思ったことを「メモ」にとっておく

主に読んだ本の備忘録として「本の抜き書き」と「思ったこと」を書きつづり、さらに本以外のことでも「メモしたこと」、「考えたこと」についてつづっているブログ

【書評】『LIFE SCINECE』@ 生命の基本である「細胞」と自己刷新能力「オートファジー」について

投稿日:2021年5月26日

 

 

「老化は病気」と言っているハーバード大学のシンクレア先生の『LIFESPAN』を読んでいくなかで、いたるところで「生物」の基礎知識の無さから難しく思えたものだ。

 

おそらく、高校の「生物基礎」の教科書で書かれていることが理解できていれば、スムーズに読めたのであろう。

 

そんなことを思っていたときに、『LIFESPAN』の翻訳者の方がオススメされていた本がこの『LIFE SCIENCE』なのだ。タイトルがちょっと似通っていてるのがアレなのだが……

 

 

この本の著者である吉森保先生は生命科学の専門家であり、ノーベル賞を受賞した大隅良則先生と共に「オートファジー」を研究された方でもある。

 

シンクレア先生の『LIFESPAN』では、オートファジーのことはあまり言及されていなかったと思うが、この『LIFE SCIENCE』ではメインディッシュが「オートファジー」なので、長寿のことを知りたければやはりこの本も読んでおくべきであろう。 

 

 

 

 

こんな人におススメ

 

・生命(細胞)の基本を理解したい人

・オートファジーについて知りたい人

・健康寿命を延ばしたい人

 

 

ざっくり要約

 

この本は生命科学の基礎である「細胞」に光をあて、細胞がどのような存在で、どのように活動をしているかをわかりやすく解説されている。

 

生命の基本は、細胞です。つまり、細胞を知っておくと、人間の体や遺伝子、病気、その未来のことまで理解できます。この本では、まずは細胞の成り立ちについて、みっちり学びます。すなわちそれが、生命科学の基礎だからです。細胞を知れば生命のしくみがおのずとわかってきます。

 

生命のしくみ、つまり、生まれて、成長して、病気になり、老いる。この一連の生命活動を細胞から紐解いていく。とくに気になるのが「病気」や「老い」だ。

 

この本では「オートファジー」という機能で細胞を元気にし、病気や老いに立ち向かうことができるとしている。

 

オートファジーは、ざっくりいうと、細胞を「自分の力で新品にする機能」です。
私たちの体は細胞が集まってできており、どんな病気もどこかの細胞が悪くなることから始まります。

 

最後の章では、「寿命を延ばすために何をすればいいか」について、5つの観点から説明されている。

 

1.カロリー制限

2.インスリンシグナルの抑制

3.TORシグナルの抑制
4.生殖細胞の除去

5.ミトコンドリアの抑制 

 

理由ははっきりしていないが、どれもが生存には必要な機能だけれども、機能は抑えた方が寿命を延ばす面では良いということがわかっている。

 

1~5に共通していることは、いずれもオートファジーが活性化することだ。

 

 

終わりに

 

この本は生命の基本である「細胞」について比較的わかりやすく書かれていると思う。それでも、やはり普段あまり耳にしない言葉を目にするので人よっては(少なくとも私には)には難しい箇所も何点かあった。

 

だから、この本は何度も繰り返し読んで、生命活動の基本の場となる「細胞」についてよくよく理解できるようになりたいと思った。

 

 

 

『LIFE SCINECE』の目次

 

第1章 科学的思考を身につける

第2章 細胞がわかれば、生命の基本がわかる

第3章 病気について知る

第4章 細胞の未来であるオートファジーを知ろう

第5章 寿命を延ばすために何をすればいいか

 

1日3食って実は多過ぎです!<後編>@『できる男は超少食』

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Image by cattalin from Pixabay

 

<前半>からの続きです。

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少食が「長寿」に良いだけでなく、体調や病気予防にも良いことがこの本を読むとわかります。

 

できる男は超少食―空腹こそ活力の源 !

できる男は超少食―空腹こそ活力の源 !

  • 作者:船瀬 俊介
  • 発売日: 2015/03/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

たくさん食べる、三食きちんと食べることがどういうことなのか?

 

 

著者の船瀬氏は次のように言います。

 

毎日三食きちんと食べると、その消化吸収エネルギーは、なんと42.195キロを走るフルマラソンで消費するエネルギーに相当するそうです。

 

食物の消化にそれだけエネルギーをとられれば、頭に酸素や栄養分が届かないのも当然です。

 

だから、がっつり食べたあとは眠くなるし、ボーっとするのですね。

 

空腹を感じてからの3時間が最も頭も体も冴えるのです。小腹が減ったからと、すぐに何かを口に入れないでください。おなかが鳴るのを「しめしめ」と楽しみたいものです。

 

ボクも以前は「風邪をひいて熱が出ているときこそ、しっかり食べて栄養を摂る」ようなことが正しいと思っていました。

 

しかし、消化にエネルギーを取られてしまっては、体がウイルスや細菌と闘ったり、傷ついた細胞の修復にエネルギーをまわせません。こんなときは、むしろ「何も食べず、水を補給しながらひたすら寝る」が体の回復には良かったのです。

 

満腹よりも空腹、空腹にするための「少食」が長寿にもカラダにも良いのはわかったのですが、この「少食」を「どのように行うのか」。

 

後半では読書メモの中から、特に「第2章 挫折しない「少食」はこうして実行!」からいくつかを取りあげてみようと思います。

 

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■13一日一食と腹七分目×三食、どちらがいい?

 

空腹あるいは飢餓は、生体にとって一種の危機です。空腹感は、その緊急事態を知らせるアラーム。生体は生きのびるため生体防衛システムを発動すると考えられます。

 

腹七分目では、血糖値は一日中、ある程度、一定に保たれます。すると「摂食中枢」は刺激されない。つまり、あまり空腹を感じないのです。

 

より強い空腹感を感じる一日一食がおすすめ。 

 

空腹感を感じさせることがサバイバル回路を発動させるので、腹7分の三食よりも、普通(腹8分)の一食が良いみたいですね。 

 


■14 朝・昼・夕どの食事を抜けばいい?

 

まず、朝ごはんから抜く。これはファスティングの常識です。

 

朝食抜きの一日二食から始めましょう。午前中、おなかがすいて我慢できなくなったらお茶や水を飲みます。コーヒーや紅茶は砂糖、ミルク抜きで。糖分が多すぎる缶コーヒーはNGです。

 

前日の夕食から、翌日の昼食まで18時間以上あいていることが大事です。これは胃が完全に空になる時間を作って、休ませるためです。前日の夕食が19時だったら、翌日の昼食は13時ということになります。

  

とにかくファスティングは、無理せず気楽に、が大切。

 

いきなり1日1食は難しので、まずは1日2食から。たしか、『LIFESPAN』のデビッド・シンクレア先生も1日2食を実践されていたと思います。 そこから1日1食にできれば理想的でしょうか。

 


■15 1日1食なら、満腹まで食べていい?

 

一日一食も、その量は腹八分にすべきなのです。

 

一日一食にすると、どうしても食事は夜になりがちです。就寝2時間前は、何も食べてはいけない。これも鉄則。胃の中に何かとどまっていると睡眠の質が低下し、熟睡を妨げるからです。

 

満腹だと、胃腸が消化するのに莫大なエネルギーを使い、体にも負荷をかけることになるので、満腹まで食するのは避けた方がよさそうです。といっても、1日1食モードのときの1食だから、思う存分食べてしまいそうです。

 

 

■17 週末断食だけでも効果はあるの?

 

仕事がオフの日だけ断食をする方法もあります。週に一度、一日断食をして、一週間にたまった毒をデトックスします。

 

前日の食事は控えめに。たっぷり食べるのは逆効果。

水分はこまめに多めに補給しましょう。水か番茶がいいですね。

・散歩など、気分転換を。

断食翌日の復食はお粥などを少なめに。

 

まるっと1日断食する方法もあるようです。これは上級者向けのような気もします。詳しい方に指導されながら実施した方がよいかも。 

 

 

最後にまとめると、、、

 

・空腹感が大事、空腹感を満たすためのチョイ食いはNG。

・食事は八分目。

・1日1食が理想だが、無理せず1日2食でもOK。

・週末断食という方法もあるが、上級者向けか。

ファスティングは無理せず気楽に。

 

「少食」の実践は、IBS過敏性腸症候群)の症状緩和にも関係していそうな気がしています。『LIFESPAN』を読んでから、ボクは1日2食の日を週に3,4回作っていますが、「空腹感」を意識することがなかったですね。これから、この「空腹感」をうまく楽しめるぐらいの状態にもっていきたいです。

 

 

できる男は超少食―空腹こそ活力の源 !

できる男は超少食―空腹こそ活力の源 !

