくよく理解できるようになりたいと思った。

 

 

 

『LIFE SCINECE』の目次

 

第1章 科学的思考を身につける

第2章 細胞がわかれば、生命の基本がわかる

第3章 病気について知る

第4章 細胞の未来であるオートファジーを知ろう

第5章 寿命を延ばすために何をすればいいか

 

【書評】『読みたいことを、書けばいい。』@あなたの文章は読まれないのが普通

投稿日:2021年4月28日

 

ブログを書きながら、いつも思うことはただ一つ。

 

文章が上手く思うように書けない

 

ということだ。

 

 

だから、文章術系の本が目に付けばとりあえず手に取って読んでみたくなるのだ。読んでみると、大半の本は「作文のイロハ」のようなことが書いてある。そして、読んでいくうちになぜか読む気が消え失せてしまう。

 

 

そんな、文章術の本の中で、最後まで一気に読むことができたのがこの本だ。

  

読みたいことを、書けばいい。 人生が変わるシンプルな文章術

読みたいことを、書けばいい。 人生が変わるシンプルな文章術

  • 作者:田中 泰延
  • 発売日: 2019/06/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

「文章術」と銘打ってあるが、文章術のこまごまとしたことはあまり記されていない。どちらかといえば、著者の「文章を書くということ」の基本方針を面白おかしく綴っているのだ。だから、単純に読み物として面白い。

 

著者の田中氏は大手広告代理店でコピーライター・CMプラナーとして24年間働いていたそうだ。コピーライターだから短い文にすべてを凝縮することには長けているのだろうか。

 

文字が多い本は、それだけで読みたくなくなることはよく知られている。大切はことは文字が少ないことである。本書は、できるだけ文字を少なくし、無駄な記述を徹底的に排除したつくりになっている。

 

コピーライターという職業柄なのかどうかはわからないが、この本は確かに文字がちょっと大きめで、行間が広く読みやすい。

 

文章術の本のはずなのに、 軽快な文体で、どんどん読み進んでしまう。どことなくニヤリとしてしまうところもあるのだ。

 

 

 

 

 

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読書対象者

 

次のような人におススメ。

 

  • ブログで何をかけばいいのかがわからなくなった人
  • 世間によくある「文章テクニック本」から脱却したい人
  • 文章技法に縛られて文章を書くことに疲れてしまった人
  • 面白くてクセのある文章を読みたい人

 

※モノを売りたい文章を書きたい(セールスライティングしたい)人には向いていないかもしれない。

 

 

要約

 

かなりおおざっぱに言えば、文章を書くための技術を伝えるのではなく、自分自身が読みたいような文章を書くための「考え方」を示すことがテーマである。

 

逆に、「偉いと思われたい」とか、「成功したい」「売りたい」といった他者の視線を意識しすぎて文章を書くと、結局、人には読んでもらえない文章ができあがると著者は言う。

 

この本は、そのような無益な文章術や空虚な目標に向かう生き方よりも、書くことの本来の楽しさと、ちょっとのめんどくささを、あなたに知ってもらいたいという気持ちで書かれた。

 

その上で、「なに」を書き、「だれ」に書き、「どう」書き、「なぜ」書くのかを章ごとに綴っている。

 

 

読書メモ

 

では、『読みたいことを、書けばいい。』から「メモ」にとった一部をご紹介。

 

自分がおもしろくもない文章を、他人が読んでもおもしろいわけがない。だから、自分が読みたいものを書く。

 

それが「読者としての文章術」だ。

 

これは、これで書いたモノを発表するときにプレッシャーになる気もするが……

 

 

自分で開設したインターネット上のスペースにそんな文章を載せても、だれも読まない。なぜか。あなたは宇多田ヒカルではないからである。

まず、書いた文章を自分がおもしろいと思えれば幸せだと気がつくべきだ。

 

まったくその通りで、ボクのようなパンピーが書いた文章は、読まれないことが普通で、偶然通りかかった人に読まれたらラッキーぐらいな感じでとらえた方が健全かもしれない。

 

 

 

まとめ

  

ネット時代は、書きたい人が多くて、読みたい人が少ないので、文章でお金を取れる人はごく一部になってしまう。

 

だが、文章を書いて人に見せるたびに、「それは誰かの役に立つか? いままでになかったものか?」と考え抜けば、価値のある意見には、必ず値段がつく。

 

と著者は言う。ネット上にある記事はSNSも含めて無限大にあり、日々増産されている。

 

そんな無限にある記事の中で、自分の書いたブログの記事が、自分のためだけではなく、たまたま通りかかって読んでくれた誰かの役にたつことができれば、嬉しい限りだ。

 

こういった偶然の出会いもブログを書くことの醍醐味だと思う。 だから、ブログはこれからも書き続けよう。

 

 

『読みたいことを、書けばいい。』の目次

 

読みたいことを、書けばいい。 人生が変わるシンプルな文章術

読みたいことを、書けばいい。 人生が変わるシンプルな文章術

  • 作者:田中 泰延
  • 発売日: 2019/06/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

はじめに 自分のために書くということ -書いたのに読んでもらえないあなたへ

 

序章 なんのために書いたか
付録1 田中泰延が書いた記事10選

 

第1章 なにを書くのか ~ブログやSNSで書いているあなたへ~
その1 文書と文章は違うことを知っておく
その2 ネットで読まれている文章の9割は「随筆」
その3 書く文章の「分野」を知っておく
その4 定義をはっきりさせよう
その5 ことばを疑うことから始める
文章術コラム1 広告の書き方

 

第2章 だれに書くのか ~「読者を想定」しているあなたへ~
その1 ターゲットなど想定しなくていい
その2 だれかがもう書いているなら読み手でいよう
その3 承認欲求を満たすのに「書く」は割に合わない
その4 何を書いたかよりも誰が書いたか
その5 他人の人生を生きてはいけない
文章術コラム2 履歴書の書き方

 

第3章 どう書くのか ~「つまらない人間」のあなたへ
その1 つまらない人間とは「自分の内面を語る人」
その2 物書きは「調べる」が9割9分5厘6毛
その3 一次資料に当たる
その4 どこで調べるか
その5 巨人の肩に乗る
その6 感動が中心になければ書く意味がない
その7 思考の過程を披露する
その8 「起承転結」でいい
文章術コラム3 書くために読むといい本

 

第4章 なぜ書くのか ~生き方を変えたいあなたへ~
その1 書くことは世界を狭くすることだ
その2 貨幣と言語は同じもの
その3 書くことはたった一人のベンチャー起業
その4 文字がそこへ連れてゆく
その5 書くことは生き方の問題である
付録2 田中泰延について書かれた記事5選+おまけ

 

おわりに いつ書くのか。どこで書くのか。

 

 

【FODMAP「ラクトース」チャレンジ編】『過敏性腸症候群(IBS)は食事で治る!』@FODMAPやってみた<終>

更新日:2021年4月22日 (投稿日:2019年9月9日)

 

 

表題にある「ラクトース」とは「乳糖」のことである。「糖」の文字があるように「ニ糖類」だ。薄っすらとした甘さをもっている。

 

ラクトースが含まれた食品の代表格は「牛乳」であろう。学校の給食ではほぼ毎食出ていたように覚えている。牛乳の味は好きでもなければ、嫌いでもなかった。

 

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CouleurによるPixabayからの画像

 

この牛乳を飲むと、腹痛・下痢・吐き気などの体調不良を起こす人もいる。ラクトースをうまく消化・吸収できないのだ。日本人では成人の1/5~1/4がラクトースが合わないらしい。

 

「ラクトース」=「乳糖」を含んだ食材には、ヨーグルトやアイスクリームなど乳製品全般だ。

 

 

過敏性腸症候群(IBS)を抱えている人には不向きな食材があり、それをまとめてFODMAPというが、この「ラクトース」もそのFODMAPの一つである。

 

 

FODMAPとは小腸内で消化吸収されにくい糖類の総称のことで、

 

Fermentable:発酵性

Oligosaccharides:オリゴ糖

Disaccharides:二糖類

Monosaccharides:単糖類

And

Polyols:ポリオール

 

の頭文字をとってFODMAPと略している。

 

 

今回、この

 

二糖類:ラクトース(牛乳、乳製品など)

 

がボクの体質にあっているのかどうかをチャレンジしてみた。

 

 

今回も、前回の「フルクトース」チャレンジ 同様に、パッツィー・キャッソスの『過敏性腸症候群(IBS)は食事で治る!』で紹介されている方法で実践してみた。

 

 

この本で、チャレンジは次の3段階で紹介されている。

 

 

チャレンジ段階

(1)フォドマップを慎重に食事に戻して症状を観察する

(2)チャレンジ段階の結果を判定し食事を変更する

(3)症状が起こらない範囲で最大限に種類の豊富な食事を楽しむ

 

 

 今回、(1)と(2)の段階を実践してみた。 

 

 

■チャレンジのやり方

・1回のチャレンジにつき1種類のフォドマップ

・チャレンジは2日間(または3日間)

・どの種類のフォドマップからはじめてもよい

・次へのチャレンジの間は3日間あける。

 

 
次の5種類から一つ選んでチャレンジする。冒頭で述べたように、今回は「二糖類:ラクトース」を選んだ。

 

  1. 【済】オリゴ糖:フルクタン(ネギや玉ねぎ、小麦粉など)
  2. 【済】オリゴ糖:ガラクタン(納豆やあずきなどの豆類)
  3. 二糖類:ラクトース(牛乳など)
  4. 【済】単糖類:フルクトース(はちみつ、果糖ぶどう糖液糖など)
  5. 【済】ポリオール(キシリトールガムや、サクランボ、リンゴなど)

  

 

ラクトース食品
牛乳、ミルクセーキ、ヨーグルト、アイスクリーム、ソフトクリームなどの乳製品
過敏性腸症候群(IBS)は食事で治る! より)

 

 

牛乳を飲んだり、乳製品を食べるとお腹の動きが妙に活発になるこは経験的にもわかっていた。 ラクトースが高FODMAPの仲間であるのであれば、納得がいく。

 

 

では、さっそく「ラクトース」チャレンジだ。

 

 

<1日目>
まずは朝食にプレーンヨーグルトを食べてみる。昼食にプリンも食べてみた。プリンは本当に美味しい。夜はバニラアイスを食べてみる。これもまた美味しい! バニラアイスもプリンも1か月以上食べていなかったので本当に美味しく感じる。初日は何も問題なし。

■食べた食品:ヨーグルト、プリン、バニラアイス

 


<2日目>
2日目も朝食にヨーグルト。昼食には、「牛乳」をコップ一杯飲んでみる! そして夜にはまたプリンだ。プリンはお楽しみの一つになりつつある。

しかし、2日目は前日からの「ラクトース」を摂取したからか、便が柔らか目で3回もトイレへ行った。腹痛はないが軟便となっていた。

■食べた食品:ヨーグルト、牛乳、プリン

 


<3日目>
この日からチャレンジはお休み。2日目に影響が出ていたので、3日目も出るのかと思いきや、以外と便も通常に戻りなんでもないようだ。

 


<4日目>
4日目はチャレンジ休憩。この日も何事もなくいたって腸の調子は良い。

 

 


<結論>

2日目に牛乳を飲んだあと、胃に負担がかかっているような感じがしたので、もしかすると、牛乳は特にダメなのかもしれない。

 

前日の影響が翌日に出たことも考えると、ヨーグルトか、プリンか、バニラアイスの影響も考えられえる。

 

いずれにしても、「ラクトース」は多少なりとも影響がありそうだ。腹痛までには至らなかったけど、今後は注意すべき食品となりそうだ。

 

 

よって、白でも黒でもない、

 

ラクトースはグレー

 

と、判断しよう。

 

 

ただ、ヨーグルトやアイスクリームなどは好物でもあるので、あわよくば食べれるようになりたいと思っている。今回のチャレンジは結果はともかく食べることが楽しいチャレンジであった。

 

ちなみに、ボクにとって一番の問題となりそうな「牛乳」であるが、乳糖を大幅にカットした食品もあることがわかった。

 

それは、雪印のメグミルク「アカディ」だ。

 

 

この「アカディ」は80%の乳糖を分解処理した牛乳なので、お腹の弱い人やIBSの人にも飲むことが可能な牛乳だ。この牛乳を使ってココアを飲むこともできる。

 

このような乳糖をカットした商品がもっと出てくることを期待したい。

 


■今回「ラククトース」チャレンジで食べたモノ

牛乳

ヨーグルト

バニラアイス

プリン

 

 

* *  *  *  *  *  *  * 

 

 


これでFODMAPチャレンジは一通り終わった。ざっとまとめると、以下の通り。

 

 オリゴ糖:フルクタン 
 オリゴ糖:ガラクタン 

△ 二糖類:ラクトース
× 単糖類:フルクトース 
 ポリオール

 

以上のことから、ラクトース、フルクトースに気をつけながら日々の食事を楽しんでいきたい。 

 

おそらく、〇のついているFODMAPでも組み合わせや、量が多くなると影響が出てくるのだと思っている。いずれにしても食べ過ぎはNGだ。

 

今後は、高FODMAP食品をいろいろと組み合わせて、どの程度までなら大丈夫なのかを試していこうと思う。

 

そのうえで、イリボー等の薬もうまく使いながら、必要な栄養も摂れるように工夫していきたい。

 

 

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【FODMAP「フルクトース」チャレンジ編】『過敏性腸症候群(IBS)は食事で治る!』@FODMAPやってみた

更新日:2021年4月21日 (投稿日:2019年9月2日)

 

 

果糖ぶどう糖液糖。

 

 

一つの単語の中に「糖」という文字が3つも入っていて何やらしつこそうなモノだ。名前からもわかるように糖類である。しかも、誰もが日常的によく口にするであろう食品の中に入っている糖類である。

 

甘味のあるほとんどの清涼飲料水に入っている糖類であり、ゼリーや、調味料にも入っている。

 

たとえば「コーラ」に入っているし、もちろんあのポカリやアクエリアスにも「果糖ぶどう糖液糖」はしっかり入っている。

 

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Image by Steve Buissinne from Pixabay

 

この「果糖ぶどう糖液糖」は「ぶどう糖」と「フルクトース(=果糖)」を混合した液状の糖のことで、特に「フルクトース」はさっぱりした甘味を強くだせて、その割にコストが低いものだそうだ。そのためよく食品に使われるという。

 

「フルクトース」は、清涼飲料水の他にも、はちみつや多くの果物にも入っている。ありふれた食材であるのだ。

 

この「フルクトース」も、腹痛や下痢を頻繁に繰り返す過敏性腸症候群(IBS)の症状がある人によっては、マイナスに働く可能性があるのだ。

 

 

IBSを抱えている人には不向きな食材があり、それをまとめてFODMAPという。この「フルクトース」もそのFODMAPの一つである。

 

 

FODMAPとは小腸内で消化吸収されにくい糖類の総称のことで、

 

Fermentable:発酵性

Oligosaccharides:オリゴ糖

Disaccharides:二糖類

Monosaccharides:単糖類

And

Polyols:ポリオール

 

の頭文字をとってFODMAPと略している。

 

 

今回、この

 

単糖類:フルクトース(はちみつ、りんご、果糖ぶどう糖液糖など)

 

がボクの体質にあっているのかどうかをチャレンジしてみた。

 

 

今回も、前回の「ガラクタン」チャレンジ 同様に、パッツィー・キャッソスの『過敏性腸症候群(IBS)は食事で治る!』で紹介されている方法で実践してみた。

 

 

この本で、チャレンジは次の3段階で紹介されている。

 

 

 

チャレンジ段階

(1)フォドマップを慎重に食事に戻して症状を観察する

(2)チャレンジ段階の結果を判定し食事を変更する

(3)症状が起こらない範囲で最大限に種類の豊富な食事を楽しむ

 

 

 今回、(1)と(2)の段階を実践してみた。 

 

 

■チャレンジのやり方

・1回のチャレンジにつき1種類のフォドマップ

・チャレンジは2日間(または3日間)

・どの種類のフォドマップからはじめてもよい

・次へのチャレンジの間は3日間あける。

 

 
次の5種類から一つ選んでチャレンジする。冒頭で述べたように、今回は「単糖類:フルクトース」を選んだ。

 

  1. 【済】オリゴ糖:フルクタン(ネギや玉ねぎ、小麦粉など)
  2. 【済】オリゴ糖:ガラクタン(納豆やあずきなどの豆類)
  3. 二糖類:ラクトース(牛乳など)
  4. 単糖類:フルクトース(はちみつ、果糖ぶどう糖液糖など)
  5. 【済】ポリオール(キシリトールガムや、サクランボ、リンゴなど)

 

 

 

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Hans BraxmeierによるPixabayからの画像


フルクトース食品
フルクトースはチャレンジがAとBに分けられていて、3日間に渡って実施する。

  

フルクトース・チャレンジA(最初の2日間)

果糖ぶどう糖液糖の入った清涼飲料、パンケーキシロップ、ソース、ケチャップ、ジャム、ゼリー、はちみつ、濃縮果汁飲料、マンゴー、アスパラガスなど

 

フルクトース・チャレンジB(3日目)

濃縮果汁(りんご、洋梨)、ドライフルーツ(りんご、もも、洋梨)、洋梨、洋梨ジュース、もも、すいか、りんご、りんごジュースなど

過敏性腸症候群(IBS)は食事で治る! より)

 

 


この「果糖ぶどう糖液糖」は冒頭にも述べたようにほとんどの清涼飲料水に入っているので、入っていない飲料水を探すことはかなり難しい。

 

「果糖ぶどう糖液糖」を除いた飲料水は「水」「お茶」「ブラックコーヒー」ぐらいであった。「フルクトース」が体質的に合わないと、飲み物にかなりの制限をかけなければならないのか……

 

 


<1日目>フルクトースA1日目

まずは朝食にハチミツをスプーン小さじ一杯分と果糖ぶどう糖液糖の入った飲料水をコップ一杯からはじめてみる。昼食にはアスパラガスとベーコンの炒め物を食べた。1日目は特に何も異変はない。

■食べた食品:はちみつ、果糖ぶどう糖液糖、アスパラガス 

 


<2日目>フルクトースA2日目

1日目同様、ハチミツをとるが(ただし大匙2杯分ほど)、果糖ぶどう糖液糖の入った飲料水をコップ2杯ほど。

この日はハチミツが多く取ったからか、胃もたれと圧迫感を感じた。腹痛はないが便はかなり柔らかくなっていた。

■食べた食品:はちみつ、果糖ぶどう糖液糖 

 


<3日目>フルクトースB

朝食にはちみつ、桃のゼリー、桃ジュース。お昼にリンゴとアスパラガス。途中、リンゴジュースも飲んでみる。 

やはりハチミツをスプーンで食べていると胃に圧がかかる感じがある。もしかすると、「はちみつ」そのものがボクには合わないのかもしれない。

この日も腹痛はないが、軟便が続く。

 ■食べた食品:はちみつ、ゼリー、リンゴ、アスパラガス、果糖ぶどう糖液糖 

 


<4日目>

4日目はチャレンジ休憩日。

昨日までに、胃腸にたまった高FODMAPがどう影響するのであろうか。

結果はかなり影響があった。

久々に、腹痛を伴う便があり、その後ひどい下痢となってしまった。

  

 

<5日目> 

5日目もチャレンジ休憩日。

4日目の下痢が影響しているためか、今日はまったく排便せず。腹痛はほぼなくなった。

 

 


<結論>

今回のチャレンジで、4日目に腹痛、下痢が発生しました。

  

フルクトースは黒!!!

 

もしかすると、他のFODOMAPと比べると摂取した量が単純に多かったのかもしれない。それでも、ハチミツをたべているときから胃に変な感覚があったので、ハチミツの大量摂取は要注意だ。

 

ハチミツは嫌いではないし、食材に使われていたら好んで食べる方だ。「はちみつレモン」なんて夏場に食べると劇的に美味い。

 

ただ、はちみつを含めた「フルクトース」食材は、多めに摂取したとき、お腹の調子がなんとなく悪くなることはなんとなくわかっていた。それを認めたくなかったので、どこかで無視していたが、今回のことでそれが明確になった。

 

今後は、「フルクトース」をできるだけ控えた方がよさそうだ。とにく「はちみつ」はひかえよう。 

 

 


■今回「フルクトース」チャレンジで食べたモノ

はちみつ

果糖ぶどう糖液糖

アスパラガス

りんご

もも

 

 


次回は、最後のチャレンジ。二糖類:ラクトース。

 

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■「ガラクタン」チャレンジ 


 

 

 

 

 

【FODMAP「ガラクタン」チャレンジ編】『過敏性腸症候群(IBS)は食事で治る!』@FODMAPやってみた

更新日:2021年4月20日 (投稿日:2019年8月25日)

  

 

納豆はホテルでの朝食に登場する定番食品だ。販売されている納豆の種類も豊富である。好き嫌いのある食品であるが、ボクはこの納豆は大好物なのだ。

 

 

納豆を含めた豆類には、「ガラクタン」というオリゴ糖が含まれている。

 

 

この「ガラクタン」は、食物の吸収を遅らせ、血糖値の急上昇を抑える効果がある言われ、多くの人にとって健康的な食品になると言われている。

 

 

ところが、過敏性腸症候群(IBS)で下痢型の症状がある人によっては、「ガラクタン」がマイナスに働く可能性があるのだ。

 

f:id:mitsu1973:20160608133525j:plain

Hui WangによるPixabayからの画像

 

ボクにとっても大好物である納豆が、腹痛・下痢の要因になる可能性を秘めていたとは!!!

 

 

フルクタンに続き、ボクにとっては残念な新情報であった。

 

 

大多数の人には健康的な食材でも、IBSを抱えている人には不向きな食材がある。それをまとめてFODMAPという。この「オリゴ糖:ガラクタン」もそのFODMAPの一つである。

 

 

FODMAPとは小腸内で消化吸収されにくい糖類の総称のことで、

 

Fermentable:発酵性

Oligosaccharides:オリゴ糖

Disaccharides:二糖類

Monosaccharides:単糖類

And

Polyols:ポリオール

 

の頭文字をとってFODMAPと略している。

 

 

今回、この

 

オリゴ糖:ガラクタン(主に豆類など)

 

がボクの体質にあっているのかどうかをチャレンジしてみた。

 

 

今回も、前回の「フルクタン」チャレンジ 同様に、パッツィー・キャッソスの『過敏性腸症候群(IBS)は食事で治る!』で紹介されている方法で実践してみた。

 

 

この本で、チャレンジは次の3段階で紹介されている。

 

 

 

チャレンジ段階

(1)フォドマップを慎重に食事に戻して症状を観察する

(2)チャレンジ段階の結果を判定し食事を変更する

(3)症状が起こらない範囲で最大限に種類の豊富な食事を楽しむ

 

 

 今回、(1)と(2)の段階を実践してみた。 

 

 

■チャレンジのやり方

・1回のチャレンジにつき1種類のフォドマップ

・チャレンジは2日間(または3日間)

・どの種類のフォドマップからはじめてもよい

・次へのチャレンジの間は3日間あける。

 

 
次の5種類から一つ選んでチャレンジする。冒頭で述べたように、今回は「オリゴ糖:ガラクタン」を選んだ。

 

  1. 【済】オリゴ糖:フルクタン(ネギや玉ねぎ、小麦粉など)
  2. オリゴ糖:ガラクタン(納豆やあずきなどの豆類)
  3. 二糖類:ラクトース(牛乳など)
  4. 単糖類:フルクトース(はちみつ、果糖ぶどう糖液糖など)
  5. 【済】ポリオール(キシリトールガムや、サクランボ、リンゴなど)

 

 

 

ガラクタン食品

乾燥豆、水煮豆、レンズ豆、インゲン豆、ヒヨコ豆、ピスタチオ、納豆、豆乳、レギュラーコーヒー(多め)など(過敏性腸症候群(IBS)は食事で治る! より抜粋)
ちなみに、絹豆腐も『パン・豆類・ヨーグルト・リンゴを食べてはいけません』ではガラクタンであった。

 


要は豆類全般。豆を発酵させた納豆や豆腐も入っている。ボクは納豆や絹豆腐は大好物なので、ぜひこのガラクタンも耐性があると嬉しい限り。

 

 