  • 作者:船瀬 俊介
  • 発売日: 2015/03/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

1日3食は多すぎ?朝食は本当に必要?<前編>@『できる男は超少食』

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Photo by Lily Banse on Unsplash

 

平日は食事の量を比較的コントロールできているのに、休日になると、、、、食べ過ぎてしまうんですよね。これは、ちょっと自戒せねばと思い、こんな本を読みました。

 

 

『できる男は超少食』船瀬俊介

できる男は超少食―空腹こそ活力の源 !

できる男は超少食―空腹こそ活力の源 !

  • 作者:船瀬 俊介
  • 発売日: 2015/03/16
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「少食」のメリットは長寿にも関係していることは『LIFESPAN』でも紹介されていました。ボクも『LIFESPAN』を読んで、1日2食程度を目標としています。

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そして、この『できる男は超少食』でも、少食が長寿に関係していることが述べられています。

 

1999年のサーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)の発見により、少食長寿は医学的にも立証されました。レオナルド・ガレンテ博士(米・マサチューセッツ工科大学)によって発見された長寿遺伝子、それは、カロリー制限でオンになることがわかったのです。

 

老化は遺伝子の“傷”で起こります。長寿遺伝子が発動すると、全身細胞の遺伝子に“保護層”ができ、活性酸素などから遺伝子を守ります。その長寿遺伝子をスイッチオンにするのはカロリー制限、つまり空腹感だということが明らかになったのです。

 

逆を言えば、「満腹感」=「食べ過ぎ」は長寿にも良くなかったわけですね。満腹になることは瞬間的で一時的な満足と恍惚感は得れるけど、長期的には体にダメージを与えていく行動となるのです。

 

そのためにも「少食」であることは「できる男」とか関係なく、すべての人に推奨される食への態度なのかと思います。

 

 

では、目次をみていきましょう。

 


■目次

 

第1章「できる男」は皆「少食」!

01「少食」で頭が冴える
02「少食」で体が軽くなる
03「少食」で集中力がアップする
04「少食」なら疲れない
05「少食」なら短眠でも大丈夫
06「少食」で若さがよみがえる
07「少食」で精力絶倫
08「少食」でメタボ解消!
09「少食」で細マッチョになれる
11「少食」で加齢臭が消える
12「少食」でお金の余裕が生まれる
13「少食」で時間の余裕も生まれる 

 

第1章は「少食」による効用・効果ですね。ここは各項目を読めば、どんなメリットがあるかがわかります。 

 

第2章 挫折しない「少食」はこうして実行!

13 一日一食と腹七分目×三食、どちらがいい?
14 朝・昼・夕どの食事を抜けばいい?
15 一日1食なら、満腹まで食べていい?
16 イライラして、つい間食してしまうときは?
17 週末断食だけでも効果はあるの?
18「少食」=つらい、苦しいというイメージですが?

 

第2章では、少食を実際に実行するには、どんな方法があり、どんな方法が推奨されているか、が説明されています。ボクは特にこの第2章を重点的に精読しました。

 

すでに『LIFESPAN』で「食事を制限する」ことが長寿にも健康にもよいことはわかっていました。あとはそれをどう実践し、継続するかが問題でした。この本ではこの第2章にその答えがあるのです。

 

第3章そうは言っても・・・、「少食」をはばむ常識のウソ&思い込み
19「1日三食きちんと食べないと体に悪い」?
20「おなかがすくと力が出ない」?
21「朝食をとらないとエンジンがかからない」?
22「おなかがすくとイライラする」?
23「満腹まで食べないと満足できない」?
24「一日一食で、どんどんやせたら困る」?
25「スタミナ定食を食べれば、がんばれる」?
26「飲んだあとのラーメンがやめられない」?
27「早食いは芸のうち」?
28「少食なんて男らしくない」?
29「飲み会や接待で食べすぎてしまう」?

 

第3章は「少食」への抵抗感や、「三食しっかり食べる」、「朝食を抜かすな」といった、「少食」を阻むこれまでの常識への対処方法が紹介されています。

  

これまで常識として考えられてきたことが、実は逆だった、例外がある、ということを知って知識・経験をアップデートしていきたいです。

 

 

第4章「少食」になったら何食べる?
30「肉はスタミナ、パワーの素」?
31「牛乳、チーズが体によくない」ってホント!?」
32 牛乳神話も肉食神話も“洗脳”だった
33 和食の底力

 

第4章は「少食」では「何をたべるのがよいのか?」について。基本は和食推し。これは、『LIFESPAN』でもありました。「アミノ酸の制限」ですね。

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第5章「できる男」は「少食」で病気しらず
34「少食」で免疫力アップ
35「食」と「腸」の乱れが万病のもと
36 健康はご腸内の皆さまのおかげ!
37 断食でがんが治る?
38 医者に血糖値が高いと言われ薬を飲んでいます
39 心臓が悪いと医者から言われたけど
40 うつ病で会社も休職、心の病にも効きますか?
41 アトピーで悩んでいますが治りますか?
42「少食」がアルツハイマーを予防する

 

最後の第5章は「少食」が「病気全般に良い効果をもたらす」という内容です。やり過ぎ感のある第5章ですが、『LIFESPA』で、長寿遺伝子の働きによって「サバイバル回路が起動し、病気の上流である「老化」を抑えることで、下流にある諸症状の発生を抑えるという原理があるので、ここに書いていあることはあり得そうです。

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<前編>はここまで。<後編>では、特に、第2章 挫折しない「少食」はこうして実行!からの読書メモを考えてみます。

  

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できる男は超少食―空腹こそ活力の源 !

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『LIFESPAN 老いなき世界』デビッド・シンクレア著@いろいろ総まとめ

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およそ1か月半にわたり、『LIFESPAN』の読書メモを各章ごとに記事としてまとめてきました。一覧できるように目次をつけて整理します。あわせておススメのサイトや動画もリンクしておきますのでご覧ください。

 

 

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本のまとめ

はじめに

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第1部 私たちは何を知っているのか

 

第1章:老化の唯一の原因

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第2章:弾き方を忘れたピアニスト

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第3章:万人を蝕む見えざる病気

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第2部 私たちは何を学びつつあるのか(現在)

 

第4章:あなたの長寿遺伝子を今すぐ働かせる方法

 

1.食べる量を減らせ

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2.アミノ酸を制限する

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3.運動をする

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4.寒さに身をさらす

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5.高温にも身をさらす(サウナ)

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6.NotToDo

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第5章:老化を治療する薬

strengths.hateblo.jp

strengths.hateblo.jp

 

第6章:若く健康な未来への躍進

strengths.hateblo.jp

 

第7章:医療におけるイノベーション

strengths.hateblo.jp

 

 

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第3部 私たちはどこへ行くのか(未来)

 

第8章:未来の世界はこうなる

strengths.hateblo.jp

 

第9章:私たちが築くべき未来

strengths.hateblo.jp

 

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おススメ 関連リンク

デビッド・シンクレア教授 記事

2021/01/15

toyokeizai.net

 

2020/09/01

toyokeizai.net

 

仲野徹教授 記事

2020/09/28

toyokeizai.net

 

 

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おすすめ関連動画

デビッド・シンクレア教授


A Cure for Ageing?: David Sinclair at TEDxSydney

 

中田敦彦Youtube大学


【老いなき世界①】老化は治療できる病!いつまでも若く生きられる(LIFE SPAN)


【老いなき世界②】老化を治して若返る行動と薬とは?(LIFE SPAN)

 

 伊藤裕 教授

ホリエモンチャンネルから日本の専門医による老化治療について


老化は病気なので治せる?専門医から学ぶ「ミトコンドリア長寿法」とは(前編)【YOBO-LABOコラボ】

 


サプリや薬だけではダメ!専門医から学ぶ「ミトコンドリア長寿法」とは(後編)【YOBO-LABOコラボ】

 

 

『LIFESPAN』に関連する情報があれば随時追記していきます。

 

私たちが築くべき未来@『LIFESPAN 老いなき世界』第9章

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Photo by Benjamin Davies on Unsplash

 

前回 「第8章 未来の世界はこうなる」からの続きとなります。


 

今回は、

 

第9章 私たちが築くべき未来

 

からです。

 

最終章であるこの章では、超長寿社会に向けて「どのような未来をこれから築いていくべきか」が述べられています。

 

健康寿命の大幅に延びる未来がかならず訪れるのだとすれば、その未来の世界をどういうものにしたいだろうか。

 

若々しくいられる時間を伸ばすことによって、すべての人の繁栄と、世界の持続可能性と、人間の尊厳を大きく高めることへとつながる未来だ。

 

この惑星に長く生きてきた人々が、その知識と技能によって敬われる未来、そして世界中が「善きサマリア人」となる未来だ。

 

ただし、その未来は保証されているわけではなく、闘ってつかみ取らなくてはならない。私たちにはいくつかなすべきことがある。

 

それでは、なすべきことを6つにざっくりまとめてみました。一つひとつみていきましょう!