<1日目>
朝食時に、豆のサラダ、昼に納豆、絹豆腐、夜に粒あん団子を食す。1日目は腹痛などはなかったけが、ガスがたまっているようだ。
■食べた食品:豆のサラダ、納豆、絹豆腐、粒あん団子

 

 

<2日目>
2日目はガラクタン大盛り。朝は絹豆腐、粒あん団子、昼には納豆、粒あん団子、夜は絹豆腐、エンドウ豆とタコの和えもの、粒あん白玉などを食した。腹痛はなかったが、昨日の食したガラクタンの影響か、ガスが多いのが気になる。
■食べた食品:粒あん、納豆、絹豆腐、豆類

 

 

<3日目>
3日目はチャレンジ休憩。
すべて低FODMAP食。腹痛は特にないが、低FODMAP食オンリーのときより便が柔らかめであった。少なからず影響はありそうだ。

 

 

<4日目>
4日目もチャレンジ休憩。休憩2日目ともなると、腹痛も便の状態もとくに問題はなかった。

 

 

<結論>
今回のことからガラクタンを含む食材をとることで、目立った腹痛や下痢が起こることはなかった。しかし、いつもより便が柔らか目になったり、ガスが多めになったので、影響は多少ありそうである。多く食べ過ぎないように食べる量には注意しなければならない。

 


■今回「ガラクタン」チャレンジで食べたモノ

納豆

絹豆腐

粒あん

 

 


次回は、「単糖類:フルクトース」にチャレンジする。


 

 

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■「フルクタン」チャレンジ

  

 

 

パン・豆類・ヨーグルト・りんごを食べてはいけません ―世界が認めたおなかの弱い人の食べ方・治し方

パン・豆類・ヨーグルト・りんごを食べてはいけません ―世界が認めたおなかの弱い人の食べ方・治し方

 

 

 

【FODMAP「フルクタン」チャレンジ編】『過敏性腸症候群(IBS)は食事で治る!』@FODMAPやってみた

更新日:2021年4月19日 (投稿日:2019年8月16日)

 

 

コンビニやスーパーで売っているパン。学校給食でもパンは出てくる。子どものころからパンはかなり身近な存在だ。パンの専門店も多々あり、食パンから菓子パンまで種類も豊富だ。日本でパンを食べたことがない人はほとんどいないのではないか。

 

 

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Dominic AlbertsによるPixabayからの画像

 

ラーメン、うどん、パスタ。こういった麺類は、カップ麺から冷凍食品まであり日常的な存在だ。そして、それぞれに様々なバリエーションがあってどれもが美味しい。

 

 

ピザ、お好み焼き、タコ焼き、クッキー、ドーナッツ。みんなでワイワイ食べるとさらに美味しくなる。

 

 

そして、これらのどれもに共通していえることが、原材料に「小麦粉」が多く使われているということだ。

 

 

この「小麦粉」を多く摂取することで、過敏性腸症候群(IBS)の症状である腹痛・下痢を引き起こしてしまう人がいる。

 

 

なぜそうなるのか。

 

 

それは、小麦粉に1~4%ほど含まれている「オリゴ糖:フルクタン」を上手く消化できないからだ。

 

 

特にIBSを抱えている人には向いていない食材がありそれをまとめてFODMAPという。この「オリゴ糖:フルクタン」もそのFODMAPの一つである。

 

 

FODMAPとは小腸内で消化吸収されにくい糖類の総称のことで、

 

Fermentable:発酵性

Oligosaccharides:オリゴ糖

Disaccharides:二糖類

Monosaccharides:単糖類

And

Polyols:ポリオール

 

の頭文字をとってFODMAPと略している。

 

 

今回、この

 

オリゴ糖:フルクタン(小麦粉やタマネギなど)

 

がボクの体質にあっているのかどうかをチャレンジしてみた。

 

 

今回も、前回の「ポリオール」チャレンジ同様に、パッツィー・キャッソスの『過敏性腸症候群(IBS)は食事で治る!』で紹介されている方法で実践してみた。

 

 

 

この本で、チャレンジは次の3段階で紹介されている。

  

チャレンジ段階

(1)フォドマップを慎重に食事に戻して症状を観察する

(2)チャレンジ段階の結果を判定し食事を変更する

(3)症状が起こらない範囲で最大限に種類の豊富な食事を楽しむ

 

 

今回、(1)と(2)の段階を実践してみた。 

 

 

■チャレンジのやり方

・1回のチャレンジにつき1種類のフォドマップ

・チャレンジは2日間(または3日間)

・どの種類のフォドマップからはじめてもよい

・次へのチャレンジの間は3日間あける。

 

 
次の5種類から一つ選んでチャレンジするのだが、冒頭で述べたように、今回は「オリゴ糖:フルクタン」を選んだ。

 

  1. オリゴ糖:フルクタン(ネギや玉ねぎ、小麦粉など)
  2. オリゴ糖:ガラクタン(納豆やあずきなどの豆類)
  3. 二糖類:ラクトース(牛乳など)
  4. 単糖類:フルクトース(はちみつ、果糖ぶどう糖液糖など)
  5. 【済】ポリオール(キシリトールガムや、サクランボ、リンゴなど)

 

 

フルクタン食品

食物繊維入り朝食シリアル、ライ麦パン、小麦粒、大麦、ブロッコリー、玉ねぎ、キャベツ、ごま、ニンニク、パスタ、パン、クッキー、ケーキ、ドーナッツ、ピザ生地、焼き菓子など(過敏性腸症候群(IBS)は食事で治る! より抜粋)

 


フルクタン食品をみると、個人的に好物のネギ、玉ねぎ、ブロッコリー、キャベツ、パスタ、パンなどが多々ある。

 

これらを全て制限するのは正直避けたい。なんとかうまく付き合っていけないだろうか。とりあえずチャレンジしてその結果から判断してくしかない。

 


<1日目>
朝食時に、小麦粉の代表格、小麦粉の食パンを1枚食してみた。1日目はこれといった症状は出てこない。初日はイイ感じだ。
■食べたフルクタン:食パン1枚

 

 

<2日目>
2日目はフルクタン大盛り。朝から食パンとパスタを食べ、昼に玉ねぎの入った豚の生姜焼き、パスタサラダを食べた。さらに夜は蕎麦(小麦粉入り)を食べたが、この2日目もとくの問題がなさそうである。もしかして、フルクタンは影響が少ない??

■食べたフルクタン:食パン1枚、パスタ、玉ねぎ、蕎麦

 

 

<3日目>
3日目はチャレンジ休憩。
すべて低FODMAP食に戻す。前回のポリオールのときは3日目に多少影響が出たのだが、今回のフルクタンは3日目も特にこれといった症状はないようだ。これは希望が持てるかも。

 

 

<4~5日目>
4~5日目もチャレンジ休憩。とくに問題なし。ということは、フルクタンは食べても大丈夫かもしれない!

 

 

<結論>
フルクタンは今回のことから、ボクは耐性があるようだ。ちゃんと消化できているのだろう。そうだとすれば、大好物な食品が多いので劇的に嬉しい!

 

まあ、食べ過ぎには注意しなければならないが……。

 

 

食品の中のフルクタンの含有量の比率も関係しているかもしれない。

 

Wikiによると、フルクタンの含有量比率は以下の通り。

 

小麦粉 1-4%

パスタ 1-4%

白パン 0.7-2.8%

アスパラガス 1.4-4.1%

チョコレート 9.4%

タマネギ 1.1-10.1%

 

やはり、食材によって量が異なるので、含有量の多い食材を食べ過ぎないようにすることは大事かもしれない。

 

 

■今回、「フルクタン」チャレンジで食べたモノ

小麦粉(パン、蕎麦、パスタ)

玉ねぎ

  


次回は、「オリゴ糖:ガラクタン」にチャレンジする。

 

 

 

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■「ポリオール」チャレンジ


 

 

【FODMAP「ポリオール」チャレンジ編】『過敏性腸症候群(IBS)は食事で治る!』@FODMAPをやってみた

更新日:2021年4月16日 (投稿日:2019年8月9日)

 

 

ストレスが原因か、食べ合わせが原因か。

 

謎の腹痛・下痢などが起こる過敏性腸症候群(IBS)は、原因が一つではなく多岐にわたる複雑な疾患だ。

 

このIBSを対処すべく、専門の病院へ行き、薬を服用することでボクの場合は劇的によくなった。しかし、薬に頼ることなく改善できる方法もある。

IBSを抱えている人には向いていない食材がありそれをまとめてFODMAPという。

 

 

FODMAPとは小腸内で消化吸収されにくい糖類の総称のことで、

 

Fermentable:発酵性

Oligosaccharides:オリゴ糖

Disaccharides:二糖類

Monosaccharides:単糖類

And

Polyols:ポリオール

 

の頭文字をとってFODMAPと略している。

 

このFODMAPを取り除いて食事をすることで、過敏性腸症候群(IBS)の症状がボクの場合、かなり改善された。

 

ただ、問題はFODMAPの低い食事をとり続けることは、豊かな食事を制限することにもなる。

 

ここまでが前回で書いたことの概要である。

 

 

 

引き続き、『過敏性腸症候群(IBS)は食事で治る!』から、

 

 

FODMAPと、どう付き合っていくのかを試行錯誤してみる。

 

 

この『過敏性腸症候群(IBS)は食事で治る!』では、第1段階として「FODMAP」を一度体内から除去することを行った。その結果、ボクの場合、驚くほど良い効果が実感できた。

 

そして次に、 第2段階へと入っていく。

 

2.チャレンジ段階

(1)フォドマップを慎重に食事に戻して症状を観察する

(2)チャレンジ段階の結果を判定し食事を変更する

(3)症状が起こらない範囲で最大限に種類の豊富な食事を楽しむ

 

全ての種類のFODMAPをとめることで効果があったので、この第2段階では、どのFODMAP(糖類)が下痢を誘引しているのかをピンポイントで調査する。

 

そうすることで、全てのFODMAPを避けるのではなく、自分に合わない特定のFODMAPを探し当てることができる。

 


江田先生の本では傾“腸”(食物負荷試験)と書かれていた。自分の腸にじっくりと耳を傾けて、どんなFODMAPが自分にはあっているのか、あっていないのかを判断していく。 

 

 

■チャレンジのやり方

・1回のチャレンジにつき1種類のフォドマップ

・チャレンジは2日間(または3日間)

・どの種類のフォドマップからはじめてもよい

・次へのチャレンジの間は3日間あける。

 

 ロシアンルーレットのごとく、一つずつ試して、決定的なFODMAPを当てる。つまり、どこかのタイミングで、過敏性腸症候群(IBS)の症状が出てくることにもなる。

 


次の5種類から一つ選んでチャレンジ開始!

 

  1. オリゴ糖:フルクタン(ネギや玉ねぎ、小麦粉など)
  2. オリゴ糖:ガラクタン(納豆やあずきなどの豆類)
  3. 二糖類:ラクトース(牛乳など)
  4. 単糖類:フルクトース(はちみつ、果糖ぶどう糖液糖など)
  5. ポリオール(キシリトールガムや、サクランボ、リンゴなど)

 


『過敏性腸症候群(IBS)は食事で治る!』によると、どのFODMAPでもチャレンジしてもよいのだが、ボクの場合、たまたまチャレンジ期間にサクランボがひと箱分、実家から届いたので、ポリオールからチャレンジしてみた。

 

 

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Photo by Brooke Lark on Unsplash

 

 

ポリオール食品

シュガーレスキャンディー&ガム、プルーン、ブラックベリー、マッシュルーム、カリフラワー、サクランボ、サヤエンドウ、桃、あんず、アボカド、プラム、スイートコーン、イチジクなど(過敏性腸症候群(IBS)は食事で治る! より抜粋)

 

 
サクランボを朝、昼、夜と食事のとき、多めに(片手握りこぶし1.5倍くらいの量、だいたい10個くらい)食べるようにした。

 


<1日目>
1日目は特に強いIBSの症状はないが、どことなくお腹がゴロゴロする感じであった。

■食べたポリオール:多めのサクランボ、のど飴(キシリトール)

 

<2日目>
2日目も同様にサクランボを多めに食べた。2日目はガスがこれまでよりも多く出ている感じがした。どうもポリオールはボクに影響するようだ。

■食べたポリオール:多めのサクランボ、リンゴ、キノコの炒め物

 

<3日目>
3日目はチャレンジ休憩。

休憩日は、すべて低FODMAP食とする。この日、下痢に至ることはなかったが、軟便になるのがよくわかった。そう考えると、チャレンジ初日よりも、その翌日以降、高FODMAPの影響が出てくるようだ。

 

<4日目>
4日目もチャレンジ休憩。症状は3日目と同じ。

 

<5日目>
5日目もチャレンジ休憩。

この程度かな~と思っていたら、この日の夕方に下痢になってしまった!