 

1.「老化は病気」、老化研究に公的資金を今よりも多く投入する 

老化の研究者にとって、状況はことのほか厳しい。「老化の生物学的仕組み」を解明するための研究には、アメリカの医学的研究予算全体の1%も振り向けられていないからだ。

 

老化は病気だ。しかも、ただの病気ではない。あらゆる病気の母であり、私たちの誰もがその魔手から逃れられない。

 

老化が病気だということを、慣行のうえでも書類のうえでも最初に規定する国が、未来の方向性を変える。

 

寿命を延ばす新しいテクノロジーが個人のプライバシーにどう影響するか、また倫理上の問題は何かについて、議論するなら今である。

 

老化研究は他の疾患研究と比べると、これからなんでしょうね。でもすべての病気の最上流にあるのがこの老化という病気であれば、ぜひぜひ研究を進めて頂きたいです。

 

 

2.超長寿社会での医療制度:万人が医療を受けられるように 

老化を遅らせる効果の高い安全な薬が誕生すれば、それは健康寿命も延ばしてくれる。あとはいかに健康な状態を維持するかであり、それに要する医療費は著しく安価で済む。救急救命医療は高額ではあるがめったに発生しない。伝染病は科学技術を利用して、追跡・治療・予防が今よりはるかに効果的かつ効率的にできるようになる。

 

年齢や支払い能力にかかわらず万人が医療を受けられる道を選ばないとしたら、世界はどうなっていくか。富裕層が今以上に長く健康な人生を享受する一方で、貧困層は病気だらけの短い人生に耐えねばならない。これはもたざる者にとってはもちろんのこと、もてる者たちにとっても恐ろしい未来だ。

 

そうした方向に進んでいけば、結局は革命の種がまかれることになる。そして、革命が支配者階級に有利に運ぶことはまずないといっていい。

 

日本は国民皆保険制度なので、恵まれている方なんですかね。それでも保険料はけっこうしますよね。これが老化が疾患として予防医学として進んでいけば、ひいては保険料も下がってくることを期待したい。

 

 

3.人生の終え方を考える:自ら尊厳のある死を迎えられるようにする 

現時点では、人の死に方はたいていむごたらしいものだ。ただでさえ長い時間をかけて衰えていったあげくに、その痛みや苦しみや、当惑や恐怖に満ちた期間をわざわざ引き延ばす方法が編み出されている。

 

最後の息を引き取る日を自分の意志で決めたいと、正気の大人が思っているのなら、その人に罪の意識や恥辱を負わせる権利は私たちにはない。

 

健康に生きられる時間をできるだけ長くして、今よりずっといい条件で死を迎えられるようにしたいと考えているだけである。それも、できれば自ら決める条件で。準備のできたときに、苦痛なく速やかに、だ。

 

私たちは文化・倫理・法律の面で原則を定めるプロセスを始める必要がある。

  

ここは、賛否ありそうでボク自身も決定できないテーマです。ただ、ボク自身が死ぬときは、ずるずると苦しみながら延命治療はしたくないですね。誰にも負担や迷惑をかけることなくあっさり死んでいきたいです。 

 

 

4.大量消費の問題を技術革新で解決する:人類は創意工夫で困難を乗り越えられる 

問題は人の数ではない。消費の量なのだ。

私たちがどれだけ長く健康でいられるようになっても、地球の資源を消費し尽くして身を滅ぼしてしまったら元も子もない。

 

もっと体にいい食物を栽培して、それをもっと効率的に輸送できるようにする研究にだ。はっきりいっておくが、それには遺伝子組み換え作物を受け入れることも含まれる。

 

消費量を減らし、革新をさらに推進し、自然の恵みとバランスのとれた関係を築くのだ。それ以外に私たちが生き延びる道はない。

 

長寿と繁栄の時代の幕を切って落とすには、科学技術におけるこの種のパラダイムシフトがなくてはならない。そのパラダイムシフトを実現するには、洞察と先見性に満ちた科学者、技術者、投資家がもっと大勢必要だ。

 

SDGsにあるように持続可能な社会を築いていくことは、全世界的な目標ですし、それに則ったビジネスが隆盛していくのでしょうね。

 


5.健康長寿社会に向けて働き方を考え直す  

世界中のどのビジネススクールでも、迫りくる激変に備えて学生を教育したほうがいい。退職を個人の実年齢と結びつけるやり方は、ごく近い将来に時代錯誤になるからである。また、社会保障の場合と同じく、労働者年金を支える構造についても見直しが求められるだろう。

 

今後は、スキル習得のための長期休暇をとることが労働文化のなかで認められ、いずれは法律でも義務づけられていくはずである。

 

議論は今から始めておいたほうがいい。右肩上がりの保険料とピラミッド構造の年金を廃止し、結果として浮いた財源をどこに振り向け直すかが決まったとき、早くからこの問題を検討していた者が有利になるからだ。

 

超長寿社会になると、健康寿命も延びて年金を払う期間をどこまで伸ばすとか、いつから受給するのかとか、必然的に仕事に就いている期間はもっともっと長くなるから超長寿社会の働き方がどうなっていくのか気になります。

 

ボクは働きはじめてから、25年ぐらいになりますが、実は、まだ仕事人生の序の口だったりするのかもしれませんね。

 

 

6.孫の孫にも会える社会における責任とモラル 

今現在だけでなく、100年後の人類のためになる研究に投資し、200年後の地球の生態系と気候を心配するのだ。

 

新しい指導者が、公正かつ合法的に古い指導者と入れ替われる仕組みもつくる必要がある。

 

健康寿命が延びれば、社会や経済は大きな利益を受け取ることになる。それがかならず賢く使われるような、仕組みづくりも求められるだろう。

 

今以上に共感と思いやりの心をもち、人を許し、より公正になる。
友よ、私たちはもっと人間らしくならねばならないのだ。

 

 超長寿社会では、資源を大切に、隣人と平和で健康的に暮らすことができるように、人が人としてより人間的であること必要なんですね。もしかすると、ハラリ先生がいう、人間がアップグレードする過渡期がこれからやってくるのかもしれません。

 

 これで、『LIFESPAN』読書メモのまとめを終わりにします。ここまでしつこく読んだ本は久々でした。シンクレア先生の続編や老化研究は今後も追っていきたいと思います。

 

未来の世界はこうなる@『LIFESPAN 老いなき世界』第8章

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Image by Susanne Pälmer from Pixabay

 

前回 「第7章 医療におけるイノベーション」からの続きとなります。


 

 

今回は、

 

第3部 私たちはどこへ行くのか(未来)

第8章 未来の世界はこうなる

 

からです。

 

この章では、超長寿社会が到来たとき、どんな社会になっているのかを模索します。

 

第4章~第7章まで内容でも紹介されていた方法で健康寿命がどこまで延びるのか試算すると、以下のようになります。

 

1.DNAをモニターすることで病気が顕在化する前に対処(+10年)
2.間欠断食などのいますぐできること(+5年)
3.サバイバル回路を活性化し、長寿遺伝子を働かせる分子(薬)の摂取(+8年)
4.遺伝子改変を通して、自分のエピゲノムをリセット等の医療革新(+10年)

 

この1~4を合わせると合計で33年となります。

 

先進国の平均寿命が80歳だとすると、80+33で113歳。これが未来の平均寿命だ。

 

平均寿命が113歳って驚きです。しかも、これは控えめに見積もってこの数字なのです。

 

平均寿命が113歳となる社会のイメージが想像しにくいですよね。どうしても、今の延長線上で考えてしいまいます。

 

■科学技術は想像を超える速さで進歩する

 

近づきつつある未来が見えていないケースのほうが実際には圧倒的に多い。私たちは現在の延長線上で物事を推測する。しかし、世の中はそうやって直線的に進んでいくとは限らない。

 

来るべき革新をいち早く知る立場にある者として、これだけははっきりといっておく。私たちが生きているあいだに、世界で初めて150歳の声を聞く人が現れても少しもおかしくはないのだと。細胞のリプログラミングが真価を発揮すれば、今世紀末までに150歳は手の届く年齢になっている可能性があるのだ。

 

「老化の情報理論」が正しければ、上限などないのだ。エピゲノムを永遠にリセットし続けることも夢ではない。

 

こうなると、聞いたこともないような寿命年齢が実現する長寿社会に対していろいろと不安も出てきます。この章では以下のような代表的な懸念とされることが挙げられています。

 

・人口増加問題(減るよりも増えることの問題)

・大量消費、大量廃棄という問題

・100年辞めない政治家が牛耳る世界

・高齢者が増大することで社会保障が成立しなくなる

・長寿の人はますます金持ちになり、格差がかつてないほど広がる

 

これらの懸念に対して、デビッド・シンクレア先生はポジティブな未来を見られているようです。

 

■人類は限界を超えることができる――地球で生きていける人口に上限などない

 

環境科学者アール・C・エリス
「地球が抱えきれる人数に上限があるとすれば、それは私たちの社会制度や科学技術の能力の限界から生じるのであって、環境の制約によるものではない」

 

人類が発展を遂げることができたのは、自然の恵みに頼るだけでなく、技術を通して自然に適応する能力も組み合わせてきたからにほかならない。

 

人類はこれまでも、そしてこれからも、科学や技術の力を使いながら自然からの課題に挑み乗り越え、適応していくという考えですね。 

 

また、人口増加の懸念についていは、次にように言われています。

 

世界の平均人口増加率は、1970年頃には年間2%だったのに対し、最近では約1%にまで落ち込んでいる。2100年の時点ではそれが0.1%になると予想する研究者もいる。この傾向を受けて国連の人口統計学者は、世界人口が2100年までに110億人に達してから横ばいになり、以後は減少に転じると予測している。

 

寿命が延びるという変化が起きる一方で、数十年前から出生率の低下が続いている。差し引きすれば、人口が増え続けるにしてもペースは遅く、過去100年のあいだに経験したような爆発的な増加にはけっしてならないと考えられる。

 

さらに、人口がかなり増加したにも関わらず、100年前と比べて、私たちの暮らしは実際のところ良くなっているという現実があるわけです。

 

そのうえで、超長寿社会の高齢者はどうあればいいのか?

 

シンクレア先生は次のように指摘します。

 

■高齢者の能力は非常に高い

 

現代の教養ある高齢者は、65歳より若い世代と同じくらいテクノロジーを使いこなしている。忘れてはいけない。彼らの世代が月にロケットを送り、超音速旅客機やパソコンを発明したのだ。

 

思考力を要するほとんどの課題と、文章作成、語彙、リーダーシップの面で、彼らの能力は若者を大きく引き離している。

 

まず、高齢者は経験値が高く、ハード的な能力よりもソフト的な能力が高いと言えるので、そんな高齢者の活躍する場をもっと開くべきだと言われています。

 

男女を問わず高齢者の労働参加が増えることは、社会保障制度の破綻という懸念を解消する特効薬になるかもしれない。制度を維持するための答えは、人々を無理やり長く働かせることではなく、働きたい者が働くのを許すことである。

 

人が80年でも90年でも、あるいは100年でも働き続けることを選ぶようになれば、経済のあり方は根本から変わるだろう。 

 

また、老化を遅らせることによる経済効果についても言及されています。

 

老化を遅らせ、さらには若返りすら図れるようになれば、病気の重荷が全体として軽くなるのである。結果として医療システムは大幅に向上するだろう。かつては数十万ドルもかかっていたような治療法はすたれ、錠剤を飲むだけで対処できるようになる。しかもその薬も、いずれはわずかなコストで製造されるようになる。人生の最後の日々は自宅で家族と共に過ごせる。

 

このようにシンクレア先生は、超長寿社会の到来を明るくみているようですね。たしかに、年金などの社会保障問題の解決につながりそうな要素ではありますよね。現役世代の幅がもっともっと伸びるわけですから。

 

今の社会の仕組みが今の寿命をベースに組み立てられているので、超長寿社会が到来したら、社会の仕組みもかなり変わっていきそうです。

 

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次回は、最終章である第9章、

 

私たちが築くべき未来

 

からです。 

 

2030年感染症の脅威から解放@『未来の医療年表』

 

2021年、最初に読んだ本は、これです。

 

『未来の医療年表 10年後の病気と健康のこと』奥真也 

 

『LIFESPAN』でも未来の医療について詳しく書かれていまたが、

strengths.hateblo.jp

strengths.hateblo.jp

 

この『未来の医療年表』ではさらに絞り込んで未来の医療がどうなっていくのかを予想しているのです。

 

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Photo by Tomasz Frankowski on Unsplash

 

では、目次をみてみます。

 

目次 

はじめに

Ⅰ未来の医療ロードマップ
 第1章 未来の病気年表
 第2章 イノベーションが変える医療の体制

Ⅱ病と健康をめぐる常識/非常識
 第3章 本当の「健康」って何?
 第4章 日本人の貧しい医療リテラシー

ガラパゴスな日本の医療と世界のスタンダード
 第5章 ガラパゴスな日本の医療
 第6章 これが医療の世界標準

おわりに

 

個人的に、『未来の医療年表』の中心は「第1章 未来の病気年表」「第2章 イノベーションが変える医療の体制」にあると思いました。今回はそこにフォーカスをあててメモをとることにします。

 

この本の中にある、年表と出来事をまとめてると、これから約20年先までのことが記されています。

 

2022年 スマホウェアラブル測定新局面へ

2023年 オンライン診断定着

2025年 初の本格的認知症薬誕生

2025年 病院へのフリーアクセス廃止

2030年 感染症の脅威から解放、「AI診察」が主流に、医師法大改正

2032年 安楽死法制定、AI医師法制定

2035年 ほとんどのがんが治癒可能に

2040年 人工臓器新時代突入、神経難病克服、糖尿病解決

 

 特に、気になったのは、やはり、新型コロナがあるので、「2030年感染症の脅威からの解放」ですね。

 

ポイントは、やはりDNA解析の速さと、ビックデータ技術を使い、情報共有の速さと方法の工夫でウイルスとの闘い方が今よりも格段に上手くなるのではないかということでした。

 

この本は各節を読んでいくだけでも、だいたいの内容をみることができるので、第1章と第2章の節を挙げておきます。

 

第1章 未来の病気年表
1.2035年、ほとんどのがんが治療可能に!
2.ワクチン開発、人類は新型コロナの「失敗」から学べ
3.乳がん予防のための乳房除去が新たなトレンドに
4.2040年、遺伝子解析とAIで神経難病克服
5.神経難病児の遺伝子治療、「対象者はくじ引き」で製薬会社炎上
6.医学が発展するほど難病は増える!?
7.iPS細胞への優先的資金投入は間違いだった?
8.皮膚・心臓・・腎臓・・・・人工臓器は新時代に突入!
9.「超難関」血管再生にも期待大
10.新型コロナ対策で「公衆衛生」の理解は広まった?
11.2025年、初の本格的認知症薬誕生
12.2040年、糖尿病すっきり解決!

 

がんのところでは、「がんは遺伝子疾患」と『LIFESPAN』同様に

説明されています。

 

がんの本質は基本的に遺伝子の異常によって引き起こされる遺伝子疾患であり、2000年代に入ってから個々の人の遺伝子配列を解析する技術が飛躍的に高まったからです。この結果、遺伝子に直接アプローチする「分子標的薬」という治療薬とそれを中心に据えた治療法が開発され、確立しました。

 

「分子標的薬」はこの遺伝子の解析技術が生み出した抗がん薬であり、患者さん個々の遺伝子情報をもとに、がんを引き起こす特定の遺伝子の異常を攻撃してがんを治療します。がん細胞の生存に必須な分子を攻撃し、がん細胞を縮小、もしくは死滅させるのです。

 

他には、「免疫チェックポイント阻害剤」も挙げられていますね。

 

2018年のノーベル生理学・医学賞を受賞した本庶佑博士らが開発した「免疫チェックポイント阻害剤」。がん細胞は、ある段階に達すると人間の免疫細胞にブレーキをかけてきます。免疫チェックポイント阻害剤は、このブレーキを阻害することで人間本来の免疫力を目覚めさせ、がんと戦わせるという薬です。

 

つづいて第2章から。

 

第2章 イノベーションが変える医療の体制
13.2030年、「AI診察」が主流に
14.「朝・昼・晩」方式も変わる? 薬の飲み方の最適化もAIの仕事に
15.人間医師の役割は「作り出す人」と「寄り添う人」に分化
16.20年後、医師のステータスは高いものではなくなるかも
17.データベース化でムダな処方箋にメス
18.古希を過ぎた医師法、このままでは「2025年問題」も乗り切れない
19.2032年、AI医師法制定
20.まだ満足できない「オンライン診療」、定着するのは2023年?
21.効く理由はわからなくてもOK! ビッグデータ創薬
22.分子標的薬の承認数、今は増えているけれど・・・・。
23.日本企業にアドバンテージ?医療用マイクロロボット開発
24.「腸内細菌叢移植」で腸とは無関係な病気も治せるように
25.スマホウェアラブル端末が命を救う!
26.非医療系企業が続々参入! 医療ビジネスのチャンスは無限大

 

AI診断が主流となり、さらに薬の飲み方を個人個人で最適化するのもAIが担うようになるとのことです。

 