4週間ぶりの下痢である。

 

高FODMAPを取り入れるとやはり下してしまうのがと思っていたが、よく考えたら、この日の昼食のとき、食べ過ぎてしまったことを思い出した。

 

ただ単に食べ過ぎだったかもしれない。

 

 

<結論>

ということで、ポリオールは、たぶん少量であれば問題なさそうだ。多めにとらない方がよいかもしれない。

 

 

■今回、ポリオールチャレンジで食べたモノ

サクランボ

のど飴(キシリトール入)

リンゴ

キノコの炒め物

 


次回は、「オリゴ糖:フルクタン」チャレンジ。

 


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【FODMAP:除去段階】『過敏性腸症候群(IBS)は食事で治る!』@FODMAPをやってみた

更新日:2021年4月15日(投稿日:2019年7月29日)

 

 

なぞの腹痛・軟便・下痢気味に悩まされていた20数年であったが、最近その症状が適切な薬と食事によって大きく改善しつつある。

 

 

食事の方では「FODMAP」の低い食品を食するということがボクにはかなり有効であるようだ。

 

 

FODMAPとは小腸内で消化吸収されにくい糖類の総称のことで、

 

Fermentable:発酵性

Oligosaccharides:オリゴ糖

Disaccharides:二糖類

Monosaccharides:単糖類

And

Polyols:ポリオール

 

の頭文字をとってFODMAPと略している。

 

 

「低FODMAP」中心の食事を3週間続けて取ってみたことによって、ボクの過敏性腸症候群(IBS)の症状がかなり改善された。

 

なんといっても最初の1週間で、ナゾの突発的な下痢がかなり減って、お腹の調子が全体的に良い状態になったのだから。

 

 

詳しくは前回から記事に書いた。

 

 

 

FODMAPの高い食事を断つことでボクには良い結果が出たので、もっと詳しく「FODMAP」のことを知りたくなった。

 

そこで、より詳しそうな本を求めてAmazonで探してみたところ、FODMAPの本は日本語の本がまだ少ないようで、江田先生の書いた本か、洋書のいずれかがほとんどである。

 

 

その洋書の中でも翻訳されている本もあった。それがこの『過敏性腸症候群(IBS)は食事で治る!』である。  

 

タイトルがわりとそのまんまな本なので、すぐにこの『過敏性腸症候群(IBS)は食事で治る!』をさっそく購入して、「FODMAP」による食事療法を調べてみた。

 

この『過敏性腸症候群(IBS)は食事で治る!』は、FODMAPの理論よりも実践面にかなりのページを割いている。しかも、事細かに具体的である。

 

 

実際にこの本の通りにやってみることにした。

 


内容としては、江田先生の本とは大きくは変わらないが、1.除去段階、2.チャレンジ段階の2段階で「低FODOMAP」の食事を進めていく。

 

 

1.除去段階

(1)基準の症状を記録

(2)2週間フォドマップ除去食を試し、症状を観察する

(3)除去段階後の症状をもとのIBSの症状と比較する

 

 

2.チャレンジ段階

(1)フォドマップを慎重に食事に戻して症状を観察する

(2)チャレンジ段階の結果を判定し食事を変更する

(3)症状が起こらない範囲で最大限に種類の豊富な食事を楽しむ

 

 

 

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まずは「1.除去段階」から。

 

 

(1)基準の症状を記録
基準となる症状を1週間記録しておく。

記録する観点は、ガス、放屁、腹鳴、膨満感、腹痛、下痢・便秘(回数、形状、切迫度)など。

 

 

ボクはこの『過敏性腸症候群(IBS)は食事で治る!』を読む前に上田先生の本で、除去段階をはじめていた。しかし、この本に書いてあるような「基準となる症状」は記録していなかった。

 

これは比較することで、何がOKで何がNGなのかもあとあとわかってくるので、しっかり記録しておいた方がよさそうだ。

 

 

 

(2)2週間フォドマップ除去食を試し、症状を観察する

高FODMAP食を徹底的に除去した食事を2週間続けて、低FODMAPがどのくらい効果あるのかを調べる段階。

 


江田先生の本ではこの段階を3週間、できれば8週間かけてやってみることを勧めていた。ボクも2週間では短いと思い、3週間やってみた。

 

3週間やってみてわかったことは、FODMAPを抜いた食事にしようと思うと、コンビニ弁当や外食等はほぼできないってことだ。驚くほどコンビニ弁当は高FODMAPな食品が多い。外食するときも、メニューをみていると食べれないモノがほとんどとなり、かなりの制限がかかる。

 

スーパーで食品を買い物をするときは、食品の成分表をみてから高FODMAPは入っていないかどうかをチェックしてから購入する。そうすると、これまで普通に買ってきた飲食物の半数以上が買えなくなってしまった。

 

これは、けっこう慣れないうちはしんどい作業で、家族がいるのであれば家族の理解と協力も必要となる。なにやら、このことがストレスにもなるような気がした。

 


そして、実際にボクがこの除去段階の3週間で高FODMAPを除去した食物を選んで、食べていたのは次のようなものだ。

 

 

<朝食>
 バナナ、コーヒー、米粉パン、チーズ(種類に制限あり)、

 サラダ(ドレッシングは手作り)

 

<昼食>
 玄米ご飯、魚、肉、サラダ

 

<夕食>
 玄米ご飯、魚、肉、野菜炒め、木綿豆腐

 

 


ご覧の通り、食のバリエーションが大きく減ってしまった。パンやうどん等の小麦粉食品、納豆などの発酵食品が食べれないのはけっこうツライものがある。

 

 

しかし、それでも「低FODMAP」の食事をはじめてから数日して、便の状態がこれまでとは変わってきたのを実感できた。

 

 

20数年以上にわたる

 


慢性的な軟便・下痢が普通の便になった!!

 

 

のである。

 

 

このような効果をすぐに実感できたので、3週間は続けることができた。

 

 

 

(3)除去段階後の症状をもとのIBSの症状と比較する

 

そして、低FODMAP食を開始してから3週間が経ち、これまでのIBSの症状と比較してみると以下の通り。

 

  • 1日に3~5回以上の排便 → 1日に1~2回へ
  • 突発的な原因がよくわからない下痢 → 全くなし。
  • かなりの軟便、下痢 → 硬い感じ??(多分これが普通のかたさ)
  • ただ、緊張したりすると、すぐに便意を感じるのはあまり変わらない。

 


このように、ボクにはかなりの効果があった。

 

しかし、「食の種類が大幅に減る」のと「IBSの症状が大きく軽減する」ことがトレードオフとなるのだ。 

 

自分一人だけではなく、家族がいれば結果的に家族にもある程度の食事制限をかけることにもなる。

 

完全に「FODMAP」を除去した食事を永遠と続けることはかなり難しいのではないかと思った。

 

ただ、全ての「FODMAP」が身体に影響を与えているのではなく、FODMAPの組み合わせであったり、量にも関わってくるようだ。

 

この『過敏性腸症候群(IBS)は食事で治る!』によると、「どのFODMAPが影響しているかは個人差があり、それを判定してくことが可能」だと言う。

 

それがわかれば、ピンポイントで除去すべき食材がみえてくるので、食のバリエーションをある程度は復活できそうだ。 

 

 

ということで、次は、

 

2.チャレンジ段階

 

へと移行する。

 

 

続きは次回以降。

 

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【FODMAP実践編】『パン・豆類・ヨーグルト・りんごを食べてはいけません』@「過敏性腸症候群(IBS)」対策

更新日:2021年4月13日(投稿日:2019年7月8日)

 

 

ここでトイレに行ってはいけない。

 

 

そう思ってしまうと、なぜか逆にトレイにいきたくなり妙な緊張感が沸き起こってきて腹痛が発生する。

 

自分のことなのに、まったく自分でコントロールできない、やっかいな現象だ。これは、日本人では推定で10人中1人が該当するらしい過敏性腸症候群(IBS)の症状だ。

 

詳しくは前回の記事に書いた。

 

ボクもこの過敏性腸症候群(下痢型)の症状がよく起きているのだが、その対策として一部の食品を制限する「FODMAP」なる対処方法がある。

 

 

この「FODMAP」を、江田先生の『パン・豆類・ヨーグルト・りんごを食べてはいけません』を読んで知った。

  

 

 

FODMAPとは小腸内で消化吸収されにくい糖類の総称のことで、

 

Fermentable:発酵性

Oligosaccharides:オリゴ糖

Disaccharides:二糖類

Monosaccharides:単糖類

And

Polyols:ポリオール

 

の頭文字をとってFODMAPと略している。

 

この「FODMAP」のことを知って、「心当たりのない突然の下痢の原因がコレかもしれない!!」とピンときたのだ。

 

さっそく、『パン・豆類・ヨーグルト・りんごを食べてはいけません』に書かれている通りに、「FODMAP」の低い食事をとるようにしてみた。

 

 

以前の記事でも書いた通り、過敏性腸症候群(IBS)の治療として、病院から処方されたイリボーを服用していたので、IBSの症状は劇的に良くなってはいた。

 

 

しかし、イリボーという薬を使わずに、この「FODMAP」がどれくらい効果的なのかを知りたかったので、「FODMAP」の低い食事をとっている間はイリボーの服用を一時的に止めることにした(医者からも薬は様子をみながら使ってと言われていたので問題ないだろう)。

 


まずは、「FODMAP」の高い食べ物を避けていくことだ。そこで、どんな食べ物が高FODMAPなのかを知る必要がある。江田先生の『パン・豆類・ヨーグルト・りんごを食べてはいけません』によると、以下のような食べ物が高FODMAPとなる。

 

 

高FODMAP

 

■オリゴ糖(フルクタンとガラクトオリゴ糖)
にんにく、玉ねぎ、小麦(パン、ラーメン、うどん、パスタなど)、豆全般(納豆も)、すいか、桃、柿など

 

■二糖類(ラクトース)
牛乳、アイスクリーム、ヨーグルト、柔らかいチーズなど

 

■単糖類(フルクトース)
はちみつ、果糖ぶどう糖液糖、アスパラガス、りんご、梨、サクランボ、マンゴ、すいかなど

 

■ポリオール(ソルビトール、キシリトール)
マッシュルーム、カリフラワー、キノコ類、さやえんどう、キシリトール食品、りんご、すいか、梨、ももなど

 

 


こんなに、避けるべき食べ物があるとは!!

 

しかも、様々な料理の食材として使われているタマネギや小麦粉、豆類が入っている。個人的に大好きなヨーグルト、スイカ、もも、柿までも対象なのか……。

 

ほとんどの清涼飲料水は「果糖ぶどう糖液糖」が主成分。あのポカリだってそうだ。

 

これらの食品を避けるってけっこう大変ではないだろうか。

 

 


今度は、逆にFODMAPが低い食べ物にはどんなものがあるのか。

 

低FODMAP

 

米、そば(10割)、なす、トマト、ブロッコリー、ニンジン、ピーマン、ホウレンソウ、きゅうり、じゃがいも、レタス、ココア、オリーブオイル、みそ、木綿豆腐、硬いチーズ、バター、マーガリン、バナナ、イチゴ、ぶどう、メロン、キウイ、レモン、紅茶、コーヒー、緑茶、肉魚類など。

 

 

米がある! さらには肉魚類が入っているのは嬉しい限りだ。豆腐は木綿ならいいのか。

 

ともかく、高FODMAPに気を付けながら、3週間ほどFODMAPの低い食べ物を中心にすごしてみた。

 

まず、驚いたのは、ボクは基本的に慢性的にかなりの軟便派で、普段から1日に3~5回は出るのだが、「低FODMAP」を中心とする食事をはじめてから、2日目ぐらいから普通の硬さになり、そして回数も1~2回へと減った。

 

これには、本当に驚かされた。20年以上悩まされてきたお腹の不調が、まさか、カラダに良い食品と言われている物が主な原因だったのだから。

 

そして、この良好な状態が3週間続いた。「こんなのは良好な状態を味わうのは何年ぶりなんだろうか?」っていうか、はじめての経験かもしれない。

 


「FODMAP」の食事はかなり効果あった。

これは凄い!!