また、ビッグデータを活用して創薬することも挙げられています。因果関係よりも先に、相関関係から創薬をすることのようです。因果関係はあとからわかればいいのではないかと。そうすると、既存の薬から、思わぬ効果があるようなことが発見され、新しい治療薬としてリノベーション的に使われることもありそうですね。

 

コロナ禍だからこそ、課題も多いでしょうが、医療の未来が明るいことを信じていきたいです。

 

個人に特化した医療イノベーション@『LIFESPAN 老いなき世界』第7章

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前回 「第6章 近未来の老化の治療法」からの続きとなります。


 

 

今回は、

 

第7章 医療におけるイノベーション 

 

からです。 

 

この章では、医療全般が今後どのようになっていくのかがテーマです。全体として底流にあるサブテーマは

 

個人に特化した精密医療へ

 

となります。

 

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具体的には、大きくわけると6つほど挙げられています。

 

1.オーダーメードのがん治療法
2.自分の遺伝子を活用する
3.センサーの活用(パーソナルバイオセンサーの時代)
4.バイオトラッキンング
5.新しいワクチンの開発
6.異種移植と臓器印刷

 

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それでは一つひとつみていきましょう。

 

1.オーダーメードのがん治療法

 

自分たちが相手にしているがんの種類がより明確になれば、新しい手法をもっと上手に利用して対処できるようになる。

 

1人の患者の特定のがんだけのためにオーダーメイドの治療法を開発し、がんが増殖や転移を起こす前に死滅させるのも夢ではない。

 

昔と比べてがんの治療法が増え、さらに個人にカスタマイズされていくことで、より精度の高い治療法が開発されていくのでしょうね。 

 

 

2.自分の遺伝子を活用する
 

「自分の遺伝子を知る」ことで、のちにどんな病気にかかりやすいかが明らかになり、長生きするためにどんな予防策を講じればいいかもわかる

 

どんなものを食べればいいのかとか、腸内微生物は何を維持すればいいのかとかまで、DNAでわかるようになってきているようです。 

 

遺伝子が異なれば薬への反応も異なる。

 

(ゲノム解析は)いずれは患者のエピゲノム的年齢も割り出し、薬への反応の仕方を予想する材料として使われるようになるだろう。この新しい分野は「エピゲノム創薬」と呼ばれる。

 

これはどこかの製薬会社のCMでもみたことがあります。患者一人ひとりにあわせた薬をつくるという内容でした。これが実現すると、副作用もかなり無害化できそうですね。

 

ゲノムの情報をもとに病状の先回りをする。ゲノムの情報が医師の判断を助ける時代が来たら、何より重要なことがある。病気になるまで待たなくても、そもそもその病気にかからないようにするための最善の処置がわかるようになる。

 

これは、DNAからあらかじめ病気になること予期して、それを事前に処置しするという、究極の予防医学ですね。

 

 

3.センサーの活用(パーソナルバイオセンサーの時代)

バイタルサイン(呼吸、脈拍、体温など)をセンサー付きウォッチやリングを使って、体内の主要な化学物質がどう変動するかをモニターすることで、生活習慣病や体つくりについてよい決断を下せるようになるということです。

 

ちなみに、デビッド・シンクレア先生がチェックしているバイオマーカーは以下の通りでした。

検査項目:ビタミンD、ビタミンB12、ヘモグロビン、亜鉛、血糖値、テストステロン値、炎症マーカー、肝機能、筋肉の健康状態を示すマーカー、コレステロール、中性脂肪など。検査は数ヵ月に1回。

 

 

4.バイオトラッキンング

 

ここは、「3.センサーの活用」の続きで、バイオマーカーでとらえたデータを活かすことでできることが挙げられています。

  

バイオトラッキングは、急性の重大な病による死を防ぐ役にも立つはずだ。

 

バイオトラッキングからわかるのは、たんに心拍数が上がったとか、ビタミン濃度が下がったとか、コルチゾール値が上昇したといったことだけではない。私たちの体が攻撃を受けているときもしれを教えてくれる。

 

(バイオトラッキングが)集団レベルで効果を発揮させれば、パンデミックの先手を打つことができるのだ。

 

大量の「バイオクラウド」データと、超高速のDNA解析を組み合わせれば、病原体が主要輸送ルートを通って都市から都市へと広がっていくのを検知できる。

 

集団レベルまでいけば、今回の新型コロナの事前対策にも役立てかもしれないですね。

 

 

5.新しいワクチンの開発 

 

集団に対して予防接種をする場合、たんに私たちの一人一人が病気にかからなくなるというだけではない。集団のなかで最も弱い者たち、つまり子どもと高齢者がその病気から守られる。


老化とは直接の関係がなくても、毎年何百万人もの命を奪う疾患は存在する。そうした病気の発見・診断・治療、さらには予防までもが短期間でできるようになれば、私たちは今後も平均寿命を上へ上へと押し上げていけるだろう。

 

毎年、インフルエンザのワクチンは接種していますが、おかげで10数年以上インフルエンザにはかかっておりません。ボクにはかなり効果があるようです。同じように、新型コロナのワクチンにも期待したいところです。 

 

 

6.異種移植と臓器印刷

 

損傷や病気で機能を失った臓器を新しいものと交換するには、今のところ方法は一つしかない。臓器移植だ。

 

いまでは、交通事故などのによる死者からの臓器提供を待つことになりますが、ここではあたらあしい手段として二つあげられています。

 

<異種移植>

哺乳類細胞の遺伝子を編集し、それをブタの体内で、ヒトの遺伝子編集を行う。それによってヒトの臓器を持つブタを育てこと。

 

これは、なにやら、倫理的というか、生理的な嫌悪感と闘う必要がありそうです。

 

<臓器印刷>

生きた細胞の3次元の層にして出力できるインクジェットプリンターの開発。
将来的には、私たちが体の一部を必要としたとき、自分自身の幹細胞を使って印刷するようになる可能性が高い。

 

臓器印刷は、かなりよさそうですね。これはぜひ実現してほしいです。そうすれば、臓器提供を待っている人たちにとっても光明となるのではないでしょうか。

 

 

この第7章で、

 

第2部「私たちは何を学びつつあるのか(現在)」

 

は終わりです。

 

次回からは

 

第3部 私たちはどこへ行くのか(未来)

 

となります。

 

 

第3部の第8章、

 

未来の世界はこうなる

 

からです。 

今年は一回も風邪をひかなかった!@2020年の個人的総括

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あと3日で2020年が終わる。2020年が始まるころ、世界中をこんなにも揺るがすようなことが起こるとは・・・・・。

 

今年を振り返ってみると、

 

今年はまだ風邪を引いていない!!

 

例年だと、10月の下旬~12月にかけては一度は風邪をひいているのに・・・・。

 

個人的にはこれは衝撃的なことなのだ。

 

一番最後にかかった風邪は去年のクリスマス前にひいた風邪だ。あれ以来、風邪をひいていない。

 

ボクは風邪を引きやすい方で、以前は年に5回以上かかっていて、ひどいときは月に2回は風邪をひいていた。

 

だいだいボクがひく風邪の症状は、喉→鼻→発熱(しないときもある)→鼻づまり、鼻水となっていく。ひどいときには1か月もつづくことがある。

 

「のどに違和感がある」「喉と鼻の中間点に少しばかりの傷みがある」という自覚症状から風邪がはじまり、あとは、風邪の症状が進行していくのを見守るしかない。

 

市販の風邪薬などを使ったところで、ぜんぜん効かない。ある程度の段階まで進んだら耳鼻科へいって荒治療をしてもらうと、いっきに回復することもあったが、荒治療をしてくれる先生は引退してしまったようで、今の先生はそこそこの治療で終わってしまっている。結果、治るまで時間がかかる。

 

ともかく、症状は毎回、だいたい似たりよったりなので、喉・鼻にウイルスや付着して、粘膜の動きがよくないときに増殖してしまい、気づいたら炎症を起こしているんじゃないなーって考えたわけです。

 

そこで、喉の粘膜によさそうなものは何がいいのかなぁと探していたら、

どうも「ビオチン」が良いことがわかったので、「ビオチン」が入っているモノを探しました。

 

そしたら、身近なところに伊藤園 ビタミン野菜」という野菜ジュースにあることがわかりました。さらに、この野菜ジュースは1日に必要なビタミンC、ビタミンE、ナイアシンなどもとれるそうです。

 

www.itoen.jp

 

これを毎日1本飲むようにしました。そしたら、結果的に風邪を引く回数が減りました!年に1~2回程度です。(もしかして、これが普通なんですかね??)