 


とりあえず、3週間やってみてかなりの効果を感じたのだが、ただ、あまりにも食品の制限が多い。だからこれを緩めていくという方法もある。

 

 

3週間かけて、体内に残留している高FODMAPは抜けたと思うので、次のフェーズに入ることにした。

 

 

詳細は次回。

 

 

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『パン・豆類・ヨーグルト・りんごを食べてはいけません』@「過敏性腸症候群(IBS)」対策をやってみた!

更新日:2021年4月12日 (投稿日:2019年6月18日)

 

 

朝、会社へいくために電車に乗る。家ではしっかりとトイレで用を足してきているのに必ずといっていいほど、途中で腹痛がはじまりお腹を下してしまう。

 

その頻度はひどいときで10回中10回。不思議と職場へつくと、症状が無くなっていることもある。精神的なストレスの影響なんだろうと思っていた。

 

ボクのこの症状は、軽度なときもあれば、酷い症状のときも含めて20年ほど患っているものだった。

 

この症状は「過敏性腸症候群(IBS):下痢型」なのだが、どうもボクの場合は、仕事を変えてストレスがほぼないような状態でもこの症状が出るのだ。

 

それで、本格的に専門の病院で診てもらった。そして「イリボー錠」という特効薬を処方され、ボクにはこの「イリボー錠」が劇的に効果があった。

 

これば市販されている「下痢止め」というものではなく、脳と腸の過剰な神経伝達物質のやりとりを止める薬だ。その結果、下痢が止まるということらしい。


ちなみにIBSは症状がいろいろあり、一つの症状でもどの薬が効果あるのか個人差があるので、自分に合った薬を探すことが治療でもある。


「イリボー錠」はあくまでも下痢が発生するその仕組みに介入して止めるだけなので、他にもIBSの対処方法はないのか、IBS関係の本を探してみた。

 


そうすると、江田先生の『パン・豆類・ヨーグルト・りんごを食べてはいけません』という本の中でそれが紹介されていた。

 

 

 タイトルにかなりのインパクトがある。

 

「パン・豆腐・ヨーグルト・りんご」は全てボクが好んで食べているものだ。豆腐、ヨーグルト、リンゴは食べた方が健康にも腸にも良さそうのだが。それを「食べてはいけません」と言うわけだ。

 

一般的には食べた方が良いと思われているものが、過敏性腸症候群(IBS)の人には逆効果になりえるということだ。

 

ヨーグルトとか、お腹の弱い人には良さそうな食材なのに、かえって食べない方がよかったというのは、これまでの逆の発想で思いもよらなかった。


ちなみに過敏性腸症候群(IBS)の患者は日本では推定で10人に1人の割合だそうだ。

 


だから、IBSではない人には、りんごや豆腐は「食べた方がよい」食材なのだろう。

 


以前から、お腹を壊すのは食べ物や飲み物が原因というのは経験的にわかっていた。ただ、それが主要は原因ではなく、どちらかといえばメンタルや気持ちの部分が圧倒的に大きいと思っていた。

 


江田先生はこの『パン・豆類・ヨーグルト・りんごを食べてはいけません』の中で、お腹の調子を悪くしているのはある種の食べ物によって、消化不良が起きている可能性があるといっている。

 

 

その消化不良を起こす可能性がある食材をまとめて

 

フォドマップ(FODMAP)

 

という。

 

 

これは、小腸内で消化吸収されにくい糖類

 

Fermentable:発酵性、

Oligosaccharides:オリゴ糖、

Disaccharides:二糖類、

Monosaccharides:単糖類、

And

Polyols:ポリオール

 

 

の頭文字をとってFODMAP:フォドマップと総称している。

 

 

どもうこのFODMAPがボクのお腹に悪さをしていそうなのだ。FODMAPは小腸で消化吸収されにくくて水分を多く小腸内にとりこんだり、ガスを発生させたりする。その結果、腹痛や放屁、下痢が起きやすくなるという。

 

 

精神的な面というよりも、体の機能的な面で問題が発生していたということになる。であれば、FODMAPを含んだ食材を食べるのをやめることで、IBSの症状を改善できるかもしれない。

 


このFODMAPはオーストラリアのモナッシュ大学の研究チームによって開発され、フォドマップ度の低い食事療法がIBSの症状を改善するという研究結果が出ている。

 

IBS患者の大半に改善の効果がみられ、欧米ではIBSの治療に積極的に取り入れられている治療法だそうだ。

 


ということで、このFODMAPを除いた食事をするようになればIBSの症状は改善されるのか? 次回から、ボクがやってみたFODMAP体験をつづってみる。

 

 

<つづく>


 

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【書評】『本の読み方 スロー・リーディングの実践』@ 「速読」よりも「遅読」こそ価値を生む

投稿日:2021年4月9日

 

 

本の読み方は、そのときおかれた状況や活字経験によって変わってくると思う。だから、ボクは時々「読書本」を読むようにして、自分の読み方が今どうなっているのかを確認したりする。十数年前の読み方と今の読み方では大きく異なっていることに気づかされる。

 

以前は、「速読」優位であった。

 

一日の限られた時間の中で、仕事で読まなければならない資料や文献が多くある。そんなときに「速読できたらどんなに仕事が進むだろうか」と思ったことは何度もあった。だから、十数年前、速読的なことをうたっている「フォトリーディング」の集中講座を受けたこともあった。

 

 

 

「フォトリーディング」をやって役立ったことは、本などの活字から得た情報が今必要なのかどうかを取捨選択するという初期情報を一時的に素早く処理することができることだ。ただ、ボクはそれを速読とは思っていない。

 

単純に、知っている分野や既知の内容が書かれているところは、途中でひっかかるところもないので、素早く読める。これが現実的な速読なのではないかと思う。

 

しかし、不慣れな分野や新しい知見が書かれている本に触れるときには、速読だけでは、中身は入ってこない。やはり、本を一字一句じっくりと読んでいく「遅読」の方が結果的に知識として身につく。

 

だから、今は「遅読」=「スロー・リーディング」優位だ。

 

そして、今回、紹介する『本の読み方』は「スロー・リーディング」を中心とした「読書本」である。著者は芥川賞を受賞している小説家の平野啓一郎氏だ。

 

本の読み方 スロー・リーディングの実践 (PHP文庫)
 

 

 

 

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『本の読み方』の読書対象者

 

タイトルにもある通り、速読ではなく「スロー」リーディングとあるように、本をじっくり味わう方法を知りたい人に向いている。

 

また、速読にコンプレックスを持ってしまっている人や、「量」の読書から「質」の読書へと読書の方法を変えたい人にも良いテキストとなる。

 

 

『本の読み方』の要約

 

スロー・リーディングとは「精読」「熟読」を包括した読み方のことを指していて、

 

一冊の本にできるだけ時間をかけ、ゆっくりと読むこと

 

であり、本を何度も味わい尽くすことである。

 

 

著者は、第1部「スロー・リーディング 基礎編」の中で

 

わたちは、情報の恒常的な過剰供給社会の中で、本当に読書を楽しむために、「量」の読書から「質」の読書へ、網羅型の読書から、選択的な読書へと発想を転換してゆかねばならない。

 

と、主張し、読書の「質」の転換を促している。

 

そして、第2部「スロー・リーディング テクニック編」として、「助詞、助動詞に注意する」や「より<先に>ではなく、より<奥に>」といった具体的な読み方を提唱している。

 

最後の第3部「スロー・リーディング 実践篇」では、夏目漱石『こころ』や森鴎外『高瀬舟』などから、実際の本を通して読み方を解説。

 

 

読書メモ

 

では、『本の読み方』から「メモ」にとった一部をご紹介。

 

 

1ヵ月に本を100冊読んだとか、1000冊読んだとかいって自慢している人は、ラーメン屋の大食いチャレンジで、15分間に5玉食べたなどと自慢しているのと何も変わらない。速読家の知識は、単なる脂肪である。

 

なかなか、辛辣な表現だ。ボクも一時期、毎日1冊以上を読むことを日課にしていたことがあったので、耳が痛い。あれは、一種の大食いだったのか……。お腹強くないのに食べ過ぎていたのかもしれない。

 

 

・速読本は、「自己啓発本」だった


速読法の技術としてよくあるのは、こういう話しである。ページを開いたときに、文章を最初から目で追うのではなく、その全体を眺めて、写真を撮るようにしてそこに並んでいる文字群を、いわば映像として目に焼きつける。そうすると、意識のレヴェルでは読んではいなくても、無意識のレヴェルでは情報の取り込みが完了していて、本を閉じて思い返すと、内容が理解できている、と。

 

無意識というのは、ご存じの通り、意識でコントロールできな領域である。意識を通過して無意識の世界に取り込まれた内容を、あとから自由に意識しなおし、内容を論理的に組み立てるなどということができるはずがない。

 

これは「フォトリーディング」の中の一部の手法ことを言っているように思える。無意識の世界はまさに「意識」していないことなので、仮に無意識に落とし込めたとしても無意識の知識を意識上の知識として活性化することには無理がある。

 

ただ、読むこととは違いと思うが、「フォトリーディング」の情報検索技術は、有効だと思う。

 

 

 

・助詞、助動詞に注意する

文章のうまい人とヘタは人との違いは、ボキャブラリーの多さというより、助詞、助動詞の使い方にかかっている。

 

たしかに、ブログ記事を書いていると、助詞、助動詞の使い方が気になる。普段は気にしていないが、主語の次に「は」なのか「が」なのかでも伝わり方が違う。『英語独習法』でも語彙力は単語を知っている力ではなく、「単語の運用能力」と説明していたが、それと同じことのように思える。 

 

 

 

 

 

まとめ

 

この『本の読み方』では、「スロー・リーディング」は時間がかかり手間もかかる読み方ではあるが、その分、

 

5年後、10年後のための読書

 

であると著者は述べている。

 

なぜなら、スロー・ディングの本質は

 

言葉を深く理解する技術

 

でもあるからだ。

 

 

おわりに

 

本は「再読」することに価値がある。読む度に、新しい発見をし、新しい自分自身を発見する。そうしたつきあい方ができれば、本は人生のかけがえのない一部となるだろう。

 

まったくの同感だ。「再読」によって新たな発見があり価値が生まれる。もちろん全ての本を再読する必要があるとは思わないが、スロー・リーディングした本は、再読することで、より理解が深まる。

 

また、一ヵ月、半年、一年と時期をおいて「再読」してみると、読んだことを強化することにもなるし、また、読み落としていた大事なことに気づけることもある。

 

「スロー・リーディング」しておくことで、そのことに気づけたり、あらたな価値を見出すことも可能となる。

 

本は線を引いたり、付箋をはったり記号をつけたりしながらじっくり読み、何度もなんどもしつこく読んでとことん味わいつくしたいものだ。

 

 

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『本の読み方』の目次

 

本の読み方 スロー・リーディングの実践 (PHP文庫)
 

 

文庫版に寄せて

 

序――本はどう読めばいいのか?