 

今は毎回、箱買いして重宝しております。

 

 

 

 

他にも、冬場は体が冷えないように気をつけたり、手洗いうがいは当然のこととしてやってきましたが、それでも風邪をひかないことはありません。

 

それが、今年は1度もひいていないわけです。

 

やはり、新型コロナの影響は、結果的に風邪やインフルの予防にも及んでいるようです。

 

夏の季節も含めて、自分もそうですが、多くの人が、手洗い、マスク、消毒を行い、蜜をさける傾向にあるからでしょうか、かなりの集団的な風邪予防にもなっていると思います。

  

また、ウイルス干渉という話もありますので、もしかして、普通の風邪もかかりにくのかな??

www.tokyo-np.co.jp

 

ともかく、このまま風邪を引かずにこの2020年を終えることができるだろうか?

 

あと3日間。風邪を引かずに、もちろん、新型コロナにも感染することなく年を越えたい。

近未来の老化の治療法@『LIFESPAN 老いなき世界』第6章

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前回 「第5章 老化を治療する薬(後半)」からの続きとなります。


 

 

今回は、

 

第6章 若く健康な未来への躍進 

 

からです。 

 

 

この章では、今後実現できそうな老化の治療法について4つほど挙げられています。おおまかに言うと、

 

1.老化細胞(ゾンビ細胞)を除去する

2.ジャンクDNAを封じ込める

3.免疫系を使うワクチンの接種

4.細胞の若返りプログラム

 

 

この4つの方法です。

 

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では、本書にそって一つひとつみていきましょう。

 

 

1.老化細胞(ゾンビ細胞)を除去する

 

老化細胞(ゾンビ細胞)とは、細胞分裂で増えることを永久にやめてしまった細胞のことで、さらに無くなることもなくずっといすわり続ける細胞のことです。


細胞分裂はテロメアの長さによって回数が40~60回ほど決まっているようですが、それを伸ばすことが可能であるといいます。

 

テロメラーゼという酵素があればテロメアを伸ばすことができるのだが、細胞ががん化するのを防ぐために、幹細胞以外ではこの酵素のスイッチが切られている。1997年、驚くべき事実が明らかになった。培養した皮膚細胞にテロメラーゼを注入すると、細胞が老化しないのである。

 

このテロメラーゼを使えばテロメアを伸ばせるけど、このスイッチが入っていると細胞ががん化する可能性もあるので難しいようです。

 

このまま老化細胞を放置しておくと、以下のような危険もあります。

 

・数が少なくても広い範囲にダメージを及ぼしかねない。

 

・サイトカイン(タンパク質)を放出して続けて免疫細胞のマクロファージを呼び寄せて組織を攻撃させる。その結果炎症を引き起こす。

 

・サイトカインは他の細胞までをもゾンビ化させる。さらに周囲の細胞を刺激してがん化させるおそれもある。

 

 

では、どうすればよいのか?

 

老化細胞を若返らせるのは難しいため、死滅させるよりほかに手がない。そのために現在開発が進められているのが、セノリティクスと呼ばれる老化細胞除去薬だ。これを用いると、私たちは短期間で若さを取り戻せる可能性がある。老化細胞だけを死滅させるように設計されている。

 

人間を対象にしたセノリティクスの初の臨床試験は2018年に始まった。変形性関節症と緑内障に効果があるかどうかを検証するのが狙いである

 

臨床が始まっているので、比較的はやく実用化できるかもしれませんね。

 

 

2.ジャンクDNAを封じ込める

 

ヒトゲノムの約半分を占めている可動性のDNA配列を「レトロトランスポゾン」といいます。これもまた初耳です(;^_^A この領域は「ジャンクDNA」を呼ばれているようです。

若い細胞であれば、クロマチン構造がしっかりしている。だから、レトロトランスポゾンを封じ込めて、ゲノムから飛び出してDNAを壊さないように、そして別の場所に入り込まないように防いでいる。

 

若いときは、このジャンクDNAがふらつかないようにしっかり閉じ込めているようですが、ゲノムが不安定になると、これが動きだして、エピゲノムに雑音が起こり、炎症を引き起こすようです。

 

将来的には、動き回るDNAを大人しくさせておくために、安全な抗レトロウイルス剤やNAD増強分子が使われるようになる見込みもある。

 

これに関しては、まだぜんぜん進んでいないようです。

 

 

3.免疫系を使うワクチンの接種

 

最近、新型コロナのワクチンの接種がはじまりました。インフルエンザのワクチンはボクも接種しましたが、コロナワクチンはいつになるのやら。。。。

 

同じように、老化にも予防接種のような感じでワクチンを接種することが挙げられています。 

ジュディス・キャンピージとマヌエル・セラーノによると、
老化細胞はがん細胞と同じように、「ここにゾンビ細胞はいませんよ」という小さなタンパク質の標識を掲げている。それによって、免疫系に認識されないようにしているという。

その標識を取り除いて、老化細胞を破壊する許可を免疫系に与えることができずはずだ。今から数十年先には、赤ん坊に各種ワクチンを打つだけでなく、中年を迎えたときに老化細胞の予防注射をするのが普通になるかもしれない。

 

 

最後は、

 

4.細胞の若返りプログラム

 

です。

 

老化細胞する前に、細胞そのものをリセットするやり方ですね。しかもその細胞の特有性を失うことなく。

 

 

老化を克服する解決策には「細胞のリプログラミング」というやり方もあるのだ。老いたDNAであっても、再び若くなるための情報を保持している

 

山中伸弥は、4つの遺伝子が成熟細胞を「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」に変えることを発見したという。iPS細胞は未成熟な細胞であり、誘導すればどんな種類の細胞にも変身できる。

 

細胞を若返らせることが培養皿の中でできるのを示したわけだ。ありとあらゆる血液細胞や、臓器や組織を移植用に培養できるようになる。老化の家庭でアイデンティティを失った細胞は元の姿を回復する。これこそがDVDの研磨剤だ。

 

細胞のリプログラミングは山中先生のiPS細胞がかなり有望のようですね!

ただ、まだまだこれも研究の途上にあるようなので、次のようにも言われてます。

 

山中因子を用いる処置は有害性が非常に高い。この技術がまだ実用化の段階にないのは間違いない。少なくとも今はまだ。しかし、ゴールは着実に近づいている。

 

近い未来にこの技術が使える日がくることを期待しつつ今回はここまでとします。

 

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次回は第7章、

 

医療におけるイノベーション

 

です。 

老化を治療する薬(後半)@『LIFESPAN 老いなき世界』第5章

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前回 「第5章 老化を治療する薬(前半)」からの続きとなります。


 

今回も、

 

第5章 老化を治療する薬

 

からです。 

 

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老化の治療薬として有望な薬の紹介の続きです。

 

3.レスベラトロール(サーチュインを活性化させる化学物質の発見)


・レスベラトロールとカロリー制限では同じメカニズムが使われていたことになる。つまり、どちらもSir2酵素を活性化するかたちで作用しているのだ。

・ストレスにさらされているものほどレスベラトロールを多量に生成する。

・レスベラトロールに限らず、健康増進に役立つ様々な分子とその誘導体も、やはりストレスを受けた植物によって大量につくられる。

・これが正しいとすれば、自然界から新薬を見つけたいときには、ストレスのたまった生物を探せばいいことになる。

・ストレス下にある植物では、人間のサバイバル回路の働かせる助けになりそうなゼノホルミシス的な分子の濃度が高いのだ。色のとくに濃いものを探すといい。ゼノホルミシス的な分子は黄色、赤色、オレンジ色、青色であることが多い。そういう食物は味も良い傾向にある。

・ヒトの培養細胞にレスベラトロールを加えると、細胞のDNAが損傷しにくくなった。

・(マウスの実験から)レスベラトロールが数十種類の病気(種々のがん、心臓病、脳卒中、心臓発作、神経変性、炎症性疾患、創傷治癒など)に対して予防効果を発揮するほか、マウスの健康と回復力を全般的に高める。

・レスベラトロールを間欠的断食と組み合わせると、断食のみでは達成できない長さまで平均寿命と最大寿命を共に延ばせることを発見した。

 

 このレスベラトロールはポリフェノールの一種で、ぶどうの果皮などに含まれているようです。生活習慣病にも効果があると言われいる一方で、食品中の中にある量であれば、健康被害はないようですが、サプリメントなどで大量に摂取することで、腹痛や下痢になることもあるようです。取扱に注意が必要ですね。

→※健康食品として流通しているレスベラトロールについて

 

 

4.NAD(サーチュインの燃料)

・サーチュインは化学物質で活性化できる。

・NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)は、7種類あるサーチュインすべての活動を高めてくれる。

・NADはナイアシン(ビタミンB3)から生成させる。これがひどく欠乏すると、皮膚炎、下痢、認知症、皮膚のただれなどが生じ、放置すれば死に至る。

・NADは体内で500種あまりの酵素に利用されているため、NADがなければ私たちは30秒と生きていられない。

・数々の重要な生体プロセスを調節するうえで鍵を握る物質だった。そのプロセスには、老化や病気も含まれる。

・NADがサーチュインの燃料になることを今井眞一郎とレニー・ガレンティが突き止めた。

・十分な量のNADが存在しなければ、サーチュインはうまく仕事ができない。

・NAD濃度が年齢とともに低下することもわかった。

 

このNADはほとんどの生物にある古典的な酵素でありながらも、最近この研究がかなり進んできているようでうす。次のNMNと合わせて老化治療の研究が進むといいでですね。

→※老化関連疾患におけるNAD+合成系の役割と創薬標的としての可能性

 

 

そして、最後はこのNADを増加させる増強分子NRとNMNです。

 

5.NADを増加させるNRとNMN

 

NR(ニコチンアミドリボシド)は、きわめて重要なNADの前駆体(生化学反応において特定の生成物の前の段階にある一連の物質)の一つ。

・NRがNADを増加させ、結果的にSir2酵素の活動を高めることで、酵母細胞の寿命を延ばせることを見出した。

 

NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)前駆体の一つ。

 

・(NMNは)人間の細胞内でもつくられているし、アボカド、ブロッコリー、キャベツなどの食物にも含まれている。体内では、NRがまずNMNに変換され、次にそれがNADに変わる。

 

・NRかNMNを入れた飲み物を動物に与えると、体内のNAD濃度はそれから2~3時間で約25%上昇する。まるで、それまで絶食か相当な運動をしていたかのような上がり方だ。

 

・NMNはNRより安定している。

 

・NMNについては試験を進めている最中なので、決定的な答えは出ていない。

 

・最新の研究からは、NAD増強分子が人間に対しても似たような健康効果を(マウスとまったく同じでないにせよ)もたらすことができると強く示唆されている。

 

まだ、決定的な答えは出ていないようですが、このNMNはシンクレア先生もサプリメントとして毎日服用しているので、個人的にはかなり期待しています。ただ、NMNは原料が高いようなので、サプリメントの販売価格もけっこう高めなんですよね。毎日服用するサプリとしては、割高かもしれません。

 

まとめ:

・NAD増強分子(メトホルミンやラパマイシンも含む)が適度なストレスをつくり出すことで、長寿遺伝子が働いてエピゲノムの変化を抑制し、若々しくいられるプログラムを維持する。おかげで、老化の原因となる「雑音」の蓄積が減り、プログラムが回復する。


・原理はわかっているものの、エピゲノムの雑音が分子レベルでどのように抑えられているのかについてはまだ解明の途上だ。

 

・この方面で有望なNAD増強分子はけっしてNMNだけではないということだ。

 

・どの分子を、いつ、どういう人が服用するのが一番いいのか、見きわめるにはまだ少し時間がかかるだろう。それでも、私たちは日々その答えに近づいている。わずか数錠の薬を飲むだけで、健康寿命が大幅に延びる時代は間違いなく来る。

 

 まだまだ研究途上ということですが、そういう時代が近いうちにくることを願います!

NMN

NMN

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次回から第6章、

 

若く健康な未来への躍進

 

です。

 

 

老化を治療する薬(前半)@『LIFESPAN 老いなき世界』第5章

LIFESPAN(ライフスパン): 老いなき世界

 

前回 「第4章 長寿のために今すぐできること6選(6.NotToDo:タバコや化学物質、放射線などを避ける)」からの続きとなります。


 

今回は、

 

第5章 老化を治療する薬

 

からです。 

 

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前回までが老化に対して今すぐできることでしたが、今回は老化の治療薬についてです。「老化も病気」ということから「病気ならば治療薬がある」ということで、この章です。

 

どのように老化が起きているのか?

 

今度は、カラダの中でおきていることを、ナノスケールの世界でまずはとらえてみます。

 

生命をナノスケールで見ると、たんに一連の化学反応が起きているにすぎない。普通ならけっして組み合わさらないような原子が1か所に集められて結合し、通常ではけっして分解されない分子がばらばらにされる。この作業を担当するのが酵素だ。

 

生命活動を成り立たせるために、酵素は偶発的な分子の運動を利用している。

 

ナノスケールの世界では、偶発的な分子運動が生命活動を維持するのに欠かせないようですね。

 

秩序が現われ出るにはこの混沌がどうしても必要だ。混沌がなければ、生命維持のために結合しなければならない分子同士が出合わず、1つになれないことになる。

 

この混沌が停止し、酵素がにわかに仕事をしなくなれば、私たちはみなものの数秒で息絶えるだろう。細胞の防御機能やエネルギーがなければ、生命は存在し得ない。

 

根本的なレベルでみれば生命はじつに単純だといえる。私たちは、混沌から生じた秩序のおかげで存在している。

 

なんだか、難しい話になってきましたが、より詳しいことは本をご参照ください。ともあれ、このように生命の仕組みがわかってくるに従って、いわゆる「薬」を使って、その分子運動に介入することもできるようになり、病気を治療してきたのですね。

 

 

今や私たちは生命の仕組みを知り、それをゲノムやエピゲノムレベルで変えるツールを手にした。だから、この古くからの知恵をさらに発展させることができる。健康寿命を延ばすという面でいうと、老化への影響がすでに実証されている2つの薬を利用するのが一番の近道だろう。

 

ここで、いくつかの有望と考えられる薬が紹介されています。ちょっと長くなるので、前半と後半にわけることにします。

 

1.ラパマイシン

・強力な免疫抑制機能

・臓器移植とは無縁な人の生命力も延ばしてくれる潜在能力をもっている。

・寿命を延ばす働きをもつことが、様々な動物を使った世界中の実験によって一貫して確認されているのだ。

・ラパマイシンがNADの生産を促すおかげで、母細胞から生まれる娘細胞の数も増える。

長期にわたって大量に摂取すると、腎臓を損なうことがわかっている。

 

このラパマイシンは、大量に摂取することで腎臓を損なうということろから、使うのはかなりためらわれますね。

 

2.メトホルミン

・糖尿病治療薬

・最近の研究からは、血糖値が高いと「エピゲノムの老化時計」が速く進むおそれのあることが示唆されている。

・メトホルミンを服用している患者は、そうでない人より際立って健康状態がいい。

・ラパマイシン同様、メトホルミンを摂取した場合もカロリー制限に似た効果が現われる。

・がんの罹患率をさげる。

AMPKを活性化させる力により、NADの濃度を上昇させ、サーチュインのような老化への防御機能全体を始動させる。病気の上流でのサバイバル回路を働かせ、エピゲノムの情報が失われるのを顕著に遅らせ、代謝を抑えることで、あらゆる器官が若く健康でいられるようにするのだ。

・健康な被験者にメトホルミンを服用させたところ、血液細胞のDNAメチル化年齢が1週間で若返ることが確認された。

・メトホルミンを「抗老化薬」として処方する国は現時点でほぼない。

 

これは有望な気がしますが、糖尿病の治療薬ってことで入手できなそうです。このようにもともとは何等かの治療薬であったものが、別の症状にも効果があるということで使われるようになった薬もありますから(IBSの特効薬でもあるイリボーがそうですね)、今後どうなっていくか推移を見守ることにしましょう。

 

 後半へ続く。

 

長寿のために今すぐできること6選(6.NotToDo:タバコや化学物質、放射線などを避ける)@『LIFESPAN 老いなき世界』第4章

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前回 「第4章 長寿のために今すぐできること6選(5.高温にも身をさらす:サウナ)」からの続きとなります。


 

第4章では、長寿遺伝子を動かすために今すぐできることが6種類紹介されていて、こんな感じです。

 

1.食べる量を減らす

2.アミノ酸を制限する

3.運動をする

4.寒さに身をさらす

5.高温にも身をさらす(サウナ)

6.NotToDo(タバコや化学物質、放射線などを避ける)

 

 

第4章の最後は、

 

6.NotToDo(タバコや化学物質、放射線などを避ける)

 

 から。

 

 

ここでは、「やること」ではなく「やらないこと」で老化予防となることが挙げられています。

 

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その筆頭にくるのがタバコです。

 

 タバコは、これほどエピゲノムに悪いものはそうないといっていい。要するに喫煙とは、有害な化学物質を何千種類も混ぜ合わせて毎日体に取り込むことにほかならない。

 

喫煙によって生じるDNAの損傷のせいで、DNA修復部隊は激務を強いられる。それが結局はエピゲノムを不安定にし、老化につながっている可能性が高い。

 

数十年前と比べると、喫煙者の数は減っているのでしょうが、それでも、こんなにタバコがカラダによくないってわかっていながらもタバコを販売しているのが謎です。吸っていない人にまで被害を及ぼすものを放置しているのは理解し難いです。

 

タバコは独自の税金が取れるから販売OKってことなんでしょうかね。その辺詳しくありませんが、タバコは健康をかなり害するという点で消滅してもらっていいのではないでしょうか。ひと箱500円ぐらいですが、2000円ぐらいにするともっと禁煙する人増えるかな。