 

第1部 量から質への転換を:スロー・リーディング 基礎編
・スロー・リーディングとは何か?
・「量」の読書から「質」の読書へ
・仕事・試験・面接にも役立つ
・速読家の知識は単なる脂肪である
・コミュニケーションとしての読書
・速読本は、「自己啓発本」だった
・なぜ小説は速読できないのか
・モンテスキューとぶどう酒
・「速い仕事」はどこか信用できない
・新聞もスロー・リーディング

 

第2部 魅力的な「誤読」のすすめ:スロー・リーディング テクニック編
・「理解率70%」の罠
・助詞、助動詞に注意する
・「辞書癖」をつける
・作者の意図は必ずある
・創造的な誤読
・「なぜ」という疑問を持つ
・前のページに戻って確認する
・より「先に」ではなく、より「奥に」
・「遅読」こと「知読」
・声に出して読まない
・書き写しは効率が悪い
・人に説明することを前提に読む
・複数の本を比較する
・傍線と印の読書
・「我が身」に置き換えてみる
・再読にこそ価値がある


第3部 古今のテクストを読む:スロー・リーディング 実践篇

夏目漱石『こころ』
・会話の中の「疑問文」に注目する
・「違和感」に注意する
・「時代背景」や「5W1H」を考える
・再び、全体へ

 

森鴎外『高瀬舟』
・「不自然さ」は場面転換の印
・「考える枠組み」を明確にする
・読者を「感情の踊り場」へと導く
・「情景の効果」を見落とさない
・条件を変えて読み直す

 

カフカ『橋』
・「書き出しの一文」に意味がある
・「形容詞・形容動詞・副詞」に着目する
・「場面転換の意味」を考える
・大胆に解釈する勇気を持つこと!
・「誤読力」を楽しむ
・感想は何度も更新されるもの


三島由紀夫『金閣寺』
・なぜ、このシーンが入っているのか?
・「思想の対決」としての会話
・「小技の効果」を感じとる

 

川端康成『伊豆の踊子』
・「主語の省略」に注意する
・「一人称体小説」は警戒すべし

 

金原ひとみ『蛇にピアス』
・テーマ設定による「他作品との比較」
・文章表現を「体感する」

 

平野啓一郎『葬送』
・「イメージの重層性」を取り雫さない
・「作者への反感」が頭を働かせる
・イヤになったら休憩をとる

 

フーコー『性の歴史I 知への意思』
・難しい評論は「補助線を引く」
・「常識への挑戦」を視覚化する
・文章を書くときの参考にする


おわりに

 

 

 

【書評】『英語独習法』@ 10年近く英語を勉強しても話せるようにはならない理由がわかる

投稿日:2021年4月7日

 

 

なぜ、英語をあれほど学習してきたのに、英語で話せるようにはならないのか?

 

中学、高校、大学をあわせると10年近く英語を学んできたはずだ。文法を理解し、単語もかなり覚えてきたつもりだ。

 

英語を「読む」ことはなんとかできていそうだが、スラスラ話せるかといえば、決してそんなことはない。

 

今の英語教育は「読む・聞く・書く・話すの4技能」が必要とか言われているけど、実際のところどうすれば、「読む」はともかく、「聞く・書く・話す」ができるようになるのか?

 

ボク自身も英語を学習し、英語を(読解中心だが)教えてきているので、この「聞く・書く・話す」の3技能へのギャップが大きいことはよくわかっているつもりだ。

 

特に「聞く」・「話す」の壁はかなり高く思える。

 

基本的なフレーズを覚えてそれを言うことはたやすいが、使えるフレーズなんてたかが知れているので、覚えたフレーズで使えるのは極めて限られている。

 

そして、実際の会話の場面で「話す」となると、まず相手の言っていることが聴こえない。だから、何を言っていいのかもわからない。それが入学試験や資格試験の音声だけだと、なおさら聴こえない。

 

しかし、スクリプトで文として読んでみると、かなり簡単な内容であることがわかる。

 

 

どうすれば、この「読む」ことができる段階から次の段階へと進んでいくことができるのか?

 

いろんな教材や手法をやってきてはみたが、どれも決定打とはならなかったが、今回紹介する『英語独習法』での英語学習法は決定打となりそうだ。

 

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英語独習法 (岩波新書 新赤版 1860)

英語独習法 (岩波新書 新赤版 1860)

 

 

 

『英語独習法』の目的

 

この『英語独習法』を読むと、外国語としての「読む」→「聞く」・「書く」・「話す」までの道のりがいかに遠いかがよくわかる。そしてどうすればその壁を越えていけるかも理解できる。

 

なぜなら、この『英語独習法』の目的は、

 

認知科学で知られている「学習の法則」を外国語学習に当てはめ、さらに英語の特徴を勘案しながら、英語学習の合理的な学習法を提案すること

 

としている。

 

さらに、

 

「合理的な学習法を提案する」だけでなく、「その理由としくみを解説する」ということが本書の特徴で、これまでの英語学習の数多の書物と違うところだと自負している。

 

 と、筆者が言うように認知科学の「学習法則」の知見から、精神論ではなく、独自の経験論でもない「汎用的な英語学習法」が理由をもって提案されているのだ。

 

 

「はじめに」書いてあったこの文章を読んだだけで、ボクのこの本への期待感はかなり高まった。そして、読み終えたあともその期待はまったく裏切られることはなかった。書いてある内容に、ボク自身の学習経験から照らし合わせても、まったく納得のできる内容であった。 

 

 

 

『英語独習法』の主な対象者

 

本書は主に、仕事の場でアウトプットできるレベル、すなわち自分の考えを的確・効果的に表現し、相手に伝えられるレベルの英語力を目指す人に向けて書かれている。

 

この本は英語の初学者向けの本ではない。学校教育での英語学習を一通り終えたあとも英語学習を継続している社会人向けの本である。英語の「読む」→「聞く・書く・話す」の各段階のギャップがよくわかっている人向けとも言える。

 

または、

 

英語でも、記憶や理解の認知のしくみを反映した学習法や指導法は大事なはずである。「わかりやすく教えれば、教えた内容が学び手の脳に移植されて定着する」という考えは幻想であることは認知心理学の常識なのである。

 

とあるように、英語学習者に英語を教えている者にとってもぴったりの本だ。むしろ、英語学習指導者こそ、読むべき内容であると思う。

 

この『英語独習法』は認知科学からの英語学習の実践的な解説本であるので、英語そのものよりも、認知心理学による合理的で効果的な英語学習による「英語の能力化」の方法に重点が置かれているので、読み進めていくと部分的に難しく感じる人もいるかもしれない。

 

ただ、実践的な部分だけを読み取っていけば、英語学習の理論書というよりも、実践書として読むことも可能だ。理論がわかった方が、実践にも幅がきくし応用できるから全て読んだ方がお得ではある。

 

 

要約

 

かなりざっくりいうと、『英語独習法』は日本語(母語)ではない英語(外国語)が耳で聴こえて、アウトプット(書く、話す)もできるようになるためにはどうすればいいのかを認知科学の知見から合理的な英語学習方法を解説した本だ。

 

 

とくにポイントとなるのは、「語彙力」。

  

言語を自在にアウトプットするためには、語彙が欠かせない。もちろん、文法の知識も必要だ。文法の知識が語彙の中に融合されていなければ、言語を自在に操ることは不可能なのである。

 

語彙があるといっても、「chase」=「追いかける」のように、日本語でわかる英単語の意味をたくさん知っていることではない。単語帳での学習の限界もここにある。

 

 

日本語の「追いかける」は、英語では、

 

・pursue

・chase

 

この二つの動詞が候補になるが、その違いは、目的語にどのようなもをとるかによっても変わってくる。

 

pursue → 目的語:carrier, goal, degree, educationなど
chase   → 目的語:cat, rabbit, ball, packなど

 

といったように。

 

 

こういった言葉を「共起の知識」を筆者と説明している。その単語それぞれに、また文脈によって、共起される単語が異なるということだ。

 

それが、動詞に限らず、名詞、形容詞、副詞にも当然ある。

 

このような単語の知識を無意識のうちに使いこなせるかどうかが、学習の習熟度によって変わってくる。

 

とくに、英語で悩まされるのは、いくら文法を完璧にマスターしたとしても、「名詞」が可算名詞なのか、不可算名詞なのか、「前置詞」はどれがいいのかは、常に付きまとう問題だ。

 

 

このような無意識に使える「語彙の知識体系」を言語知識の「スキーマ」と説明している。

 

スキーマは「知識のシステム」ともいうべきものだが、多くの場合、もっていることを意識することがない。母語についてももっている知識もスキーマの一つで、ほとんどが意識されない。意識にのぼらずに、言語を使うときに勝手にアクセスし、使ってしまう。

 

ことばについてのスキーマは、氷山の水面下にある、非常に複雑で豊かな知識のシステムである。スキーマは、ほとんど言語化できず、無意識にアクセスされる。可算・不可算文法の意味も、スキーマの一つなのである。

 

 

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この「スキーマ」は母語である日本語と第二言語である英語で大きく異なっている。だから、この「スキーマ」の違いが英語学習の最大の妨げになるという。つまり、この妨げが「読む・聞く・書く・話す」4技能の壁となるわけだ。

 

 

『英語独習法』では、母語である日本語のスキーマと英語のスキーマの違いを意識して、英語のスキーマを段階的に身につけていくような学習方法をとることを勧めていて、その具体的な方法が提案されている。

 

 

実際に目新しい方法は特にないのだが、ただ、それぞれの方法での意識の向け方や、何に重点をおけばいいのかを、認知科学の視点から事細かに説明している。この『英語独習法』のうまみはそこにあると思った。

 

 

 

各章の簡単なまとめ

 

第1章:認知のしくみから学習法を見直そう
・記憶や情報処理のしくみが英語学習にどうかかわるかを説明している。

 

第2章:「知っている」と「使える」は別
・認知科学の概念である「スキーマ」を英語学習という視点で解説。

 

第3章:氷山の水面下の知識
・知っていることが意識されない暗黙の知識である「スキーマ」が英語ではどのような構成になっているかを解説。本当の「語彙力とは何か」もわかる。

 

第4章:日本語と英語のスキーマのズレ
日本語と英語のスキーマのズレを説明し、どうすれば、英語のスキーマを身につけれるのかを5つのステップで解説。 

 

第5章:コーパスによる英語スキーマ探索法 基本篇
オンラインツールなどを使い、英語スキーマを探索する方法を6つのポイントで解説。

  

第6章:コーパスによる英語スキーマ探索法 上級篇
英語スキーマの探索をさらに深く進めていくために、言語の研究者も使う本格なツールを紹介。

 

第7章:多聴では伸びないリスニングの力
語彙が少ないのに、無理にたくさん聴いてもリスニング力はのびない。リスニングに時間を使うよりも先に「語彙を強化する」ことや、その分野の「語彙のスキーマ」を身につけることに時間を使ったほうがよい。そのための具体的な方法の解説もある。

 

第8章:語彙を育てる熟読・熟見法
多読、多聴の目的と限界を解説し、それよりも、語彙を育てるには熟読を勧めている。さらに、深い情報処理をして単語を覚え、語彙を増やす方法として映画の「熟見」を勧めている。

 

 

第9章:スピーキングとライティングの力をつける
スピーキング(話す)とライティング(書く)はどのような順番でどのように学習を進めていくと合理的なのかを認知的な違いからわかりやすく解説。結論はまず「ライティング」から。

 

第10章:大人になってからでも遅すぎない
母語である日本語の学習と、日本語を習得した後の英語学習の仕組みの違いから、合理的な英語学習について解説。そのうえで、語彙力の完成はいくつになっても訪れないのだから、英語学習は大人からでも遅すぎることはないと述べている。

 

探求実践編
動詞、名詞、前置詞の使い方を課題探求から実践的に解説。

 

 

 

 

おススメな読み方

 

理屈はともかくすぐに実践したい人

 

第7章 多聴では伸びないリスニングの力

 ↓

第8章 語彙を育てる熟読・熟見法

 ↓

第9章 スピーキングとライティングの力をつける

 ↓

第5章 コーパスによる英語スキーマ探索法 基本篇

 ↓

探究実践篇

 

 

リスニング、スピーキングのアウトプット力をつけたい人

 

第3章 氷山の水面下の知識

 ↓

第4章 日本語と英語のスキーマのズレ

 ↓

第5章 コーパスによる英語スキーマ探索法 基本篇

 ↓

第7章 多聴では伸びないリスニングの力

 ↓

第8章 語彙を育てる熟読・熟見法

 ↓

第9章 スピーキングとライティングの力をつける

 ↓

探究実践篇

 

 

英語を教える方

本書全編

 

 

おわりに

 

英語を習得するには、誰かに教えてもらいながら学習する時間よりも、独りで繰り返し読んだり、作文をすることに多大な時間を使うことがカギとなる。

 

この本のタイトルになぜ「独習」がついているのか、最初の方はよくわからなかったが、読んでいくうちにそれがわかった。

 

独習=自主トレがなければ、この本で提唱されていることは実現できない。語学に限らないが、圧倒的な「独習」量によって、スキルが内在化していくからだ。

 