 

つづいては、有害な化学物質。

 

人や車の数が多い都市部では、ただ息を吸い込むだけでDNAを傷つけるには十分だ。それだけではない。飲み物のボトルやテイクアウト用容器のようなプラスチックにはPCBなどの化学物質が含まれていることが多く、これにも注意したほうがいい(電子レンジで加熱しようものなら、より一層PCBが放出される)。

 

プラスチック容器は食事のときによく使っているので、これは今後気を付けていきたいです。プラスチック容器に入れて電子レンジであたためるなんてことはよくやっていることです。

 

 

ちょっと古い記事ですが、こんなのもありました。

jp.wsj.com

 

こんなのを読んでいると、プラスチック容器の使い方には気を付けないといけないのはわかりますが、どうしたらいのかまだわからないので、自分自身への課題とします。

 

 

また、

 

有機ハロゲン化合物もゲノムにダメージを与えかねない。溶剤や脱脂剤、農薬や油圧作動液などによく用いられている。

 

まあ、これはなんとなくカラダに悪そうなのはわかります。

 

 

問題なのは次です!飲食物なのでかなり身近で日常的なものです。

 

私たちがまさに意図的に摂取する飲食物にも、避けられない損傷のもとが数多くある。たとえば、亜硝酸ナトリウムで処理された食品(一部のビール、塩漬けや燻製などの保存処理をした肉のほとんど、とくに加熱したベーコンなど)中には、N-ニトロソ化合物が生成されることがすでに半世紀あまり前に判明している。以来、この化合物が強力な発がん性をもつことが確認されてきた。ニトロソ化合物いんはDNAを切断する力もあるのだ。

 

ベーコンとかハムなどが該当するのでしょうけど、美味しくて好きな食品だから困りもの。どういったものを避け、選んだ方がいいのか。知識がないと判定は難しですね。

 

www.bbc.com

この記事によると、まだまだ研究途上のようです。

 

 

また、日本人は摂取量が少ないから、その影響はわずかという意見もあります。

style.nikkei.com

 

いずれにせよ、加工肉を食べ過ぎるのは避けたいところです。

 

ついでに、どんな食品にキケンな化合物が入っているのか、以下の記事が参考になりそうです。

toyokeizai.net

 

 

最後は、放射線ですね。

 

放射線も忘れてはいけない。紫外線やX線、ガンマ線や屋内ラドン。こうした自然放射線や人工放射線はどれも、DNAをさらに損傷させて修復部隊を働かせるおそれがある。

 

日常的には、めったに放射線に関わることはなさそうです。健康診断でレントゲンとるときぐらいでしょうか。

 

---

 

次回から第5章、

 

老化を治療する薬

 

です。

長寿のために今すぐできること6選(5.高温にも身をさらす:サウナ)@『LIFESPAN 老いなき世界』第4章

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前回 「第4章 長寿のために今すぐできること6選(4.寒さに身をさらす)」からの続きとなります。


 

第4章では、長寿遺伝子を動かすために今すぐできることが6種類紹介されていて、こんな感じです。

 

1.食べる量を減らす

2.アミノ酸を制限する

3.運動をする

4.寒さに身をさらす

5.高温にも身をさらす(サウナ)

6.NotToDo(タバコや化学物質、放射線などを避ける)

 

 

今回は、

 

5.高温にも身をさらす(サウナ)

 

 から。

 

 

前回が寒さに身を適度にさらすことでサバイバル回路が始動して長寿への道が進むことがわかりましたが、その逆の高温ではどうなのでしょうか?

 

サウナの効果――高温は人体にプラスか

 

 

この第4章の上記のような中見出しにあるように、高温といえばサウナですね!!個人的にはサウナ大好きなので、ぜひ人体にプラスであって欲しいです。

 

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シンクレア先生によると、

 

高温にさらされた(出芽)酵母は通常より30%長く生きた。だが、興味深いのはそのこと自体ではなく、カロリー制限の場合と同じメカニズムで寿命が延びたことである。

 

との出芽酵母の実験では、高温でも長寿に効果があるので、可能性はかなりありそうです。これは期待してしまいますね。

 

 

なぜ、高温が長寿に良さそうなのか?

 

それは、次のように推察されています。

 

酵母が多少の参考になるとしたら、NAMPTという酵素が関与している可能性がある。NAMPTは、NADを再利用する働きをもっており、様々なストレス(断食や運動)によって始動する。その結果としてNAD濃度が上昇するので、サーチュインが活発に働けるようになるというわけだ。

 

このことから、寒さ同様に高温に身をさらすことも、ストレスをきっかけにサバイバル回路が起動するのでしょうね。

 

カラダにそこそこのストレスを与える高温といえば、やはりサウナです。この本ではサウナと心疾患に関する調査も紹介されています。

 

フィンランド東部に住む中年男性2300人あまりを約20年にわたって追跡調査した。被験者のうち、きわめて頻繁にサウナを利用する人(最高で週に7回)は週1回の人より、心疾患の発症率や、心臓発作で命を落とす件数、さらには全死因死亡率がおよそ2分の1だった。

 

最近では、サウナ本もけっこう出ていて、サ道というドラマもあるぐらですから、サウナに注目が集まっています。健康に心にも良いというのが経験的にわかっているだけです。

 

ただ、

 

サウナに関する研究には、なぜそこまでの効果を生むのかを詳しく掘り下げたものがない

 

そうなので、もっとサウナに関する研究を推し進めて頂きたいです。もしかしたら、他にも効果はありそうですし、よりよい入り方、ダメな入り方が科学的にわかるといいですよね。

 

サウナに入って(高温に身をさらす)、冷水にはいる(寒さに身をさらす)。サウナに入る人は冷水がセットですよね!なので、サウナは結果的に高温と寒さの両方を同時に満たすことになります。長寿にも良さそうです!

 

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次回はこの第4章の最後である、

 

6.NotToDo(タバコや化学物質、放射線などを避ける)

 

です。

長寿のために今すぐできること6選(4.寒さに身をさらす)@『LIFESPAN 老いなき世界』第4章

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前回 「第4章 長寿のために今すぐできること6選(3.運動をする)」からの続きとなります。


 

第4章では、長寿遺伝子を動かすために今すぐできることが6種類紹介されていて、こんな感じです。

 

1.食べる量を減らす

2.アミノ酸を制限する

3.運動をする

4.寒さに身をさらす

5.高温にも身をさらす(サウナ)

6.NotToDo(タバコや化学物質、放射線などを避ける)

 

今回は、

 

4.寒さに身をさらす

 

 から。

 

寒さに身をさらすって、あまりカラダには良くなさそうなイメージがありますが、どうなんでしょうか?

 

ポイントは、

 

寒さに身をさらして長寿遺伝子を働かせる

 

にあるようです。

 

これも、カラダに適度なストレスを与えることでサバイバル回路を起動させることが目的なのでしょう。

 

長寿遺伝子を働かせるには、快適とはいえないい温度に身をさらすのも一つの有効な手段だ。

 

寒いのは確かに「快適とはいえない」温度ですよね。寒さと暑さどちらが苦手かといえば、、、、寒さかなぁ。。。。ただ単に、これを書いている今が寒い時期だからなのかもしれませんが・・・・。

 

では、なぜサバイバル回路が起動するのでしょうか?

 

体が安定した平衡状態を求めようとすることを「ホメオスタシス」といい、あらゆる生物に共通する原則だ。さらにいえば、これがサバイバル回路を導く力となっている。ホメオスタシスはいたるところで見られ、とりわけ気温が低いときに顕著に現われる。

 

「ホメオスタシス」がサバイバル回路を導く力となる!

 

「ホメオスタシス」といえば、理科の生物分野でききかじったことがあります。雑な言い方をすれば、「通常の状態であろうとする働き」ですかね。

 

以下記事に詳しく書かれているので参考にどうぞ。

study-z.net

 

そのホメオスタシスがサバイバル回路を起動するようですが、とりわけ、寒いときにそれが現れるのあれば、寒さを嫌ってはいけませんね。

 

わが身を寒さにさらしてみようと思うなら、適度にやるのが肝心だ。断食と同じで、限界に近づきはしてもそれを超えないのが、最大限の効果を得るコツだと考えられる。低体温症や凍傷になるまでやっては健康を損なう。

 

寒さを嫌わない!とは言っても、寒い日に薄着で一日中ずっと外にいるとか、やりすぎるとストレスの与えすぎとなりカラダの機能そのものを壊してしまいます。ほどほどに寒さにさらすのがよさそうです。寒いから家にこもるのではなく、散歩程度でも外に出ることは、健康全般のためにも良さそうです。

 

次回は

 

5.高温にも身をさらす(サウナ)

 

です。