達人になるためには感覚と直感を磨くことが大事だ。感覚と直感は、長年の訓練により、知識が頭ではなく身体の一部になって得られるものである。短い時間で楽に達人になることはできない。なにごとも熟達するには、時間がかかる。

 

ただ時間をかければよいわけではない。どのような分野でも、いやいや取り組んだり、うわのそらで取り組んだりしていては、いくら時間をかけても上達しない。注意を向けて取り組み、自分の進歩を糧に、自分なりの学習方法を編み出して学び続けた人が達人になる。

 

 英語に限らず、なにごとにも「熟達」するには、時間がかかる。特に語学はあせらず、じっくりと取り組んでいきたい。

 

  

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『英語独習法』の目次

 

英語独習法 (岩波新書 新赤版 1860)

英語独習法 (岩波新書 新赤版 1860)

 

はじめに
第1章 認知のしくみから学習法を見直そう
第2章 「知っている」と「使える」は別
第3章 氷山の水面下の知識
第4章 日本語と英語のスキーマのズレ
第5章 コーパスによる英語スキーマ探索法 基本篇
第6章 コーパスによる英語スキーマ探索法 上級篇
第7章 多聴では伸びないリスニングの力
第8章 語彙を育てる熟読・熟見法
第9章 スピーキングとライティングの力をつける
[ちょっと寄り道] フィンランド人が英語に堪能な理由
第10章 大人になってからでも遅すぎない
探究実践篇
【探究1】 動詞の使い分け(1)──主語・目的語に注目
【探究2】 動詞の使い分け(2)──修飾語・並列語に注目
【探究3】 動詞の使い分け(3)──認識を表現する
【探究4】 動詞の使い分け(4)──提案を表現する
【探究5】 修飾語を選ぶ──頻度に注目
【探究6】 抽象名詞の使い分け──共起する動詞と修飾語に注目
【探究7】 前置詞を選ぶ──前置詞+名詞の連語に注目
【探究8】 抽象名詞の可算・不可算
本書で紹介したオンラインツール
参考文献
あとがき

 

参考オンラインツール

Weblio 英和・和英辞典

Cambridge English Dictionary

英辞郎 on the WEB Pro(有料)

SkELL

Sketch English(フル、有料)

COCA
WordNet:A Lexical Database for English

【書評】『人生に必要な教養は中学校教科書ですべて身につく』@イマドキの中学校教科書がスゴイ!

更新日:2021年4月3日  (投稿日:2020年12月21日)

 

 

仕事で、中学生・高校生に数学などを教えることがあるが、その際、彼らが学校で使っている教科書や傍用問題集をよくみる。

 

 

みていて、いつも思うのは、

 

 

今の教科書は前よりもかなり良くなっている!

 

 

ということだ。

 

 

約30年前、ボクが中学・高校生の頃の教科書は味気ないもので、一人自力で読める代物ではなかった。

 

 

ところが、今の教科書は内容のわかりやすさに多くの工夫がほどこされ、写真や色使いなども含めてかなり読みやすくなっている。

 

 

今の教科書は、ボクらが中学・高校生の頃に使っていた参考書レベルの見やすさになっているのだ。

 

 

「中学校教科書」にそんな感想をいだいていたところに、ジャーナリストの池上彰氏と知の巨人である佐藤優氏が「中学校教科書」をめぐって対談している本をみつけた。

 

 

人生に必要な教養は中学校教科書ですべて身につく-12社54冊、読み比べ (単行本)

 

 

 

 

それでは、内容をみてみよう。

 

 

要約

 

中学生が楽しく学べるように、工夫に満ちた中学校教科書。それは中学生だけではなく、勉強から離れてしまった大人が基本的な教養を再確認したり、あらたに身につけるためにも役立つ。

 

池上彰氏と佐藤優氏が英語、数学、国語、理科、社会(地理、歴史、公民)、道徳の中学校教科書(12社54冊)を読み解いてる。その内容がいかにこれからの社会に必要な基礎力となるかを解説している(各科目ごとのポイント解説もあり)。

 

 

読書メモから

 

池上彰氏のニュース解説の多くは中学校教科書に出ている

 

池上:
フリーランスのジャーナリストとしてテレビでニュースをわかりやすく解説する仕事をしていますが、しばしば「いろんなことを知っていますね」と言われます。実はそのほとんどは中学校の教科書に出ていることなのです。私の知識の多くは中学校までの教科書によって得たものなのです。

 

教科書の価格は安いもの。じっくり読んで頭の中を掃除したり再整理したりするのに絶好の教材です。 

 

 

まったく同感。高校の教科書ほど内容が難しくないのと、解説・図解等がとにかくわかりやすい。興味を持って読めば、面白い読み物としても読むことができる。

 

 

 

 

社会人の基本教養の学び直しに最適

 

佐藤:
社会の中堅と目される30代、40代、あるいはそれ以上の世代であっても、遅くはない。もし、必要とされる教養が不足しているという自覚があるならば、今からそれを身につけましょう。その術はあるのです――というのが、今伝えたいことなのです。

 

池上:
今おっしゃった「必要とされる教養」には、当然「このグローバル時代を生き抜くために」とか、あるいは「来るべき、“AI時代”を見据えて」といった「枕詞」が付けられるわけですね。

 

社会人になってからこそ、基本的な教養が必要な場面は出てくることがある。そのときこそ、専門書よりも、入門書ともいえる「中学校教科書」で学び直した方がよさそうだ。

 

 

なぜ「高校教科書」ではなく「中学校教科書」なのか?

 

池上:
あらためて、「テキスト」に中学の教科書を選んだ理由を聞かせてください。

 

佐藤:
ひとことで言えば、日本の義務教育の最高段階が中学校だからです。高校に行くと教わることがグンと高度になるので、テキストとしては難しすぎる、というのも理由です。

 

池上:
裏を返すと、現代を生きる日本人にとって必要な教養は、中学の教科書をマスターすれば十分である、と。

 

中学3年までの内容を概ねマスターしたら、大変な「もの知り」になれるということです。

 

高校生を教えているのでことのことはよくわかる。高校の教科書は中学校よりも内容がかなり高度になり、自力で読んで理解することが困難になってくる(読みやすい易しめの教科書もある)。

 

中学では授業だけを聞いて、定期テスト前にちょこっと勉強すれば90点以上取っていた中学生が、高校に入って、同じようなことをしようとして、1年次の終わりにはまったくそれが通用しなくなっていることに気づくはずだ。

 

英語も数学は特にそうである。中学校と高校の内容の難易度の上がり方がえげつないものがあるのが現実だ。

 

そういうことも踏まえると、教養レベルの知識は高校教科書よりも、まずは中学内容で十分ではないかとボクも思う。

 

 

 

「中学教科書」から社会人に必要な教養は満たされる

 

佐藤:
実は、「教養」という言葉の定義は曖昧です。マニュアルもありません。ただし、どの国に行っても一定水準の「知のスタンダード」があって、それがすなわち義務教育で学ぶ中身なのです。それをマスターしておけば、社会で生きていける組み立てになっている

 

池上:
「中学の勉強は、高校受験のためにあった」という印象をもっている人は、もう一度その原点に立ち返ってみるのがいいですね。

 

佐藤:
社会人としての必要条件は、それで十分に備わるのです。ところが、なかなかマスターすることができていない、という現実があります。そういう自分の姿を再認識するためにも、中学の教科書をあらためて丁寧に読んでみてほしい。「知のチェック」を行いながら、スタンダードを身に付けていくのに、これ以上の教材はありません。

 

池上:
加えて、今の大人世代が学んだ中身と今の教科書では、書かれていることが劇的に違います。現代に必要なスタンダードを学び直すことで、「知的再武装」になるでしょう。

 

ということで、改めて、ビジネス書を読む感覚で、中学校の教科書を手にとって読んでみるのもよさそうだ。

 

 

 

まとめ

 

タイトルは『人生に必要な教養は中学校教科書ですべて身につく』である。実際に中学校教科書を読んでみると、中学校教科書を理解しマスターできれば基本的な教養は確かに身につくと思う。

 

個人的には、社会や理科を中学校教科書で学び直すと、自分の知識に抜けがあったり、新たな発見や気づきもある。そういう意味で大人も読んだ方がよいのではないかと思った。

 

この『人生に必要な教養は中学校教科書ですべて身につく』はその必要性とどんな教科書があるのか、また読み方のガイドブックのような本ともいえる。

 

 

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『人生に必要な教養は中学校教科書ですべて身につく』の目次

 

■目次
はじめに
序章に代わるブレインストーミング 今なぜ「中学の教科書」か
第1章 地理 地理が読み解ければ“世界”が見える
第2章 歴史 人類の出現から現代まで、一気に「大河」を下る。
第3章 公民 社会の仕組みをインプットして足元を固める。
第4章 理科 日常が科学で成り立っていると知る
第5章 数学 コトの真偽を見極めるための土台
第6章 国語 中学の教科書は現代文教材の「完成系」
第7章 英語 ひたすら音読して、「中3レベル」をキープする
第8章 道徳 自分と他人の「スタンダード」を知る
あとがき

 

 

追記:

教科書の入手は以下サイトを参考にどうそ。

www.text-kyoukyuu.or.jp

 

 

書評『時間術大全』@本当に大切なことをするための時間をつくる

投稿日:2021年3月31日

 

 

本当に大切なことをするために時間は使えているだろうか?

 

大量にやってくる仕事のメールやLINEへの返信、対応ばかりやって一日の大半を使ってはいないだろうか。

 

激流のように流れてくる仕事をこなしているときは、それなりの充実感はあり、仕事をやった気になれる。

 

でも、それは仕事に流されているだけかもしれない。本当にやるべき価値のあることのための時間をつくれているのだろうか。

 

今日こそ、もっと大切で大事なことをやろうと思ってはいるけど、実際に実現せず、翌日、翌週、翌月へと先送りしてしまっていることがよくある。

 

1日24時間。睡眠・食事等の時間を除いた起きているときの可処分時間は16~18時間程度だろうか。一日の時間は本当に限られている。

 

そのような中で、本当に重要なことに焦点をあてて、そこにエネルギーを投下してくことができれば、どれほど良いだろうか。

 

今回、ボクが読んだ『時間術大全』は「本当に大切なことをやるための時間をつくる(メイクタイム)」ためのシステム(フレームワーク)とそれを実現する87の戦術が紹介されている。

 

時間術大全 人生が本当に変わる「87の時間ワザ」

時間術大全 人生が本当に変わる「87の時間ワザ」

 

 

 

  

要約

 

おおざっぱに言えば、「本当に大切なことをするための優先度管理術」と言えるのではないだろうか。

 

『時間術大全』によると、メイクタイムのための基本的なフレームワークがあって、それは次の4ステップで構成されている。

 

 

メイクタイムのためのフレームワーク

 

ステップ1:ハイライト

その日に優先する「ハイライト」を1つ決める。

 

ステップ2:レーザー
特別な戦術を使ってハイライトに「レーザー光線のように集中」し続ける。つねにつながり続けているこの世界で、気を散らすものに打ち勝つ秘訣を紹介。

 

ステップ3:チャージ

時間と注意力を1日中コントロールするために「エネルギー」を蓄える。

 

ステップ4:チューニング

1日を振り返って簡単な「メモ」をとる。

 

 では、この4ステップを簡潔にひとつずつみてみよう。

 

 

ステップ1:ハイライト

■毎日「最重要事項」を選ぶ

 

 ただ単に「やることリスト」をつくるだけでは、優先度関係なく「やること」をひたすら実行することになるが、タスクの量が多いときはできないこともでてきてしまう。そして先延ばしタスクとなり、リストからなかなか消えないタスクが増えてしまう。だから筆者は次のように言う。

 

・何のために時間をつくるのかを決める。毎日、その日の優先事項としてスケジュールを確保する活動(=ハイライト)を1つ決めよう。

 

・一日中ハイライトだけに取り組むわけではないが、とにかくそれが最優先事項になる。

 

優先する活動=ハイライト

 

を選ぶことだ。「やることリスト」の中に「優先度」を設定するのだ。

 

 

 

 

ステップ2:レーザー

■「気を散らすもの」を撃退する

 

「ハイライト」を決めたあとは、その活動を邪魔するモノや行動はすべて排除する。メールやLINEの通知があるとついつい反応してしまう。それをやめることだ。

 

・反応のサイクルを断ち切るために、テクノロジーの使い方をデザインし直すことはできる。

 

 特に、スマホの通知機能は有害だという。そのサービスの作り手が言っているのだから間違いない。

 

ちなみに、これは『減らす技術』でも言われていたことだ。

 

 

ステップ3:チャージ

 ■体を使って「脳を充電」する

 

やはり、この『時間術大全』でもエネルギー管理は重要な要素だ。創造的な仕事をするにも、質の高い仕事をするにも、集中力が必要で、そのためにも肉体・心・精神・情動のエネルギーが十分に満たされていることが前提となる。

 

・集中力を高め、大事なことのために時間をつくるには、脳にはエネルギーが必要だ。そのエネルギーは、体をケアすることで生まれる。

 

・運動や食事、睡眠、静寂、親密な時間などでバッテリーを充電する

 

 

エネルギー管理は『4つのエネルギー管理術』がより詳しい。

 

 

 

ステップ4:チューニング

 ■システムを調整、改善する

 

このシステムの最後は「寝る前にメモをとる」である。要は「振り返り」だ。やることはいたってシンプル。

 

・どの戦術を続けたいか、改善したいか、やめたいかを考える。

 

・その日のエネルギーレベルがどうだったか、ハイライトの時間をつくれたか、その日何に喜びを感じたかを振り返ろう。

 

87の戦術の中からやってみてよかったもの、ダメだったもの、継続してやってみるものを決めて翌日に臨むのだ。 

  

 

 

このフレームワークの4ステップを毎日実行して、より理想的なメイクタイムつくりあげることが著者たちが主張していることだ。

 

そして、この『時間術大全』は、これらの各ステップを実行するための様々な戦術をふんだんに紹介している。

 

 

 

やてみようと思う戦術

 

これら4つのステップにはそれぞれ著者の二人が実践している87の戦術が紹介されている。 

 

全てとりあげるのは、難しいので個人的に面白かった戦術を3つ紹介しようと思う。

 

 

■戦術21「腕時計」をはめる

 

スマホで時間を確認するだけのつもりが、いつのまにか無限の泉に引きずり込まれることが多い。でも腕時計をはめていれば、スマホを視界に入らない場所に置いておける。

 

ボクは腕時計をはめていない。スマホが時計に変わりになっているので、時計がいつのまにか不要になっていた。たしかに、スマホで時間を確認しようとすると、他の通知まで目に入ることになり、そこで余計なことをしてしまいかねない。

 

時間の確認は必要だし、そのたびにスマホをみるよりも腕時計で確認した方が気が散らずにタスクに専念できそうだ。

 

 

 

■戦術38 返信は遅く

 

仕事のメールは「即レス」が必須であると思い込んでいるところがボクにもある。特に感情的な内容の入ったメール・メッセージはすぐに対処しておきたい。でも、そうすると、「ハイライト」な作業での「レーザー」のごとき集中は途切れてしまう。

 

そしていつも通りの何も進まない1日で終わってしまいかねない。だから、即レスではなく亀レスを推奨している。といっても、返信を放置するということではなく、時間を決めて返信するとかで対処するということだ。

 

 

 

■戦術50 ハイライトを「こっぱみじん」にする

 

どこから手をつけていいかわからないときは、ハイライトを分割して、小さく、取り組みやすいタスクのリストにしてみよう。

 

例:休暇の計画をたてる
・予定表を見て、休暇の日程を考える。
・ガイドブックをざっと読み、行き先の候補をリストアップする
・家族で話し合って行きたい場所を選ぶ
・ネットで航空運賃を調べる

 

各項目に「動詞」が含まれていることに注目してほしい。一つひとつの項目が、小さく、手をつけやすい具体的なアクションになっているのだ。

 

「ハイライト」が漠然としていたり、実行するには大きすぎるときには、要素分解して、実行できるレベルにタスクを分解するということだ。

 

実は、この作業そのものがなかなか手間のかかることだったりもするが、「〇〇する」というように実行できるレベルに落とし込めると、本当に生きたタスクリストになる。

 

 

まとめ

毎朝、最優先目標=「ハイライト」を決める。そうすると、焦点が定まりやるべきことが明確になるので、やる気も上がる。

 

そして、「ハイライト」を実行すべく「レーザー」のごとき一点集中でタスクをすすめる。その際に「デバイス禁止」で仕事の質が大幅に改善する。

 

集中するためには「エネルギー」が必要で、健康的な食事、適度な運動、休憩といった工夫によってエネルギーの質を改善し、エネルギーレベルを最大に保つことが可能となる。

 

一日の振り返りをすることで、戦術の可否や継続を考え、翌日へと活かす。その繰り返しをすることでシステム全体をチューニングする。 

 

 

おわりに

 

著者たちが、 

 

成功のコツは「選ぶ、試す、繰り返す」

 

と、言っているように、87の戦術からそのときの自分にあったものを取捨選択し、試してみることが「本当に大切なことをするための時間をつくる」コツだと思う。

 

今の自分にとって本当に大切で必要なことを、限られた一日の時間の中で実施するために、このシステムと戦術を上手く使っていきたい。

 

 

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時間術大全 人生が本当に変わる「87の時間ワザ」

時間術大全 人生が本当に変わる「87の時間ワザ」

 

 

『時間術大全』の目次

 

■INTRODUCTION これが「時間オタク」の全技術だ

どんな状況の人でも時間を生み出せる方法
あなたの時間の9割は「デフォルト」で決まっている
「意志力」や「生産性」を上げても意味がない
Google×YouTube出身の「時間オタク」のメソッド
時間は「デザイン」できる
「スプリント」をしてわかった4つの教訓
こんなに「簡単」に切り替えられる

 

■メイクタイムのしくみ

「4ステップ」を毎日繰り返すだけ
ハイライト:毎日「最重要事項」を選ぶ
レーザー:「気を散らすもの」を撃退する
チャージ:体を使って「脳を充電」する
チューニング:システムを調整、改善する
成功のコツは「選ぶ、試す、繰り返す」
「完璧」をめざさない
毎日の「あたりまえ」にしてしまう

 

■HIGHLIGHT ハイライト

毎日に「ちょうどいい目標」を置く
今日の「ハイライト」は何にしよう?
ハイライトの「3つの選び方」
基準1つめ:緊急性
基準2つめ:満足感
基準3つめ:喜び
「直感」を信じて最高のハイライトを選ぶ
「おもしろそうで、手ごわそう」な戦術にトライする

 

■ハイライト戦術 ハイライトを選ぶ

戦術01 書く
戦術02 デジャブする(別名「昨日をもう一度」)
戦術03 「優先順位」を明確にする
戦術04 「雑事」をまとめる

戦術バトル:やることリスト

戦術05 やるかもしれないリスト
戦術06 バーナーリスト
戦術07 「ひとりスプリント」をする

 

■ハイライト戦術 ハイライトの時間をつくる

戦術08 ハイライトを予定に入れる
戦術09 予定を「ブロック」する
戦術10 予定表に「ブルドーザー」をかける
戦術11 正直に「ドタキャン」する
戦術12 ただ「ノー」と言う
戦術13 1日をデザインする

戦術バトル:朝方vs夜型

戦術14 「朝型人間」になる
戦術15 夜を「ハイライトタイム」にする
戦術16 「もう1つだけ」はナシ

 

■LASER レーザー

世界は「気を散らすもの」だらけ
「意志力」だけでは絶対に集中できない
なぜ「無限の泉」はこんなに抗しがたいのか?
テレビ、ネット、ゲームが爆発的に進化している
人に「本能」がある限り、無限の泉には勝てない
今日ガマンできないなら、明日はもっとガマンできない
「バリア」を取り戻す
「注意の切り替え」を減らす
レーザーモードは「人のため」になる

 

■レーザー戦術 スマホの「主」になれ

戦術17 「気が散らないiPhone」を試す
戦術18 「ログアウト」する
戦術19 「通知」をオフにする
戦術20 ホーム画面を「からっぽ」にする
戦術21 「腕時計」をはめる
戦術22 デバイスを置いて帰る

 

■レーザー戦術 「無限の泉」を遠ざける

戦術23 「朝の巡回」をやめる
戦術24 「散漫クリプトナイト」を遮断する
戦術25 「事件」を放っておく
戦術26 「おもちゃ」を片づける
戦術27 「Wi - Fiなし」で飛ぶ
戦術28 「タイマースイッチ」でぶった切る
戦術29 ネットを「解約」する
戦術30 「時間クレーター」に気をつけろ
戦術31 「見せかけの達成感」に騙されない
戦術32 邪魔ものを「ツール」に変える
戦術33 「いいときだけ」のファンになる

 

■レーザー戦術 メールを「スロー」にする

戦術34 メールは「1日の終わり」にする
戦術35 「メールタイム」を決める
戦術36 受信箱を空にするのは「週1回」
戦術37 メールを「手紙」と思え
戦術38 返信は遅く
戦術39 「期待」をリセットする
戦術40 「送信専用メール」をつくる
戦術41 「オフライン宣言」をする
戦術42 「メールスケジュール」を組む

 

■レーザー戦術 テレビを「お楽しみ」に変える

戦術43 ニュースを見ない
戦術44 テレビを「隅っこ」に追いやる
戦術45 テレビを「スクリーン」に替える
戦術46 食べ放題ではなく「アラカルト」にする
戦術47 愛しているなら手放してやれ

 

■レーザー戦術 フローに入る

戦術48 ドアを閉める
戦術49 自分で「締め切り」をつくる
戦術50 ハイライトを「こっぱみじん」にする
戦術51 「レーザー・サウンドトラック」を流す
戦術52 「目立つタイマー」をセットする
戦術53 ツールに凝らない
戦術54 「紙」から始める

 

■レーザー戦術 ゾーンにとどまる

戦術55 「ふとした疑問」を書きとめる
戦術56 「ひと呼吸」を意識する
戦術57 「退屈」を味わう
戦術58 行きづまる
戦術59 1日休む
戦術60 「一意専心」する


■CHARGE チャージ

あなたのなかには「バッテリー」がある
脳にいい「チャージ」の方法を徹底研究した
僕らの心身は「古代人」と変わらない
古代と現代の「いいとこどり」をする
古代人式「エネルギー・チャージ」6つの原則

 

■チャージ戦術 動き続ける

戦術61 毎日運動する(でも頑張りすぎない)
戦術62 歩きまわる
戦術63 「めんどくさいこと」をする
戦術64 「超短ワークアウト」をねじこむ

 

■チャージ戦術 「リアルフード」を食べる

戦術65 「狩猟採集民」のように食べる
戦術66 「セントラルパーク盛り」にする

戦術バトル:断食vs間食

戦術67 ハングリーであれ
戦術68 子どものように「おやつ」を食べる
戦術69 「ダークチョコレート主義」を通す

 

■チャージ戦術 「カフェイン」をうまく使う

戦術70 「カフェインなし」で目を覚ます
戦術71 「疲れる前」にコーヒーを飲む
戦術72 「カフェインナップ」をとる
戦術73 「緑茶」で力をキープする
戦術74 ハイライトに「ターボ」をかける
戦術75 カフェインの「門限」を決める
戦術76 「糖」を切り離す

 

■チャージ戦術 喧騒を離れる

戦術77 森と親しむ
戦術78 気軽に「瞑想」する
戦術79 「ヘッドホン」を置いていく
戦術80 「本当に安まること」をする

 

■チャージ戦術 親密な時間をすごす

戦術81 仲間とすごす
戦術82 「画面なし」で食べる

 

■チャージ戦術 洞窟で眠る

戦術83 寝室を「寝る部屋」にする
戦術84 「日没」をつくりだす
戦術85 すきあらば「仮眠」する
戦術86 毎日の「時差ボケ」を防ぐ
戦術87 自分の「酸素マスク」を先につける


■TUNING チューニング

科学的方法で毎日をチューニングする
結果を記録するために「メモ」をとる
「感謝」で習慣が継続する
小さな変化が大きな成果を生む

 

■「いつか」を今日にする

システムを「変化」させていく
いますぐ始めるためのクイックスタート・ガイド
ある日の予定表

 

時間オタクのための参考図書

謝辞
メイクタイム・メモ